第3話 獣人の国

『国力の差ってヤツが違い過ぎんだよな』

兵士のおじさん達の小難しい話を思い返しながら、部屋の外を見回した。


(ここ・・“何処よ”?)口調を記憶に引っ張られた。

すごく高い建物。場所も多分、お金もかかっている。


ガラスが壁と天井に使われ、外が見える。

それでも頑丈で暖かく、豪華な…城?


城壁らしき場所、軍服を着て見回りがいる。

今、別棟から本館に近づいて歩いているのか。

犬耳のあるナナン医師せんせいに連れられて行く。


雪が残っているから、魔物と出会ったところからそう遠くないのだろうか。


ここを落とすなら内部からの攻撃だろうな

侵入を果たし、内部から破壊して戦力を入れるしかない。


(その侵入する役目は、私か。)

そんな命令を想像してみた。こんなところ攻め込みたくないよねー。


外に配備されたあの大筒、魔法の充填と整備にどれだけ大変だろうか。キラリと光る外装はオシャレなだけじゃないだろう。


遠くへ威力が下がらず、最新式。

勝手に照準が下がるなんて事なさそう。


維持費と技術力があるってこと。

医療も充実して余裕もある。見知らぬ人間を手厚く看護するくらい。


(住みたいくらい凄いなあ。)


食事も肉の味がする病人食を出され、

「元気になったらおかわりして良い」との言葉ももらって余裕のある内情が透けて見える。

そして…

1日、3ある。


孤児院にいた時は、1食スープのみだったこともザラだった。

肉は狩ってこれるようになって入ったし。素材の味がいきてた。


ここのは、香辛料が使われてたのか香りが良くすごく旨い。

お貴族様が食べてた食事並に。


借り物の服も清潔で、肌に柔らかい。


医師と手を繋いでいるのは、やはり子供扱いだけど。

私への態度に警戒感、嫌悪感がないなあ。


(人間って分かってると思うけど。)

ハクガイの対象じゃないんだろうか?


地図はちらりと見ただけの記憶、こんな建造物があった記録がない。手作りの書き込みがある怪しい地図だったけど、こんな目立つ城壁があるところが最近に建てたものとは思えない。


(思ったより、遠くに来ている?)


少し不安になる。ギュッと手を握ってしまったようだ。

「大丈夫よ、ちょっと話を聞きたいだけだから。」


子供っぽく、頷く。

そう、幼い子だと思われて方が良い。

きっと、涙目になれば色々とうまくいく!


(国力の差って無情だな。)

そう分かったような顔をしていると、目的のところの着いたようだ。



なんかすっごく大きい扉なんですけど?

足下のフカフカで高級そうな絨毯から、思わず足を浮かせた。

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