それぞれの番外編

アクレイオスの議長録①

今回、『極北の城』はイレギュラーばかりだった。その記録をざっとまとめておく事にする。


最初は竜人がやってくると言う報せから。それに関しては珍しいが、以前にもあった事例がある。2回ほど気まぐれに参加する竜人が居た。しかし両方とも極寒の環境に馴染めず城に篭りっきりだったという。


それでも、その過分の魔力で城の警備や寒さを凌ぐ術を与えてくれた。


狩りの能力も発揮され、手強い魔獣をも苦にせず討ち倒す。その性格が軍とは相容れないだけで、戦力としては文句なしの種族だ。


氷の竜人が来た。寒さでも出歩く冒険者としても名前を聴く男だった。


番<つがい>探しの一環だろう、と。


種族的に番を求める欲求が強く、竜人が番の事となると街を滅ぼしたと聞く。獣人は本能的に恐れるが、扱いには注意が必要だろう。


そうは言うものの、たいした混乱もなく竜人ロードの方の迎え入れは成された。


大変だったのは、もう1人の方だ。

護衛の選別から、権力狙いの突撃する輩を抑えたり。とにかく王族の血筋であるため、狙われやすい。


当の本人が、御し易いまたは甘い汁を吸えるタイプではないのは明らかなのだが。あの容姿が油断を誘うのだろうか?国のトップレベルの魔力を持ち、単独で転移魔法を使える男が弱いというのだろうか。


確かに、腕力はなさそうに見えるがそれがどうしたというのだろう。周囲をうまく動かせるその頭脳も用意の周到ささえ備えているのだから、近づけば破滅を贈り物にする事だろう。


そんな男が急遽、極北の城に来る事になった。その準備の方が大変だったと記しておく。本人への準備は我が儘を言われはわけでもないが、周囲が騒がしくなる。丁重に迎え入れるのは賛成だが、仰々しいのも好まれない。


それに、この城へ迎え入れる主旨とも異なってしまう。


ここは、雪深い季節を過ごすのに集まり、薬学を学べる場所だ。


城を守るために兵が配置され、騎士が民を守る。その訓練に指名された者たちは、新兵から抜け出して能力を更に上げる年頃の者達。


統率もひと苦労だが、この時期を乗り越えれば鍛え上げられた兵士となる。


再び、極寒の地へ赴く私はそれほど気負いもなく『極北の城』にたどり着いた。


これから、魔木による危機的状況が訪れその問題を解決するために頼るメンバーが集結する事になる。


その中に、幼い子どもが現れその子が竜人ロードの番である判明する。その子のおかげで城が守られたとも言える。


それほどに竜人の苛烈さというのは背筋が凍る思いだったと記しておこう。


例え、これほどの混乱する時期はないだろうと思えたとしても。




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