1話 日常

高校2年になった。

まだ彼女は病気のままだ。

今の僕には、何も変えられていない自分を責める暇もない。


ピーンポーン

「はるー、みそらちゃん来たわよー」

「今行くー」

そう忙しそうな声が聞こえて、5分ほど。

「待たせてごめん」

そう言って彼が慌てて出てきた。

そんな感じで今日も学校へ向かう。


「昨日も遅くまで調べ物?」

そう聞くと彼は、

「まあね」

と軽く答えた。

そう、彼はあんな昔の約束をいまだに果たそうとしているのだ。もういいよ、そう言えば彼は解放されるのに。

「無理しないでね」

自分のために頑張ってくれる嬉しさ、生きられるかもと信じている自分の勝手さからその一言が出ない。


キーンコーンカーンコーン

「今日は先日の期末考査の結果を返していくぞ」

赤点やら再考査やらでクラスが騒がしくなる。

すると先生が、

「今回も学年上位十人を発表する」

「1位黒山はるま 2位御山みそら 3位青山さき 4位・・・」

と長々と喋り始めた。

自分にとってこんな順位は意味がない。

ここで1位を取った事で、みそらの病気が治るわけでもない。


キーンコーンカーンコーン

放課後、大学の研究室へ向かう。


「あれーはる君じゃん、今日も早いねー」

そうやって軽い口調で話してくる彼女はその女子高生っぽい見た目、性格とは裏腹に天才だ。

女子高生っぽいというからには、彼女は女子高生ではない。

紛れもない大学生だ。

彼女は、大学生にして紛れもなく薬学において世界のトップを走る者の一人だ。

ここで挨拶を返すと長くなりそうだから僕は無視をすることにした。

「なんで無視するのー」

と彼女はついてくる。

失敗だった。

そんなこんなで研究室に着く。

「みそらちゃんはどーしたのー?」

まだついてくる。

「今日は検査もないのできてません」

仕方なく返した。

「そーなんだー、で、実験はどう?」

返事が来るなりすぐに本題を聞いてくる。

「まだダメですね、」

正直に話す。

「そーなんだ、まー頑張ってー」

そう適当に言って、どこかへ行った。

その後いつものように研究室で実験をした。

帰ったらもう夜だ。

ベットに着くといつも考える。

いつになったらあの約束を果たせるのだろうか。

いやまず本当に治すことができるのだろうか。

着々と時間が迫るのをここで感じる。

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病気の彼女と僕の物語 @mckee3

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