第21話 変身

ロードに案内された部屋は隣の扉が遠くにあった。

つまり、中は広いと思われる。


想定どおり、部屋は従者用にもあり水回りや簡単なキッチンもあった。魔導具の備え付けされている。最先端な設備が多く使われている上等な部屋だ。


しかし、夜も深くなり子供が寝るには遅くなってきたので、2部屋だけ案内した。廊下への扉がある広いリビングにあたる部屋。


そしてロードとの寝室だ。そこにベッドはなかった。


テントのように幕があり、3人寝れそうなマットが敷かれている。

野外テントの豪華版と言った雰囲気だ。

部屋を飾るように色とりどり、刺繍の施されたクッションが積まれているのが洒落ていた。


(変わった寝床だな)

セリには異国情緒ある部屋にみえた。


この砂漠地帯に多いスタイルにしたのは、シュルトの策だった。

これなら野外のテント風で、添い寝くらいなら許容範囲になる。

(…と思うワ。)


ベッドは生々しい上に、この男ロードの忍耐を試すことになるので避けた。


「大変だったでしょ?ゆっくり寝てネ。」

セリに声をかけ、扉も取っ払ってあるので掛け布を手で払って出る。


好感触の様で、クッションを触っているセリ。

模様替えは、セリへの歓迎ムードとロードとの距離を縮めるのにひと役買えるだろう。


元々あった机も椅子もセリには大きいし、使いづらい。

威圧感のある物をとっぱらい、綺羅っと目にも楽しい感じにした。


閉塞感がなく、ロードが変な気は起こさないように。明るい雰囲気にした。


早速、いそいそとセリに引っ付いている男に視線を送る。

((手を出したら、どうなるかわかるわネ?))

シュルトが念を押すと

セリに気づかれないように、“わかってる”とロードは肩をすくめた。


((本当にわかってるのカシラ?!))


シュルトは、議長エルフから依頼されているのもあるが、弟妹のことを思い出しセリの守護に立候補した。

(この男の魔の手から守らないと!)と思っている。


幸い、ロードの依頼にもこたえられる。商品の仕入れを任され、セリの喜ぶ物をと報奨金をそのまま手渡された。


「相当な金額ヨ!?」手元に入った物から右から左にやる金額ではない。


「チョ、金額の確認しなさいよ!」

豪快と言えば聞こえはいいが、杜撰な管理だ。


「別に。セリのために使えれば良い。」


という興味ないような答えだった。

(貯蓄って概念あるのかしら?)と心配になった。


もちろん、誠心誠意な商売をするけど、

竜人を騙してちょろまかしをすり奴なんていないって?

「ちょっとは管理しなさいヨ」


“セリが困るわよ。”

そう言えば、一発で考えを変えていたワ



シュルトはその日、従者用の部屋で休んだ。

静かな夜を過ごしたのだった。


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