『運命的な出会い』

「僕の友人に少し変わった奴がいてね。」

「へぇ、どう変わっているの?」

「大学で知り合った奴なんだけど、この世の全てのものには理由がある、と言うんだよ。」

「あながち間違いでもないと思うけれど。」

「そうなんだけどさ。変なことを言われたんだ。」

「変なこと?」

「そう。なんでも僕らが出会ったのにも理由があるらしくてさ。」

「僕らって・・・私たちのこと?」

「うん。僕らってミィがきっかけで出会えたわけで。」

「捨て猫のね。あげているツナ缶が一緒だったわよね。」

「そうそう。それをきっかけに話すようになってさ。僕らには共通点が多くてすぐ打ち解けた。・・・ミィはある日突然いなくなってしまったけれど。」

「この出会いに理由なんてないでしょう。たまたま、いや、綺麗に言うなら運命的、なのだから。」

「僕もそう言ったさ。しかし、彼はこう続けたんだよ。『運命なんかじゃない。計画なんだ。それもすごく、たちの悪い。』って。」

「意味が分からないわ。」

「そして君と別れるべきだと言うんだ。」

「はぁ。それにも理由があるとでも言うのかしら。」

「それがあるらしい。僕にもさっぱりだよ。」

「本当に変わっている人ね。知り合いにいたら気が滅入ってしまうわ。」

「はは。どうも君を知っているらしいのだが、違うのかな。」

「えっ。名前は?」

「田中圭介。中学の同級生だったと言うんだけれど、君から聞いていた中学校とは違うんだ。訳がわからないだろう。」

「・・・だいぶ変わっているのよ。気にすることなんかないわ。」



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