27-教会

「セリ!」

「神父様。ただいま帰りました。」


外からシスターと戻ってきた方向から、泉にいたのかもしれない。


「無事な様子で、よく頑張りましたね。」

不覚にもうるっと来た。


「ありがとうございます。」


その後、神父様が少し固まる。連れて来た皆を見ての、驚きかも。

(視線の先は、誰?)


竜人が珍しい?獣人は気にしないだろう。

グスタフが大きい。けどこれほど驚くだろうか。


そうなると。シュルトに、キースだ。


キースに反応している気がする。そういえば、偉い人だったなあ。

(どこかで会ったりしたのかな?)


急に、お偉いさんをいきなり連れてきてしまった。それは当然焦るよね。大丈夫だったか神父様が心配になったが、普段よりぎこちなく歓迎の言葉をかけている。


今回の話し合いの役割は、キースらしい。

「外にテントを張らせてくれないかな?しばらく泊まって行きたいのだけど。」


「し、しかし外は寒いです。中のが…。」


確定。お偉いさんに気を使ってる話し方だ。

「んー、テントのが都合が良いかなあ?」


「慣れているので、場所だけ貸して欲しい。」

「持って来た肉、どっかで捌かせてもらえるか?」


「「「肉!!」」」


聞いてた子達が我慢できずに叫んだ。その後にも元気な声が聞こえたが、シスターが話の邪魔をしないように奥へ連れていってくれたらしい。

遠ざかる声が期待に満ち溢れている。


「やっぱ子供は肉だよなあ。」

そこは変わらないね。


神父様に向き直ると、セリは許可を得るため聞いてみる。

「泉を調べてみたいんだって。」

「あそこをですか。傷つけたりしなければ構いません。セリがよく知っているでしょう。」


案内役になった。


「いつ頃まで滞在を?」

キースとシュルトの相談で決まる。

「3日かな?」

「そのくらいね。」


滞在も決まり、落ち着くところで。ぎゅうとロードが後ろから抱きつかれた。


あ、そっか。ちゃんと紹介しないと。

「あの、番だって言われてる。ロード。」


しどろもどろしてしまった。ちょっと頬が熱い。


「おお。そうですか。まだ未成年なのですが。」


「ちゃんと守る。」

「ワタシ達も見てるから、そこは安心して頂戴。」


諸々とはいっていそうな、シュルトの説得力が違った。



外へ。テントを張って良い場所の案内するセリ。さっきの熱さも解れる。


グスタフが土魔法で地面を均してくれて、

「やってみるか。」


半球体に土が形成された。盛り上がってっていうか…

「器を逆さまにした形。」


入り口はあった。


「俺にもできる。」

そう言ったロードの方は、雪のドームができた。


「この中にテントを張るぞ。」



雪と風を防げる。


雪と土どちらが寒くないのか。

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