第7話 対面


面会の頻度の話にロードが参加し、議長エルフに物申している。

「毎日会いたい!」

「駄目だ。多過ぎる。」


医師からセリに決まったことの説明を受けている側で白熱していた。


「セリ次第」と決定を濁したところで、「見るだけでも!」とねばっている。

停滞してきた内容に、少し眠くなってきたセリは、

(こう寝てばかりだと子供っぽくも映るか。)


うとうとし始めて、結局眠ってしまった。

怪我の影響と寝不足を体が補おうとしているようだ。


目覚めた時には夕食の時間。食べて早々にまた、寝てしまった。


ロードが部屋に抱いて戻った事が噂になったのを、セリは知らない。



ーーー次の日

対面。


獣人の子がいっぱい。子供を預かる場所に連れられて来た。

「新しい子よ、セリちゃんって言うの。」


昼に近い頃、昼食を別の場所で食べると連れ出された先。

早く集団に馴染めるようにという配慮だろう。


この周辺の住民は、寒い時期にここで集団生活をしているらしい。


警護が厳重で、設備も整う城を解放して使っている。

昔、獣人の誘拐が起きた事で始まったそうだ。


まとまることで、守りやすいらしい。

隣国との戦中、(今もだけど)色々変化を求められたのか。)


顔まで獣の顔の子は珍しく、つい

元気に動き回る姿を目で追ってしまう。


体格は同じくらいで、しっかりしているように見えたけど。

「耳がなーい」「毛がない!」「遊ぶ?」


言動は幼い。


7歳前後?の子供達が集まり、皆獣人。

特徴は様々だけど。獣人の発育の良さを知った。


セリは気づいていないが、自身の体は栄誉失調気味だった。

その体と比べれば体格が同じくらいになった理由だが、筋肉のつき方の違いでそれ程厚みに変わりなかったりする悲しい現実。


セリは幼く見える。


医師は精神年齢と体の成育が合っていない事を憂慮している。

議長達もセリの堂々とした、泣かなかった事で見た目より大人に近いと考えている。


セリは子供達の中で、子守りになった気分だった。


「ほらほら」「あっち行ったよー」

声をかけて。遊びを見守る。


孤児院で子供の相手をしていたので、慣れたもの。

昼食は別の場所、移動にモタついている子がいると

「遅い!」と咎める子も。


これ以上速くは無理だと伝えると。

「生意気だぞ!」と喧嘩越しに言う虎の獣人らしい子の相手も軽くあしらう。


「そうかー偉いんだねえ。」褒めつつ、誘導する。


“力持ちですごいなあ、きっと小さい子の手伝いもできるよね?”

「やってやるよ!」とのってくるので、馬鹿可愛いとはこの事だと思う。


小さい子を助け終わった後に「偉いね」

ヨシヨシと頭を撫でれば、プイと横を向く。


この反応、孤児院の子が懐かしいわ。

もう巣立っていないだろうけど。


(元気かなあ)


他の子も集まって…集まり…


囲まれた。

ひと通り撫でてから昼食を食べる。


次はお昼寝時間らしい。のんびりできるけど難点は、暇な事かな。


ボーっともふもふな子達の寝姿を見ていたセリだった。


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