40-行き先

「それで?」


「国に連れ帰って保護される。親戚と連絡がとれるだろう。」


保護された兄妹の

セリが会うことはないだろう。


「ますます、国交がって?お偉いさんは大変だな。」


騎士と兵士も国へ引き上げる。冬の寒さを凌げば、今いる住民も帰って行く。


「へえ、カナンがどこに配属されるんだろうね?」

「やな予感しかしないんだが。」


キースの含みのある言い方と、カナンが可哀想な感じだけど。


(上からの命令に背けないって大変だな)

セリには他人事だった。


グスタフの話の方に気が移る。

「お守りのことも聴いた。島国から伝聞されたものらしい。他の教会では見ないものだ。」


「ソウ、結構前から作られているの?」


「独自に変化している。遡るのは難しいが、進化させることもできるという意味だ。」


シュルトも知らない商売チャンス?

キースと議長も聞く。


「それなら、もう魔道具の範疇?」

「ほう、私も興味がある。」


議長も興味があるらしい。エルフの知識は深いというけど。伝承を全て知っているわけではないだろう。とくに排他的な気がする。


人族至上主義を抱えているここ数年は特に、怪しいらしいとシスター達の話だった。


セリは感じないところに居たが。


議長の仕事の話になってしまう。

「例年通りなら、極北の城に居た住民が減れば兵士も必要なくなる。人が減るが、魔木と、誘拐の件もあるため駐屯する。」


「商人達も切り上げるケド」


仕事の打ち合わせになるのもしょうがないのだろう。

セリは食事も集中した。


ロードが狙って、果物を勧めてくれる。

あーんと食べさせて、ひと心地ついた。


あったかいし、果物が美味しい。



そんなひと段落のまで、セリへ疑問を投げかけられた。

「セリは、どうしたい?」


「獣人の国に行って、勉強したい。」


勧められていたが、決心した。


知りたいと思う。


「少ないが、少数の者もいる。良い環境を用意しよう。」


かなり良い条件だと思われるが、セリが全て把握は無理な話だ。

「よくわからないし、手に職は大事。冒険者登録はしておきたい。」


要望を言ってみた。教会を出てからの目標は変わっていない。

環境は大分変わるが、より具体的になったかもしれない。


「俺も一緒だ。」

ロードに撫でられる。


「ええ。面白そーオレもそっちに参加したーい。」



「騎士に上がって僕の近くにいればできるよ?」

「は?」


「出世おめでとう?」


「う、嬉しいか疑問。」

「顎で使われる、決定ネ。」


「まだセリに手を出すのを許してないぞ」

「手?」


「言い回しも勉強カシラ?」




まだ知らぬ場所へ、旅立つ日が近い。

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