第8話 監視
時折、議長と医師はセリについての報告会をする。
「部屋を変えるか?」
「いえ。治療を続けるのでそのままで」
その場にはお茶をしながらセリも居るのは、声をかけて実際の様子を見ているのだろう。
監視ほどは強くはない、保護観察。
それより、圧迫感の強いロードを椅子にしているのが座りが悪い。
まあ、子供っぽいを演出できるので良いのか?
「何食う?」
「くっきー」
そう言えば、サクッと口に入れられた。国では貴重な甘味を補給できる良い時間だ。自動でセリの口に入ってくるのは無視している。
体調については、眠気が酷い。
たまに熱も出ているらしく(自覚なし)、心配されていた。
今の病棟の個室のままと決定する。真っ白で最低限の物しかない離れた部屋は行動を移すには、打って付けの環境だ。
(今は大人しく寝ているけど)
「そろそろ、簡易な鑑定をしたいところだが」
チラリと議長の目線を受ける。セリの情報を得るため進めたいようだ。
未だに、どこの子かわからない状態。黙っているので当たり前だが。
予想として、隣国の子という疑いもあるだろう。
直接問われないが、人間が多いのは戦中の隣国だ。想定しているだろうに。
鑑定の魔法を使う確認は、セリの体調と環境が落ち着いたらすると決まっていた。
年齢や得意な魔力属性などわかる。
すぐに使うには、体調に悪影響をきたすかもしれないので簡易の検査も延期された。
セリの体力回復、怪我は治ってきているが幼いと魔力を注ぐ鑑定魔法が
未発達な魔力回路を傷つける可能性があった。
10歳くらいで受ける祝福を含む鑑定は、特に配慮される。
因みにセリは12歳で魔法も少しなら使える。
これは国の兵士仲間内でも、多くは知られていない
上官に知られれば、言いように使い捨てられる可能性があったので、便利程度に利用していた。
ここのヒト達は、詳しく人間のことはわからないんじゃないかな?
獣人で、エルフやドワーフが混ざっている程度。
人は非力だと聞いていたが、実際はあまりに非力でいつ怪我するか気を揉んでいるようすや、
動きや力が違いすぎるので心配も加速するのか。
出来るだけ大人しくしていたが暇だった。最近、
本に興味がある言ったら、図書館に来れた。
セリの興味や知識から何かわかればと思惑はあっても、
それは二の次だ。セリはあまり笑わない。
心の方もケアが必要だろう。
その考えを感じつつ、セリはウキウキと本を選び出した。
ちょうど、高いところの物も取ってもらえる。
そんな便利な環境を楽しみつつあった。
「ロード!あれとって。」
嬉々としてとってくれる。背が高いのは羨ましかった。
ーーー
ある獣人の長は怪しんでいた。
素性が知れない、子供とは言え人間だ。
議長は擁護するが、人の汚さに年齢など関係ない。
「引き続き監視しろ」
さっと気配は、消えた。
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