13-北の砦の奥

兵士への喝入れ

極北の城の上層部の会議


怒涛に過ぎたようだが、数日。現在の会議はその合間に代理を立てている。団長は疲れた様子もなく覇気を纏って座っていた。


ピシリと軍の長として自身も律している影響だ。

上層部が集まった会議で、それに怯む面々でもなかった。


議長、アクレイオスから

「セリへの褒賞のひとつ、今はドワーフの管理する地図の閲覧も済んだそうだ。」


伝えられる事に少しの緊張をしていたようで、セリが特に問題なく過ごしている様子にホッとする。


騎士、兵士の締め直した後で不祥事。次はないという思いが強い。


竜人ロードの番、セリの性格に問題はなくどちらかというと救われている部分が多い。


「それに甘えている現状から脱しなければ」


団長は自らの心も戒め、締め直している。ロードから要望が入るには当然の範囲内。セリから問題視されていない。


なので肝心なのは今後の事だ。セリへの褒賞は微妙な立場から、決めかねていたが

「金銭、爵位が使えないとなると…」


物になるが、生活に使う魔道具を求められて他にないものか?

質とより量の手段をとった前回、まだ手渡せていない物に追加だ。



「んー。好奇心ある今度だろ。ならアレはどうだろうか?」


ドワーフの提案は一応、聞いてみる事。お茶会の体裁で招待し、確認を取る事にも決まった。


この城の後見である議長、団長と夫人カトレアの参加が決まっている。


セリと仲の良いリリンとその親族で副団長の兎獣人が参加するかは、まだ検討中だった。


参加を希望する者も居たが、今の状況では受け入れられない。


竜人を刺激せず、有効的な態度を示すにはセリに入って貰うのが最善。

思惑は抑え込まれ、釘も刺されてその日の議会は終わった。



誘いをするには部屋まで行、すんなりロードとセリに会えるようキースについて来た形のアクレイオスから地図と指し示す場所。

「興味はないかい?」


「海!」


北の砦を抜けた先、海産物に話が続いた。セリへの褒賞の一端にしようと食べ物の話が持ち出された。


あれ?と思ったセリにロードが念押しする。

「泳げないぞ?」


寒いし、魔物のいる海では難しい。それはそうだ。話で知っている。ただ漁業があるか、船を想像していた。


「泳ぐ?」

セリは泳ぐ発想がなかったらしい。干物を手に入れられた経験はあるため

海鮮物は好きだ。なかなか腹持ちが良い。


よく、大人達の酒の肴に消えていくが。


相違がある事に気づき、ロードの説明を詳しく聞くと

“避暑に海で泳ぐことがある”


「お風呂?」

「遊ぶ方面が強いな。」


この地では寒いので無理だろう。土地柄で違う海の過ごし方を聞きながら、夕食となった。

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