26-シスター

「まあ!セリっ」

「ああっ運命神に感謝しなければ。」


シスター2人が出て来てくれたため、帰りましたと挨拶をして。

一緒に来た人達がいると、お祈りするのに使っている集会所まで入れてもらった。


「温っかい。」


ほっとその温度と、馴染みの風景に安堵する。


子供達は何人か外に出ているようで、小さい子が3人。シスターの1人が神父様を呼びに行ってくれたようだ。あの方向は書斎かな。


訪れる事もあるので、特別

な訳ではないだろう。


それでも、やって来た人達に興味津々なのも通常の事。


「誰がお婿さん?」

「あの水色の兄ちゃんだろ。」


「獣人だあ。」


獣人の特徴を持つ人が珍しいのだろう。覗きながら丸聞こえで楽しそうだ。


「飲み物をどうぞ、皆さんも。」


器にお茶。


温かい麦茶の香りが芳しい。



(ああ。良い匂い。)


舌を火傷しないよう慎重に飲む。


庶民のお茶だけそ、口に合うかな?


キースがカナンの分をとっていた。気に入ったらしい。



「美味しいわネ。購入できるかしら?」

「ええ。身内で作っているもので、たまに旅人さんが買ってくれてますから。他にも見ます?」


シスターが販売している。

元農家の嫁と言っていたシスターは卒がない。


「ごめんなさいね、まだ神父様は来れないみたい。」


「ううん突然帰って来たし、生きてる報告ができれば良い。」


セリがサッパリした答えを言う。本心で


気がかりだった。目標達成だ。


「そうね、兵士さん達から行方不明とは聞いていて驚いたんだけど。」

「大丈夫でしょ。セリだものであまり心配してなかったわよ」


「あらぁ、報告で目眩を起こしていたでしょう?」

「そりゃ、魔物に襲われたら怪我じゃ済まない事もあるかも。でも!

見つかっていないなら、生きてると思ったもの。」


逃げられたのかもしれないという考えもあって、そこまで悲壮感はないようだ。それにセリは安心した。



帰りを待つ寂しさは、耐え難い。


「本当はもっと連絡が遅くなりそうだった。」


「まあこんな僻地だもの。しょうがないわよ。」


「そうね。手紙でも来るかしら?って他の子からもたまに挨拶の手紙が来ているし。」


それも、時期を選ぶ。今の雪の時期では難しいと、どんどん手に渡るのが遅れる。


「お祝いしなきゃね!」

「一緒に来た形の歓迎も。」


そうだ自身ばかりが話していた。

ふいっと振り返ると、まったりしている4人が映る。



「ああ、お世話になった人達を紹介したいんだけど、神父様が来てから?」


「ええ。まだかかるかしら?しばらく、お寛ぎくださいな。」


そういえば獲物ってどうしたんだろう。見てなかったセリだった。

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