第38話 裏道
夜の散歩ルートは、
「さっき果物を貰った受付と、食堂を覗いてー、中庭に出る。
その先に
兵が駐在している場所、かな?」
道順はカナンの提案だ。
そこまで行ってみることに決めた。
(兵の駐屯所?は初だなあ)
灯りが入り、明るくなっている所なのでロードの物言いはなかった。
襲いやすいんだろうか?という点は微妙だと思うも
まずはと一歩踏み出す。
「夜更かしは成長を妨げるらしい。」
ロードに言われたので、予定より速い撤収になるかも。
もこっとした姿になった私は、久々に夜の冷たい外気に吹かれた。
「帰ったら風呂な。寒くないか?もう一枚着ても…」
(ロード付きだとこうなるのか。)
「もういい」
顔を隠すような格好になったのは不満だった。
動きづらいのは嫌だ。
「ぷぷっ」
笑っているのは、
お気楽な様子だが、カナンが誘い出して
罠の可能性も考えてはいる。
(探せないなら、囮は有効だ。)
『もろもろ、込み込みで作戦ってのは立てるんだよ☆』
イラつく人間を思い出した。
それは置いておいて…
小柄な私は、魔法で防御できるのでよくやっていた役柄だ。魔獣相手と、貴族への足止めだったり。なので気負いはない。
鏡の前で姿を確認すると、少し肉がついたか?
背が欲しいので嬉しくはある変化だ。少々の防寒にもなっていると良いのだけど。
人間側の兵士で魔法による防御は魔術師くらいしかできないが、セリは当てはまらない。自分の防御しかできないからだ。
何か違う方法で展開されてる?
疑問は解けず、秘密にされている力だ。
セリのためでもあり、自分たちのりでもあるそうだ。
「ちゃんっと護衛するよー」
緊張感はないが引き締めていこう
セリはロードと手繋ぎですすむ
灯りの魔灯が明るく、暖かい光を発する。
(すごい技術)
魔石の流通、使用は貴族の特権化され
少ない魔力で暖を求めるのが常だった。
砦でもそう変わらない実情
静かに音もなく降る雪
冷たく濡れると凍えるのを思い出すも
屋根が続き、濡れることはなさそうだ。
ヒラリと飜る生地の厚いコート
隙間、穴とは無縁そうなしっかりした縫製。
着たことのない高級な部類の服を気にしていたら、2人が気遣わしげにこちらを向く。
それが少しこしょぐったい気持ちはになる。
気にかけられることは多い
優先されることはほぼなかった。
気づいた事を打ち消し、歩を進める。
疲れはないが
2人のやり取りを聞きながら
寒さまで閉じ込めている闇へ向かう
そこに不安はなく、部屋に戻るのだろうと予想されるのだった。
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