4話.恋焼かれ
遺書はそこで終わっていました。
たった3行の恋文、
それを書いた記憶がない、
父は、秘密主義でしたから、こういうことだろうなとは思っていましたが、最後まで秘密を貫き通すとは思っていませんでした。
謎は残ります、寒さとともに。
■
それから、3日後。
事件は起きたのである。
私はその日、家を出て仕事に向かいました。比較的安定してお給料がもらえる仕事でしたので、生活に困ってませんが、職業柄のせいでずっと仕事場でいりびたらなければならないのです。そして、仕事をしている最中に、一本の電話がかかってきました。そちらの内容は非常に残酷で、私にとっても父にとっても、酷なものに変わりなかったのです。
私は、すぐに上司に事情を説明して、家に帰らせてもらいました。
家に帰った頃には、時すでに遅し。見るに堪えない姿へと変貌していたのです。もちろん、全焼です。あの遺書もあの家の中。父の秘密は、この炭の中に...
私の記憶の中だけとなってしまいました。私は、深く反省の念を感じました。
どうして遺書を父と一緒に旅出せなかったのか。
私の後悔は、この灰と同じ色をしています。そして風によって飛ばされます。
必然と涙が溢れる。ただ零れるだけです。
■
その後、私にも子供ができました。父の死から数年後の出来事です。
私は、男手一つで育ててくれた父のようになりたい。
でも一つ違うのは、私に妻がいることです。ともに、父のような立派な人間になって、この子を育て上げます。父の初恋の真意はわからなかったけど、私には家族の素晴らしさというものを承りました。天の配剤のより...
第一部 完
恋、焼かれ焦がれる アカサ・クジィーラ @Kujirra
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