29-お国事情

「獣人の子の誘拐?」


お国事情


人族が多く、海の島国としか国交していない。独特な風潮が育っている国。教会はその端っこに位置する。魔物の巣食う森の向こうは、魔境とか言ってるらしい。


教会はその昔、逃げる人の助けになるよう建てられた場所らしい。


洞窟に湧いた泉は、傷ついた者達を癒したと。

ポーション作り、ここでの暮らしを慎ましやかに過ごす。修行の意味もあるらしい。


…神父様の話でした。


「実際の救済場だった訳?」

「獣人が逃げたって事カシラ。」


「圧政に耐えかね、森を抜ける覚悟をした人達には子供も多く、川を下って獣人の国に渡ったそうです。」


「たどり着いたってわかったの?」

「はい。商人として訪れた方や手紙などで伝えてくれました。」


「ポーションの話は、何か特別なものでもあるの?」

「伝説ってだけですね。」


「そう?効果が少し増すって商人のおじさんが言ってくれるけど。」

「褒めるのが仕事みたいなものよ、商人だものっ」


(シスター達。今話しているシュルトは、商人だよ?)


「肉うめえ!」

「私のとらないでよっ」


「よく噛んで食べなさい」

神父様がまた食事を子供達にあげている!

(夜食を用意しよう。肉の入ったものを)


視線でシスターに確認しておいた。

そんな賑やかに終わったけど、お酒がある訳ではないのでそれぞれ休みに。


外の雪のカマクラに行く前に、風呂に入ろう。

片付けもほどほど、行くと…


「セリ風呂入ろう」


まだ入ってなかったか。ロードと一緒に行こうとすると、後ろから声…


「セリは無頓着ですから」

「子供が多い環境ですし、羞恥心が薄く」


「結婚する同士は良いんじゃないの?」

「風呂くらいひとりで入れるだろ!」


シュルトに告げ口しているシスター達と子供達。

(仲良くなったね。)


のんびりお客様用の風呂、外の景色が見えるが魔石を利用して冷える事はない。

「セリ。…このまま、ここに居たいか?」

「ううん。もともと冒険者になりたから、次はギルドがあるところに行きたい。」


「そうか。どこに行こうな?」

「獣人の国にもギルドがあるよね?私も登録できる?」


「種族で弾かれる事はないから、できるぞ」


「そっかあ。ランクを上げて、暮らしができるくらい稼いで。」


「極北の城での稼ぎで、お茶の葉とお酒を買ったんだ。」

「そうか。魔導具は褒賞だからな、けど金もあるんじゃないか?」


「ん?そうなの??」

「シュルトに聞いた方が良いな」


「お金があったら、装備の強化…。」


堅実な使い方を考えるらしい。

「本を買うのは早いかな。」


高価だからな。セリのために手に入れようと決めたロードが居たのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る