第二十四話 修練

のんびり


地下の訓練場は使えない

場所がない



団体の訓練に使われている。

医療棟の近くにも、訓練している部隊がいて

日が暮れるまで居た。



なので、セリは部屋に居た。

ここで組み手はできないので


屋根の上でカナンを相手に、身体の調子を整える。

怪我は治癒して、城の外へも行ったが


狩りはできていない。

食事が充実したが、身体が重い気もする。


動きを

身体を


成長なのだが

感覚を戻す必要があった。


「戦う方法となれば、魔法でしょ?」


水魔法を操作しながら、組み手を続けた。


それも雪が多い日は中止だ。


風邪引いたら本末転倒

とのシュルトの決定で


組み手ができる場所を探してもらっている。


そうして今日は、ロードの膝の中だが

普段とは様子が違う。


寛いでいる訳ではない。

「うぐぐぐっ」


セリの妙な声は、魔力の巡回で

身体強化の訓練をしているものだ。


セリがしていたのは

障壁



守りを固める事が課題だった。

常に魔力を纏い、防御に徹する



「まともに撃ち合っては、セリちゃんに勝ち目はない。」


体格

経験の差

訓練された兵士の1人だ。


相手は新人と言っても、まともに訓練を受けていないセリに

そうそう負けるとは思っていないだろう。


「そのかわり、変に仕掛けて来ないよ。」


周りに見られる状況下で

堂々と相手を倒す事そ目的としているからだ。



その点、セリはまだ色々策を講じる余裕があった。


「何をするにも、防御!」


セリの勝つ条件に、“ロードを怒らせない事”がある。

普段冷静で判断力もあるが


セリが傷つけば、ロードは平静ではいられない。


「無傷で勝つ」


難易度が高そうだが、

セリの強みは遠距離の攻撃だ。


近寄らせた時点で、負けに傾く。


相手をどれだけ近づかせないか?

考えが必要な点だ。



「装備は手配したし、


弓矢が使いたい


模擬戦としても、ありな武器だ。


矢の先端は、インクがつくような奴にするだろうが。


「ちょっと仕掛けをする」


セリも易々と負ける気はないのだ。


「セリ、緩んでる」


ぎゅううと圧が強まっている


「うっ…ん」

魔力を練り直し、強度を増した。


ロードの力を防げればオッケー

という基準を分かりやすくするため


ロードにセリちゃんを与えて、機嫌をとっている。


“セリを参加させた事”

乗り気でも、苛ついている。


そう態度には出ていないが。


“番が害されて怒り狂わない者はいない”

嫌がれば、被害が出たかもしれないが、


ほんとにセリちゃんの性格に助けられてる!

という見解だった。


そんな2人は、もぞもぞやってるのも相まって

(イチャついてるようにしか見えねえな)


という状況だった。

ロードが調子に乗って、更に密着している。


楽しいのだろう。

セリは頑張って、耐えていた。


(これを見せれば、相手を煽れそうだな)

と精神攻撃に使えそうだと考えていたカナンだった。


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