5-報酬話
食卓を囲みながら、今回の褒賞の話になった。
グスタフは研究の一環の支援。
キースも役目上の事とはいえ、いくばくかのお金を受け取ると。ロードもそれと似た扱いらしい。
所属のあるシュルトとカナンにも褒賞が出るが、セリにはどうすれば良いかは協力を急に願った事と、所属のない立ち場から悩む所だ。
ここで何も褒賞を出さないのは、論外である。
「やりたい事とか?」
「いろんなとこを見てみたい」
子どもらしいが、褒賞には難しい。
冒険者になるつもりで過ごしていた。生活のためもあるが、どこにでも行けるというのも魅力だ。
その実力や、準備は置いておいて。
「欲しいなと思うものなら…魔導具。」
「どんな物だ?」
「布団を温めるのとか、雪かきのやつ。」
セリの顔は、高いよね?と言う顔だ。
事実、それほどじゃない。確かに安いって物じゃないが報酬にしては安過ぎるくらいだ。
今回、緊急事態とはいえ危険のある作戦に参加させてしまった。その役目も大きく、報酬なしでは済まないほどの功績だ。
議長が困った。助け舟を出したのはシュルトだ。
「教会への支援ってことかしら?魔導具の数を増やすとか、できると思うワ。」
お手頃な値段でも、数で揃えようと提案した。
商人らしい答えだ。
「もともと保存食とか持って行こうと思ってた。」
生存を報告して、出て行くだろう。
もう孤児院にいる年齢ではないし。
その後は、近くのこちら風にいうと人族の国に進む。
今は、獣人の国にも興味はあるが、移動手段に困る。川から行ける時節にはまだかかる。
「一個褒賞にはできないけど、上げられるものがあるよ?『ドワーフの居住区』の奥、海側で地図を見つけた。
…帰れるんじゃない?」
セリには、吉報だった。
「その地図で、教会に場所がわかるのか?」
ロードの確認に
「すぐにではないけど、情報は集まっているね?」
「実際たどり着いたドワーフの手記もあったそうだ。」
「隠れた教会、その洞窟へ参拝したって感じの?」
その情報にセリが喋る
「確かに洞窟はあった。洞窟きのこを食べていたオジサン達が
こっそり酒を飲んで、ついでにお供えしてた。」
奥の小さな湖が幻想的。
他の教会があると思わないし、あったらあったで交流くらいありそうだ。
「近くの教会は、国の片隅にあるって聞いてる。他にはないって話だった。」
間違う事はないのは確かだが、目印がないから迷うのだ。
「探して見つけられなきゃ、そっちの孤児院へ手紙を出しなさいって。
鳥の魔物を従魔にしているから、届けられるって。すぐじゃないけど。」
それほどたどり着くのが難しい
“辿り着くのさえ運命任せ”の運命神の教会だった。
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