2 クッキーの満ちる香り

第4話 生徒手帳とはつまり恋の香りを匂わせる

エロゲを買っている学校一の美少女の俺のクラスのクラス委員を目撃してから俺の人生は定規で計測すんなら180度ぐらい変わった。

何がどう変わったかというと。


先ず、中島というエロゲ買っていた張本人に絡まれる事になった。

この状態は何というか。

まるで氷が解けていく様に色々出てくる様なそんな感じだ。


謎の赤髪の女の子にも声を掛けられたしな。

中島の件は溜息しか出ない。

思いながらの帰り道。

俺は竜彦とチャリを動かしながら帰っていた。

竜彦が後頭部に手を添えながら首を傾げる。


「しかし.....中島に声を掛けられるとは相当なもんだよな」


「.....そうなのか?」


「いやだってアイツ.....相当な人数の男子生徒を振ったんだぞ。それなのに教室ニートのお前に声を掛けてくるのは凄まじい話がある。まるで月と鼈なのにな」


「お前殺すぞ。誰が教室ニート、月と鼈だよ.....ってか何でそんなに詳しいんだよ。中島が振っている姿、あまり見た事無いぞ」


あれ?お前聞いた事無かったっけ?

ついこの間50人目を振ったんだぞ、と。

目を丸くする俺。

石を蹴りながら苦笑気味で俺を見てくる竜彦。

何でこんなに詳しいんだよ.....。


「俺はとりま.....色々な情報源を握っているからな。だから知ってんだ」


「.....いや、気持ちが悪いな。何だよそれ」


「振られるとザマァって思うしな。だから情報が好きなんだ」


「.....そうですか.....」


俺は顔を引き攣らせる。

そんな会話を竜彦としながら。

分かれ道に差し掛かったので、じゃあな、と別れる。


それからチャリを動かして帰宅していると目の前に赤毛の女の子が制服姿で鞄を前に持っていて立っていた。

壁に背中を合わせそして俺を笑みを浮かべて見ている


手を振っていた.....って。

俺は驚愕しながらチャリを置く。

コイツは。


「.....お前.....山城?」


「うん。山城」


風で赤毛がなびく。

その影響で山城の前に立っていた俺に良い香りがした。

女の子独特の、だ。


俺は赤面するのを抑えながら山城を一瞥してからそれからそっぽを見てどうしたんだ、と聞いた。

山城は、あ。えっと、と言葉を発する。


「此処が確か帰り道かなって。何時も見ていたから。長谷川君」


「.....ああ.....えっと確かにそうだが.....しかし何か用事か」


「.....私.....その。長谷川君に聞きたい。中島さんと仲が良いの?それが気になる」


「あー.....えっと仲は微妙だな。.....色々有って」


絶対的に仲が良いとは思えない。

俺は苦笑いを浮かべながら回答する。

すると山城は、そ。そうなんだ、と嬉しそうにはにかむ。


良かった、とボソッと聞こえた。

俺は?を浮かべながら.....山城を見る。

山城はモジモジし始める。


「.....わ、私.....その」


「.....?.....???」


「や、やっぱりいい。さようなら」


「ええ!?」


な、何だよ!?

そしてそのまま走って帰って行く山城。

俺は目をパチクリして思いながら逃がしてしまった。


いや何だってんだ?、と思いながら足元を見る。

声を掛ける為に一歩を踏み出してなんか蹴っ飛ばした。

何か落ちている。

ってこれは。


「.....生徒手帳?山城のか?」


マジかよ参ったな。

今、走って帰って行ったんだが.....。

どうしたものか。


思いながら悪いと思いながらもページを捲る。

そこには女の子の独特な感じの可愛らしい予定表が有り。

それから.....。


「.....ん?.....え!?」


長谷川君に告白したい、と書かれている。

日付は丁度.....今日だ。

俺は赤面しながら瞬きしながら生徒手帳を見つめる。


その、まさかと思うが山城は俺が好きなのか?

風が再びなびき、俺の頬を撫でる中。

俺は.....山城が去って行った方向を見た。

赤面で、だ。



電話番号が丁度、書いてあった。

その為、俺は自室にて電話を掛ける。

すると.....電話に誰かが出た。

もしもし、とか細い声で、だ。


「あ、すいません。これって山城美玖(やましろみく)さんの携帯でしょうか」


『は、はい。えっと.....その、どちら様.....』


「えっと俺だよ。長谷川」


『え.....』


固まった様な感じで声が途切れた。

というかまるで.....そうだな。

急速冷凍された様なそんな感じだ。

俺は、オイ大丈夫か、と声を掛ける。

すると山城から返事が有った。


『な、何で電話番号知ってるの』


「.....お前さ、生徒手帳を落としたろ?それで掛けてんだよ」


『.....あ.....』


「全くな。生徒手帳を落とすのはマズいぞ。気を付けな。明日届けるから」


い。いや。いい、と声がした。

俺は驚愕しながら、え?、と声を発する。

すると山城はモジモジしながらだろうけど間隔が空いてこの様に答えた。

小さく、だ。


『い、今から自宅に行く』


「.....何だって?今から?もう16時30分だぞ。マジに?」


『う、うん。行く.....』


俺は目を丸くしながら驚愕する。

ちょっとだけ慌てる。

女の子が家に来るとか.....と、だ。

そして山城が自宅に来る事になった。

のは良いんだが.....また問題が発生する事になる。


それは何故かというと。

山城と一緒に.....何故か途中で会ったからと中島が一緒に居たのだ。

何故そうなるのだ.....。

っていうか二人共に近所なのかよ。

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