第6話 留置場所

セリは、保護を受ける立場になった。

幼い子の保護経過観察が既に決定されている。


議長と医師と共に他の部屋に移動し、今後の事を詰めるようだ。

(保護者の居ない、身元不明な子どもに手厚い事だ。)


住まいは、最初に起きたあの部屋。

他にも子どもを預かり集団生活をしているから1人くらい増えても問題ないらしい。

親が兵士だったりと理由はまばら。

そこで学業を学ばせている、と。そこに混ざるの?


私がスパイなら侵入成功だろう。

内部まで入ってしまった。


戦相手の下級兵士だってバレたら…。

ま。問題を起こさずにひっそりしていよう。

そのうち消えれば良いか。温かい時期に出るつもりで…。


「なあ?セリ??」

頭上からの声。2人の話を聞いておきたいけど、

「構ってやってくれ」と竜人の膝の上に座らされた。

幼児扱いっ!


「ロードだ。名前を呼んでくれないか?」

真剣な目と合うが、最初があれだったのであまり関わりたくないのが本音。


(関わった分だけ、囲い込まれそう。)


「そして、竜人ロードの面会を受ける、」と。

その追加決定に、セリは反応した。

見ると『拒否は、悪いができない』と議長エルフの顔に書いてあった。


「暴走したら私でも止められない。」との言葉付き。

あの素早く、強い魔法を構築できる議長でも無理らしい。


ギュウッとっと絡まる腕の力が増す。

(この腕から、逃げられるかな?)


無謀な気がしてきた。


“竜人”という聞き慣れない種族。

筋骨隆々なら、他の種族のがそうだった。


強いの?

あの突進力と魔法を弾いた事。


(この人から逃げるのは骨が折れそう。)

でも、孤児院には無事を知らせたい。


国が違うから、報せを飛ばすのも難しい。

戦中だものね。


警戒やチェックを受ける場合と、

変に目をつけられるのも後々の憂いを残す。


なら、会いに行くのが良い。

山と森の間。国の縁にあるひっそり隠れた孤児院。


せめて元気か知りたい!それが今後の目標だ。

それには身体を鍛えないと。


今ある傷くらい、すぐに癒えると思うけど。

医師にかかる機会なんてそうない。悪いところがないか診てもらえそう。


手伝いを申し出て、医療の知識を得るのも良いかも。



「10歳に、鑑定の儀式の参加をさせましょう。」

「簡易の検査はすぐにしよう。7歳くらいか?」


簡易の検査に年齢は出ないのか。セリ・・7歳かあ。

随分と小さい子になったなあ。同年代の女の子って居なかったから

比較ができない。



話はサクサクと進んでいく。

用意されたお茶を取ってくれたのは、膝の上にセリを乗せて

嬉しそうにしているロードという男だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る