第2話 友達とはつまり悪友という(新しく編集)

エロゲ。

通称、エロゲーム。

18禁のとってもエッチなゲームであり、18歳未満は絶対に買えない。

年齢制限が掛かっている。

所謂、C◯ROのZ指定と同じだ。

18歳未満は購入に際し、身分証の提示が求められる.....筈だ。


そんなエロゲをある日の事、うちの美少女クラス委員が16歳という年齢を誤魔化し?ながら何らか?の身分証で買っていた。

彼女は学校一の美少女で有り、学年でも結構な成績をしているのだが。

まさかそんな趣味があるとは思わなんだ。


あまり友人の様に軽々しくその中島という名の少女と話した事は無いが.....そんなものを買う女子とは思わず俺は遭遇してからずっと苦笑いしか出ず、だった。

そしてなかなかその中島に、忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ、とヤンデレの女子の様に目を回転させた中島に束縛されて逃がしてもらえず。

午後の今に至っている。


時間にして20分も無駄にした。

クソッタレ.....俺に何の恨みがあるってんだ。

それから俺は帰宅してからリビングにため息交じりで居る。

すると帰宅したのか背後から妹の声がしてきた。

どうしたの?と聞きながら、だ。


「お兄ちゃん?」


「.....ああ。柚か。おかえり」


ただいま、と笑みを浮かべて答える真面目系美少女。

荷物を置きながら疲れたぁ、と話した。

長谷川柚(はせがわゆず)、中学3年生の妹だ。

顔が小さく顔立ちがかなり整っており、童顔ながらも大人びている顔。

そして身長も165と結構ある少女。


バレー部の部員だと聞いたが。

成績も優秀な完璧な妹といえる。

性格的には世話焼き女房的な感じだ。

勿論、エロゲとは全く縁もゆかりも無い本当の真面目系。

熱中スポコン系だ。


そんな柚を見ながら、何でもない、と俺は苦笑した。

柚は、そう?、と俺から視線を外しながら喉が渇いていたのかジュースを鼻歌交じりにコップにいれてから。


ついで的な感じで俺に向いて、飲む?、と聞いてくる。

俺は、ああじゃあ.....貰おうかな、と返事しながらそのままジュースの入ったコップを受け取った。


そういえば柚はそれなりに俺と仲が良いのだがこれって相当に珍しいと思う。

思春期なのに仲が良い兄妹ってのも、だ。

思いながら俺はジュースをあおる。


そして.....前を見た。

少しだけ溜息混じりで、だ。

すると。


「.....お兄ちゃん。.....もしかしてまた昔の事考えていたの?」


「.....その事は言わない約束だろ。柚。駄目だ」


「.....御免なさい。口が滑った」


柚は直ぐに過去の事に触れた言葉を誤ったと申し訳ない様な顔をする。

俺はその事に、御免な俺が弱いから、と柚に少しだけ言葉を発する。

体調の面もあって、話してはならない事になっている昔話。

俺は.....眉をひそめる。


昔の件.....多少なら今は思い返しても良いんだが.....何だかな。

マジな寒気と嫌気が差す。

考えながら柚を見る。

柚は落ち込んでいて.....俺はコップを置きながら柚の頭に手を添えた。


「柚。気にすんな。.....キツく言い過ぎたな」


「ううん。嫌な事は嫌だと思うから。.....でもじゃあ何で悩んでいたの?」


「ああ。ちょっとな.....ちょっとだけな」


「.....?.....話せないの?」


俺は、あ。ああ、と少しだけ顔を引き攣らせる。

いや話したくないです.....ね。

うん。


今現在、この家には柚と俺しか居ない。

俺達の母親と父親は会社で今日は遅くなる。


その事を考えながら俺は、まあそんな事より、と膝を叩いた。

それから勉強してくる、と立ち上がる。

そして食洗器にコップを入れた。

柚を見る。


「柚」


「.....何?お兄ちゃん」


「.....例えばの話だけど。.....例えばクラス委員が.....衝撃のものを買っていたりしたらお前どういう行動をする?」


「.....え?例えば?」


例えば.....そうだな。

あまり予想出来ない趣味とか。

男なのに可愛いものを買っていたりとか、と俺は話す。

顎に手を添える柚。

そしてニコッとした。


「よく分からないけど受け入れるよ。ありのまま。だって.....人それぞれ個性が有るんだから。趣味それぞれ人それぞれだよ」


「.....そう回答するか。.....お前らしいな」


「だって.....私はお兄ちゃんの妹なんだから」


「.....だな」


変なお兄ちゃん、とクスクス笑う柚に俺は苦笑。

柚は、ちょっと着替えてくるね、と立ち上がった。

すまん汗かいているのに引き留めてしまって、と俺は謝る。

柚は、良いよ、と俺にニコッとする。


「.....でも質問、突然だね。何でそんな?」


「.....いや。ただ聞いてみたくなった。それだけだ」


「.....?.....ふーん?」


「まあ忘れてくれ」


分かったお兄ちゃんが言うなら、と。

そして風呂に入るねと言う柚。

俺はそれを見送ってから背伸びをした。

それから.....勉強すっかな、と思っていると。

スマホがピコンと鳴った。


「.....ん?.....竜彦?」


須山竜彦(すやまたつひこ)、16歳。

俺の.....数少ない友人だ。

アニオタの.....最悪の悪友ともいえるが。

竜彦は、おう、とメッセージ。


俺は、どうした、とボタンをタップしてメッセージを送る。

すると.....ラノベの画像を送ってきた。

俺は目を丸くする。

それから目を細めて見た。


(これ面白いぜ。お勧め)


(え?あ。マジか。じゃあ今度、お前ん所で買って読んでみるわ)


(貸してやろか?ついでだしな)


竜彦は、にしし、と絵文字を送ってくる。

実の所、竜彦の実家は本屋だ。

その為に全然、本には困らないのだ。


俺は正直、羨ましいと思ってしまうぐらいだ。

仕組みはよく分からんが本が無限に読めるのだから、だ。

キーボードをタップする。


(分かった。明日でもそのラノベ貸してくれよ)


(んじゃ明日学校でな。持って行くわ)


「.....そうか.....うーん.....学校か」


俺は.....本日のゲーム屋での出来事を思い出す。

今日の.....エロゲを買っていた真面目系の中島の事を。

でも俺は、まあこれっきりだろ、と思いながら首を振って勉強道具を取り出した。

これ以上は関わってこないだろうと、だ。


だが甘すぎた。

実は.....これでまだ終わりでない事を、だ。

学校で中島が接近して来たのだ。

俺は.....その事に顔を引き攣らせるしかなかった。

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