才能

「どうするつもりだい。」

「僕には勉強、運動共に才能がないんです。だから努力できない。」

「私は君のために言ってるんだ。」

「自分のためでしょう、僕らなんか本当はどうでもいい。」

「はぁ・・・。しかし、自分の無能さを人のせいにするのは如何なものかな。」

「才能ある人間を妬むのは、そいつがだからです。それほどの才能を持つヤツが悪い。」

「ふむ。きっと君にだってあるさ、努力すれば磨かれるものが。」

「努力も才能の一つです。押し付けないでください。」

「・・・では君が持っている才能とは何か、答えられるかい。小さなことでも。」

「答えられません。」

「それは何故?」

「僕が悪いヤツになってしまうから、そして、貴方が僕を妬むことになるからです。」

「はは、私は君のような感性は持ち合わせていないよ。教えてごらん。」

「モテる才能です。」

「あはは。すまない、随分と真面目な顔で言うものだから。それで、僕が妬むと?」

「はい。」

「昔なら嫉妬したかもしれないな。しかし僕は既婚者だ。妻がいればそれでいいさ。」

「だからこそ妬むことになるんです。」

「ううむ、よく分からないな。」

「知らなくていいと思います。・・・あぁ、面談時間終りですね。失礼します。」

「あっ、おい・・・。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る