第6話 料理とはつまり愛情を持っている(編集)

夜に寝てから翌日になった様だ。

チュンチュンと小鳥の囀りが聞こえたから、だ。

俺は眠気まなこを擦りながら.....おき.....え?

横を見て驚愕した.....ってか。


なん.....だと。

何故か山城と中島が居た。

それから赤面する山城代わりか俺に、おはよう、と中島が言う.....ってオイオイオイ!!!!?

何をしてんだよ!?


「私と山城さんで代わりばんこで起こしに来る事にしたの。長谷川君を」


「は、へ!?嘘だろお前!?」


「わ、私も.....その、頑張る」


「いや、頑張るってオイオイ!?話を進めるなよ!」


どうなってんだよ!

と思い、扉の所を見る。

そこにはにやけ顔の柚が居た。

マジにどうなっている!?

と思っていると中島が何かを差し出した。


「.....でも流石は男の子の部屋だよね。こんなのが有るって」


「.....」


悲しそうな顔をする山城。

俺は?を浮かべてその雑誌を.....オイィ!!!!!

何でこの雑誌を持ってんだよ!

俺の嫁のグラビアアイドルのあすかちゃんの!

その驚いている中で山城は複雑な目でこう呟く。


「.....エッチ」


「いやエッチと言われても.....中島!!!!!漁っただろお前!」


「.....いや?寝ている間にベッド下を弄っただけだけど」


「弄ったも漁ったも同じだお前.....」


個人のプライバシーの侵害だ.....。

何を考えてやがる。

ベッド下は秘宝の在処だぞ。

そんな事をすればリッチーの宝が出るに出るだろ。

良い加減にしろよ。


「.....」


「.....えっと.....どうしたんですか?山城さん?」


「.....胸の大きな人好き?」


「.....」


わ。私はち。小さいから.....、と悲しげな顔でシュンとする山城。

いや、胸の大きな人が好きな訳じゃ無いけど.....いや好きか。

でもその、気にしないから!

とワタワタする俺。

すると中島が踵を返した。


「それはそうと遅刻するから。急いで」


「お前のせいだけどな.....」


「そ、そうだね。.....急いで。長谷川君」


はいはい、と返事をしながら。

俺は直ぐに準備に取り掛かっていると。

ふと、棚に伏せている写真立てが目に入った。


昔の俺の.....短い期間だったけど印象に残っている女の子の.....写真である。

戻しながらそれを確認する。

もう日に焼けてフィルムが.....ボヤけているが。

だって幼稚園の頃だもんな。


「.....ハハ。何だか懐かしいな。.....その女の子もこの家に遊びに来たっけか」


懐かしい。

短い時間、2週間だけだったけど引っ越しの関係で別れてしまった。

思いながら俺は首を振る。

過ぎてしまった事は.....もう取り戻せないしな。

前だけを見よう。


「.....さてさて。山城と中島を待たせちゃ悪いしな」


それから洗面所に行って用意してリビングに来ると。

そこには父さんと母さん柚、そして山城と中島が居る。

父さんは.....新聞を読んでいつも通りで。

母さんはとても嬉しそうだ。

おはようと言いながら中島と山城を見ると。


「遅ーい!」


「何だよ!早くしたじゃないか!」


「駄目!遅い」


「.....ハァ.....」


中島はプリプリ文句を、山城は俯きながら赤くなる。

母さん、長谷川芳乃(はせがわよしの)が俺を手を叩いて見てくる。

こんなに貴方を思ってくれる女の子が居たのね、と、だ。

中島は違うけどな.....。

俺は苦笑い。


そんな母さんの容姿だが少しだけ白髪混じりの黒髪に、お淑やかな顔立ち。

それから.....身長163センチで53歳だ。

周囲からは若々しいと評判である。

性格としては優しくて何時もニコニコしている。


「お兄ちゃん。早く」


「あ、ああ。しかし今日は豪勢だな」


味噌汁にご飯、卵焼き、筑前煮とか色々。

俺は驚愕しながらそれらを見る。

すると中島と山城が.....というか中島が山城の手を握る様に挙げる。

それからニコッとした。


「私と山城さんが作ったんだよ。筑前煮と卵焼き」


「え?マジか。凄すぎるだろ」


「.....頑張った」


「.....そうか」


俺は椅子に腰掛けながら直ぐに、いただきます、と食べ始めた。

すると新聞を読んでいた父さん、長谷川和也(はせがわかずや)が、うむ、と新聞を静かに置き、厳つい顔を見せる。

俺に向いてきて、色恋も良いが勉学もしっかりしろ、と箸を持ちながら言われた。

厳つい顔のままで相変わらずの平常運行だな。


「はい。父さん」


「.....うむ」


そんな親父の容姿。

まず厳つい顔つきだが時折柔和な姿を見せる。

眼鏡に少しだけの黒髪でのシワ。

それから.....俺似だが俺以上に整っている顔立ち。

親父譲りなのだろうな、俺は。


「お父様。ご飯です」


「.....お父様?!」


「え、だってお父様だよね」


「.....ハァ.....」


何でそんなに親密になってんだよ.....。

本当に俺の家族って.....と思いながら額に手を添えていると。

ご飯を山城がくれた。

それから俺を見てくる。


「.....」


「.....あ、有難うな」


「.....!」


山城は嬉しそうに椅子に腰掛ける。

それから.....ご飯を食べ始めた俺達。

すると、で。豊樹。貴方は2人とも好きなの?、と、とんでもない事を言い放った。

俺はブファ!と米を吹き出す。


「それじゃ二股じゃないか!母さん!!!!!」


「あら?そうなの?みんな好きだと思ったのに」


「.....あのな。一応答えておくけど、今はまだ考えてない」


「あらあら。そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃない」


いや!母さん!

俺は盛大にため息を吐く。

すると山城が箸で筑前煮のレンコンをつまんで止まっている。

俺を見ている。

な、何でしょうか。


「.....」


「.....???.....どうした?」


「.....はい、あーんして.....」


「.....お前.....え?.....マジか.....」


まあ!と母さんは笑顔になる。

いきなりだな!山城さん!

俺は抵抗も出来ずに仕方が無く食べる。

っていうか美味すぎるんだが。


「お兄ちゃんモテモテだね」


「そうだねぇ」


「お前ら.....」


山城は気にせずに俺にニコッとする。

美味しい?と赤髪を揺らしながら、だ。

いきなり積極的になるもんだから。

赤くなってしまう。

俺は頬を掻きながら思っていると黙々と食べていた親父が呟く。


「それは良いが.....時間が無いぞ。.....君達」


「アァ!?マジだ!」


「豊樹!山城さんと中島さんの作ったお弁当!」


え!?それって本気で!?

と思いながらもドタバタで受け取る。

それから俺達は走りながら学校に登校した。


途中で柚と別れながら俺たちはダッシュだった。

疲れたが.....嫌な気はせず。

ふと俺は幼馴染と一緒に登園していた頃を思い出した。

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