37-見回り

目的地の拠点予定についたところで、セリのやる事はなかった。


テキパキとテントを張る大人組にを横目に、本日の獲物を捌く方に来た。


解体の仕方はわかるが、大物なので手こずるだろうか。

血抜きをするのだが、シュルトが筒状のものを出した。


「出すワヨ〜、」


魔道具と思ったが、出す?

ヌルリと赤黒いモノが出て来た。


「何?ナニ?」


ギュッとロードの腕を掴みながら、セリはソレが自ら動くのを目で追った。動きは鈍いが這って動いている!


「“血抜き用のスライム”、ヨ?見たことナイ?」


うにょっとのろりと、フォレストバードに近づいた。

「血抜きはこのコに任せれば良いわ。その間に、羽はむしっておきまショ。」


フォレストバードの体内、中に消えて行ったその姿に衝撃のまま。言われた通り羽をむしって集める。ベッドに敷く用の羽毛に使われているのは知っていた。


「クッションに入れようカシラ?」

なるほど、いっぱいあるし触るとふわふわだ。


『極北の城』での需要はベッドに使うには、もっと暖かい素材が人気らしい。小物や服の装飾に使われてることのが多いとシュルトから聴きながら…


とにかく毟る。


ライリーも無言でやっている。手の力があるためか、ブチブチと勢いが良い。セリは密かに対抗心を持って、羽根を袋に詰めていた。


ロードの膝の中にいながらやっているせいか、のんびりしているように見えて。結構な量をこなしていた。



そんな、作業を視界に収められる位置で。


3人組みの、アレクセイとビクトール、ベンゼル。それにザイルとソラスを加えテント張りが着々と進む。基本に忠実なザイルに、器用な情報部の人材。バランスも良く、素早い設置が可能だった。


ライリーとセリがいない方が、速いのは仕方がない。シュルトの指示でしっかり動いているので、頑張っている方だろう。


早々に、グスタフとカナンが周辺の状況を調べるまで終わっていた。



そこを俯瞰できる所に居たキースは、優雅にお茶を飲みながらの監督官役?シュルトがささっと用意したアツアツの紅茶を飲んで座っていた。


キースだからですまされる身分である。そして上司なんてそんな物という考えもあったので、スムーズだった。



羽根のむしりとりを終わったセリは、張られたテントを見に来た。

キースが優雅にティータイムを終わらせていて、大人達が打ち合わせ中。


既に、拠点を築き上げた後は食事の準備。そして活動については

グスタフの仕事とも言える。


食事をしながら、ミーティングになった。用意して来た、パン挟みを食べながら…多い!


(皆、量が凄い。)

体が資本とは言え、想像を超えていた。

セリは、全員でどれくらいの量を作れば良いのか?算段がつかない。


孤児院で肉の調達をしていたためか、食事の準備の方に思考がいった。


野営で用意できるか心配したが。そこは兵糧丸というお腹を満たす携帯食がある。ただし、味気ない上に口さみしいので狩りをするのが定番だ。


簡易なスープも作ることが多い。なのでこのメンバーは、ほとんどが料理できる。


唯一、できないのはキースくらいだが、そう言うと火魔法で丸焼きができると派手な料理を見れるが、今回の肉は使わないで欲しいので話は振らない。


護衛3人組から、当時発見された状況を聞いている。

セリには初耳だ。


「森が惑わせてくる。」

「雪、氷が上から横から…」


「僕は記憶にないので、後で聞いた話を総合して…」


嵐に遭っての生還は、よく無事だったと奇跡を喜ぶべき状況だったらしい。



「その奥、だね?」

目指すのは時期が違うとはいえ、その奥。

キースの言葉から、まずはその準備からしっかり整える方向で合意がなった。

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