各々の世界で
「それで、どうだった。体験の方は。」
「うーん。結論から言うと、やはり私には向いてなさそう。」
「そう。深刻な顔をしているけど、嫌な思いをしたの?」
「うん、間接的にね。」
「ああいう雰囲気は、慣れていないとキツそうね。」
「・・・そこには知らない母がいたの。いや、知らない女が。」
「うわぁ、それは・・・。」
「そういう世界にいるのだ、と思ったわ。突然この現実からつままれて、
「さぞかし居心地が悪かったでしょうね。可哀想に。」
「えぇ。温い、男と女の運命を明白にしてくるの、生々しく。あくまでプロトタイプのはずなのに、それが全てだと洗脳されそうで。」
「何よりも、母親の知らない一面を見てしまったわけでしょう。」
「ええ。覚悟はしていたつもりなのだけれど。」
「仕方がないことよ。まるで違う世界がそこら中に存在するのだから、貴女は貴女の世界で生きればいい。」
「ありがとう、そうするわ。」
終
わたしたちの語log 高橋優美 @yukumi
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★4 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2話
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