831日目
しおに愛を囁いて、今日で831日目。
それでも今までずっと返事を貰えていない。
酷い話だ。私はこんなに彼女を好きでいるのに。彼女を責めても仕方がないとはわかっていても、やっぱり私は彼女が好きだから、答えてほしいと思ってしまう。
小雪を過ぎた寒さに身体を震わせながら通り掛かった空き教室に、私は思わず聞き耳を立てた。
「ねぇうみか。せりなの好きな人って…」
「……私も話した事はないんだけどね、いい噂しか立たないような人だったよ。顔も普通に可愛かったし、スタイルもいいし」
「そうじゃなくて、」
「さくら」
「、?」
「…………その話、せりなの前ではしちゃ駄目。わかった?」
「う、ん……」
本当はわかってるんだよ。
宝石みたく綺麗な瞳は、すべすべした触り心地のいい肌は、私の名前を呼んでくれた鈴の鳴るようなあの声は、もう
この世には、ない。
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