28-お祝い

「あら。かまくら。」

様子を見に来たシスターがつぶやく。


祭りで作るものに似ていた地域にいた事があるようだ。

「雪で洞穴を作って、中で食事するのよ!」


「穴を?」

魔法以外でこのドーム型ができるものか?セリは下に掘るイメージしかできなかった。


「それ、ビバークだと思うよ?」

<雪を掘って、風と寒さをーやり過ごす穴。>


そうセリに言い残して、キースは土の方へ行った。カマクラに慣れているらしい。今日は泊まる用意して、泉には明日の朝行くことにしている。


「焦るものでもないし?」

「朝の泉が見てみたい。」


キースとグスタフの要望でもあった。セリはその時、神父様に頼まれた分の水を汲んでくることにする。祀る時に使う水だ。雪解け水でも良いけど、泉へ汲みに行けたら使う。


そしてセリは、シスターと台所に立つ。豪華に肉のつく夕食の準備もする予定だ。

「お客様には、外の方をご案内したのだけど。」

「後で、内風呂にささっと入るよ。」


子供だちは、早々にお風呂か。

帰ってきたセリは、準備に色々やることも多いだろうからシスターと話しながら作業している。


(これも、ここに居た頃には日常の事だった。)


日暮れまでが活動で、その後は狩りの準備か寝る。水を汲みに行くのも早朝だ。理由は…

『運命神の最初と最後を司る。縁を紡ぎ、始まりと終わり。日が上り、沈むまでになぞらえて早朝汲んだ水が好まれる。』


厳格な決まりはないけど、日常の仕事のうちできるだけ妨げのならないように配慮されているのも、運命神らしいところか。


狩りに出ても夕食の準備には入っていたので手慣れた作業を進める。

手は動きながら、最近の話を聞いていた。


報告の兵がセリの最後を伝えに来た事、けど無事を祈っていてくれたこと。国にある運命神の教会から手紙が届いた話…


「最近、獣人の子を3人一緒に保護したって。」

「兄弟?」

「いいえ、一緒にどこかから逃げて来たって言うのよ。」


この教会は、国の支部の出張所扱いだ。厳しい環境の救いになるようにと細々と続いている。関係は良好で、何かあると連絡をしている。


主に怪我人が助けを求める者の保護だ。教義に即しているが、国がそうだと限らない。


人族至上主義

3人もいっきに?獣人は少ないが居る。けど、国の風潮から子供の守りが強固。離れる事は少ないし、兄弟で動く。


迷子以外に、子供の保護はそれほどない。


「北の砦でも上の人がそうだった。」


迷える人へ手を差し伸べる教義とは、違っても活動は可能。逃れるための援助とかね。


そうこうして、

番のお祝い、肉パーティに子供達が歓喜した


「結婚おめでとー」

「え、まだじゃ?」


・・賑やかな夕食だ。

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