『感想』

「いやあ、興奮したなぁ。」

「そうかい。僕には少し刺激が強かったけれど。」

「確かに、かなり残酷ではあったかもしれないね。」

「終わった瞬間、どこか冷めたような表情をしていたように見えたけれど?」

「終わってしまったものに興味はなくてね。」

「ふうむ。ではどこに一番興奮したんだい?」

「うん。言うなれば、人間らしさかな。」

「・・・というと。」

「僕はね、憎しみや哀しみがふつふつと沸騰して、ヤカンから溢れ出してしまうくらいが人間味があって好きなんだ。人間が猫のように鳴いたり、鮪のようにビチビチと体を震わすだけではつまらないんだ。人間は人間らしく感性豊かに、そして複雑であるべきだと思う。・・・きっと君もそうだよ、平和を願う一方で、とびきりの刺激を求めている。」

「とびきりの刺激か。成る程、否定しないよ。」

「必死に訴える彼らの充血した目を、そこに浮かんでいた涙を、許しを乞う震えた声を、罵声でさえも鮮明に思い出せる。それほど・・・美しいと思ったよ。とても興奮した。」

「・・・復讐を手伝うというから初めは少し警戒していたが、そこまで狂気じみていると不思議と信頼してしまうな。」

「言ったろう、比較的平和に暮らせているこの場所では、さっきのは非現実的だと思われている。彼らが君にしたこともね。皆んな目を背けてしまっているんだ。僕はもっと多くの人に受け入れて欲しいんだよ、人間という生き物の汚さ、そこに垣間見える美しさを。」

「『平和』が存在する限り、真の平和は訪れないというわけか。皮肉なもんだな、人間に生まれてしまったために。」

「ふふ。・・・さぁ、少し急ごうか。」

「そうだな。」



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