『じゃんけん』

「じゃんけんしよう。」

「はあ、あなたって本当、じゃんけんが好きね。」

「まぁ、ある意味では好き、と言えるかな。さぁ。」

「はいはい。・・・じゃんけんぽん。」

「・・・僕の負けだね、ふふ。」

「負けたのに嬉しそうだなんて、とんだ変態がいるものね。」

「いやね、君がいつも通りを出してくれたものだから。」

「・・・わざとを出したということ?」

「そうなるね。」

「負けるために、こうして会うたびにじゃんけんを求めていたの?」

「それは違うな。このじゃんけんは、手段・・・過程の一部であって、本来の意を持たない。特に、今日のはね。」

「難しい話は分からないわ。」

「・・・これを受け取って欲しくて。はは、君は勘が鋭いから、こういう形になったけれど。」

「これは・・・流石に予想外よ。」

「君が最初にチョキやグーを出す人であったなら、この方法は思いつかなかったさ。」

「私が気まぐれで、違う手を出していたら?」

「その時は、今後もこのじゃんけんに付き合ってもらうつもりだったよ。」

「ふふ。やっぱりあなたは変態だわ。ともするとそんなあなたに惚れている私も、間違い無く変態なのだけれど。」



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