エピローグ2 彼

私は彼が好きだ。

あの日、病気だと分かった日

「僕がみーちゃんを救うよ」

この言葉にどれだけ救われただろう。

それから、そばにいてくれた事でどれだけ励まされたか、きっと彼は知らないだろう。

本気で辛い時なんて何度もあった、友達と将来について話す時、進路について考える時、勉強している時ですら、未来に自分がいないと思うと、全てのことが意味のないことに思えてきた。

そんな時いつも横にいてくれた。

たくさんのことに意味を与えてくれた。

でも、好きだなんて言えない。

あれから彼は、必死で、本気で私の事を救おうとしてくれている。

自分を犠牲に。

きっと彼は私がいなければ、普通の高校生のように学校帰りにカラオケに行ったり、部活で活躍したり、彼女だってできていたかもしれない。

なのに今彼は、高校生にして研究室へ行き、研究を重ねている。

大人になる頃にはいないかもしれない私のために、青春の大事な時間を使っている。

なのに私はのうのうと過ごしている。

普通に学校へ通い、友達と遊び、あろう事か恋までしている。

そんな私が、どうして彼に好きだなんて言えるだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る