第4話 捕虜じゃない

扉が開き、また扉だがその前には武装した人。

要人がいそうな予感。


「保護した子を連れて来ました。」

「お聞きしています。どうぞ」


物語りの騎士みたいに丁寧だ。にっこり笑いかけるオマケ付き。

モテそうですね?私は幼児じゃないんだよ。

12歳に向けるより優しい顔から目を背けた。


手を振るくらいの愛想がいるかな?ちょっと無理だな。

照れて隠れたと思ってもらおう。そんな水面下のような出来事とは別に進む。


「失礼します」

ナナン医師の手が離される。肩に移り紹介される。

「セリちゃんを連れて来ました。」


会議中。しかも重鎮の方々って感じの!

議題は私の事ですか?


議長席には、耳の長いエルフ族。

獣顔の獣人族

小柄なドワーフ族


(わー、いっぱいだ☆)

全員、偉い人な気がする、格好と面構えってヤツが。

意識を飛ばしたくなった。


変な緊張に汗をかく。


「召還の要請でここに連れて来ました。怖がらせないで下さいね?」

医師が少し離れて控える。


(訊問かな。)


獣人は臭いで嘘がわかるって噂があったガクブル

恐れるなっ!

孤児院のシスターだって、嘘くらい見抜ける。


平常心、しょぎょう無情?


エルフ族のお兄さ…いや、エルフは年齢詐称らしいので、おじさん・お爺さんの可能性がある。とりあえずおじさん。

「私は議長のアンドレアスだ。君は名前と家族はどうしている?」

「セリです。家族はいません。」


裁判とかこうかな?嘘はないように、子供っぽく!


「家はわかるか?」

「帰るところは、孤児院です。」


国が違うし兵士になってから帰れていない場所。


「孤児院から捜索願いは確認しているか?」

「細えな。」「まだ幼いのに」


いくつだと思ってるの?

12歳は幼くはないと思うけど。まあ、あまり深く質問されたくないので、迷子で泣きそうな顔を作る。


強面な人達が黙った。簡単だね!


本当に迷子の扱いみたい!保護者がいるとなれば、帰れそうだな。

それをくつがえす、ひと言を言われた。


「セリ、君にはしばらくここに居てもらうことになる。」


「?」(あ、帰れないっぽい。)

警戒されてるのか?いや違う。言いにくそうだ。何だろう。


「君は番というものを知っているか?」

首を横に振る。ホントにわからない!


「獣人には、自分の運命の相手が分かるんだ。本能の事で間違いはない。」


“運命”とか詐欺師みたい。番・・蝶番ちょうつがいが近い意味?


「君がつがいだと言っている男がいる。」


セリの思考が止まる。

魔物の攻撃で意識を手放す前に聞いた…


『見ィつけたァ。』という男の声を思い出した。


まさか。(アレが?)と違う汗がつぅっと伝った。






ーーー

諸行無常のことでした。混乱してるっていうよりききかじり

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