14-海の宝庫

セリがドワーフの居住区を通り抜け、海へと行くのは見送られた。

今の落ち着かない状況では、長居もできない。



しかし、誰も海に行っていない訳ではなかった。

川から海に出る経路は調べ尽くされ、今でも調査に人は行く。


そして、海の幸も入手していた。

そちらが主になって来ているが、それもまあ容認されている。


「で、オレ戻ったんだけど?」


モフ減りしたカナンの説明に、すんなり頷くセリ。

モフモフできなくて、ちょっと残念と考えながら話は聞いていた。


視線の先は尻尾に入っているので、ロードはセリを確保するのに専念している。狼姿は我慢できたが、“獣人の男を触る俺の番”は許容できない。


そんな朝を過ごした後、シュルトとともに

護衛とは別な人達が食べ物を届けてくれた。生食できるほど新鮮でシュルトが管理してくれるらしい。


ゴソゴソと動く木箱の中身にセリが及び腰だ。ロードが密かに、セリに頼られたのを喜ぶ。実際盾にしただけな気がするが。


シュルトは気にせず、開けた。


海鮮物が詰まっていた。生きたまま。

「素材のままネ。焼けばいいものね。」


「コックに任せる?」


人族で、北の砦に取り残されていた1人。

元気に料理人をしているらしい。


「害がなさそうだものね。」


タローとクエンのが怪しいだろう。


「夫人に面会ができるかな。」リハビリ中らしく、長く話せない。

お花を送ってもらいシュルトに御用聞きな事をしてもらっている。


元気そうだったので、もう少しゆっくり話せる頃か?


「ア。」


シュルトがこぼした声に向くと、カニではなくエビらしい飛び出た威嚇していているエビが床に降り立っていた。


がしょいーんとカクカク動きながら、セリの方へ近づいてくる。

シュルトは他のものを抑えるのに手一杯だ。


魔物に分類されるか微妙なエビだが、大きく攻撃的。

「ちょっと怖い」

ロードに隠れながら見る、セリが呟く。


狼が動く前に、ロードがサクッと捕まえてセリに見せた。

危険はないが、なんか怖い。


そうしていると、視界に入れないようさっさと戻してくれた。


ちょっとした騒ぎにもなっていないが、そんなことがあって昼は豪華になる。


「焼くわ!」



場所は、議長の執務室のテラス。野外用のキッチンが出されている。


転移魔法で帰って来た場所だった。

前とは違い、雪かきがされ降る雪は結界で入らないようになっている。


煙は籠るので、その点魔道具で吸い込んでいるらしいがセリは気づかなかった。


「良い匂い!」


海鮮物に野菜、そして酒。セリは果実水でパーティにようになっている。

出席者は顔見知りでいつものメンバーだった。


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