30-お腹減った

シュルトの出した魔道具で、魔力を使う探知機を使う。


大事になって来た。そして調査っぽい!

休憩を言い渡され、ロードと大人しく待つセリ。


「ここだ」


グスタフの声に、短い洞窟に入っているのをみた。



「魔力を入れてみる。こちら側に寄ってくれ」


何が起こるかわからないが、大掛かりな装置らしい。


ズズっと中央のあたりで、地面がズレる。

「物が置いてあったら開かない設定だ。」


地下へ足を踏み入れる。道ができた。


地面を切り取ったかのように、下へ続く広い道。


「下が本命?」


物も人も悠々と通れるだろう。奥には扉がある。


「なんで隠してあった?」



「収納してあっただけだと思う。」

その理由だと、邪魔だったからやっただけの仕掛け。


それにしては大掛かりだと思うが、ドワーフの凝り性はたまに方向性がわからない。


「行ってみよう」

グスタフの言葉に頷き、できた道を降りる事にした。



到達した門に、力を入れる。ギギっと動くが重い。

「このまま力を入れて通れるが、多分壊れる感じ。」


使わないと思って、封鎖したのかもしれない。


「いや、魔力関係の仕掛けで開けられる。」


確信めいているのは、この場所が魔力の補給で開けられたなら、ここもそうだろうと言う関連性。そういった法則を好むらしい。


扉を探る。

印象は重厚な木が白く塗られている、両開きでこちらから押す方向の扉。


壊れて開かない可能性より、仕掛けがある線で探している。


「鍵がかかってるとか?」


鍵穴らしき場所も見当たらない。


しかしグスタフが、思考を巡らす。


「開けようと思えば、いけるぞ?」

「壊れるより、開けれた方が後々良いと思うワ。」


保存の


グスタフが扉の前に立った。中央に手をやり

<<開け>>


(何か言った。)


ゴゴゴっ

「開いた。」


「え、呪文?合言葉?」


「毎回開けているなら、複雑な手順じゃないとみた。それなら思いつく言葉で登録したと思われる。」


ひと言で開けられたらしい。


「厳重なの?単純なの?」

「簡潔な方法だ。」


単純とは言いたくなかったっぽい開かれた場所は、



「レールが引かれているな。」

ここで資材の搬入をしたのね。


3本のレールが奥まで続く光景。


灯りが灯っていて見える。


少し暗いか?見渡すのには十分な灯りが続いている。


反対側だ。


左右に分かれて、のぞくもすぐ合流。

眼前には


「街?」

「生活の場だな」


奥に長く続く。下が石畳みが敷かれ、サイドに店のような作りがあった。





「位置は」

「北の砦の下?」



小屋の方に行ってるか?



地下のまち


商店に


マーケットか。


誰もいない、土埃が舞う。


「お店屋さんごっこでもできそう」


誰もいないが、かつて人が居たと思えるほど整備されている。


天井が高い場所は、上の方まで掘ってあるのだろうか?



北の砦方向に戻る道を行く。


行き止まりということはない


生活スペースと坑道、それを繋ぐ仕掛け。

これだけ揃っていれば、出入りも作られている。


そういうタイプの採掘場だ


と判断した。



長く採掘すると、住居のスペースまで凝ったものにする。


その上、食糧も仕入れられる道を作るが。線路の先は海側まで到達させ、こちらは森に通じていると思われる。


なんで?


便利なのと酒が得られる。



川で商人と?


その時鉱石で交換したかもしれない


自身ありげ。


真実らしい。



歩いているように見えるが、北の砦までの距離を計算して戻っているらしい。


ガランと商品の置かれていないような各部屋を覗いたり。


街を歩いている気分になった。


セリは行ったことがないが、マーケット規模はギリギリ町といえるくらいのものだ。


石畳、灯り、凝った看板に


地下の町と名乗っても十分な精密さだった。


雪に覆われていないだけでも、真新しい光景だが。

話には聞いている。


ここだ



塞がれているが


汚い?


素人が積み上げたような煉瓦に、こだわりの強いドワーフ作とは思えない出来栄え。


壊すか。



バキインっ!と氷魔法で打ちつけた壁が簡単に壊れ。


土煙が舞う。


セリはカナンのマントに包まれ無事だ。


けほっ

と前を見れば、


食堂。



セリの言う通り、北の砦にある食堂に到達していた。

拠点の香りがセリにもわかるくらいに、漂ってきていたのだった。


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