第2話


てな訳で王都に来た訳よ!いよいよラスボスをラスボスにしない為の第一歩だよ!


お目付役...いや付き添いにヘルムートのおじさま(灰色の瞳に片眼鏡かけた黒髪をオールバックにしたイケオジだが悪さしてめっちゃ怒るとお仕置きするオカンの鏡みたいなおじさま)とピッカピカの新品のフルフェイスの兜と神殿騎士の鎧を着たマックス氏と一緒である、マックス氏流石にレベル50でダークリッチの攻撃を何度か身に受けてた(三回は死んだ)実力が認められてエルマさんの専属騎士になれたのだよ、全く心強いね!


「いやぁエルマ様!王都ってすごい賑やかですね!」


フルアーマー姿のちびっ子(10歳で150センチくらいの身長、もしや年齢の割に身長高くないか?)マックス氏はキョロキョロしながらはしゃいでいる。


「ねぇねぇヘルムートおじさま、王様との謁見終わったら教皇様と修道士のみんなにお土産買ってもいいですか!」


「僕も僕も!神殿騎士のみんなにお菓子買って帰りたいですw」


「全く子供のままなんですから...でもみんなが喜ぶならいいですよ、時間を作りましょう」


そんな和やかなやり取りを馬車の中でしてるうちにお城に着いた訳だが、やっぱり王様の住んでるお城は凄いわぁ!やたらと金ピカで落ち着かないね...


これなら地味だけど趣のあるアルトマイヤー寺院の方がほっとできるよ...軽くホームシック、何気に好きなのだよ、厳しい戒律あるわけでないし修道士のみんな優しいし勉強したり奉仕活動用のwのお菓子(えりかさん時代はお菓子作りが趣味だったのよw)や小物を作ったりとスローライフ送ってるしねw


で王様に謁見して神託ことガイドブックに書いてた出来事を幾つか教えてこれから起こるから注意する様にと助言したのだ!


王様に王妃と王太子コンラート殿下と第二王子のジルヴェスター殿下が謁見の間におりましたよ!


王様はなんていうかくすんだ金髪となんかぼんやり気味の青い瞳の威厳とかあんまない感じのおじさんなんだよねぇ...まぁ2年しないうちにジル母の自害に心を病んで死んじゃうくらいの弱い人だしねぇ。


ちなみに王太子であるコンラート殿下も王様に似てるがやや顔立ちも男らしいというかしっかりして、瞳も深い紺碧の眼光の覇気を感じられるタイプだ。


ちなみにガイドブックには王になってから暗殺されるまで短い治世ながら平穏だった旨が書かれている。この人も暗殺を回避させないとだな...なんなら感動の親子再会とかできるといいねぇ...主人公君が望めばだけど!


そういえば今26歳の筈だから隠し子こと主人公君がマックス氏と同じくらいなんだよねぇ...しみじみ。


王妃ロジーナは緑の瞳は綺麗だが茶色の髪を高く盛っており元々は綺麗だっただろうに今じゃ年齢の割に若作りがきつい...化粧は派手だしピンク色のドレスにいくらかけてんだろうよ...と思うレベルにキラキラしい...どこの林○パー子よ...うへぇ


でジル殿下は現在14歳、とても美しい少年で父王や王太子よりも輝いている金髪はサラサラで長く伸ばしているのを一つに纏めている、サファイアのような瞳は王太子のものよりも美しく吸い込まれそうだ。


まだ成長段階で幼い感じがするが、成長するとさらにカッコよくなって王族の血を被ったロイヤルブルーの鎧を纏った凶悪な簒奪王となって、即死しかねない剣撃繰り広げるわ死にかけると大悪魔アスモデウスの受肉の媒介になって同化して禁呪を繰り広げるラスボスになるんだよねぇ…こっっわ!


それにしても生で見るとやっぱり違うわぁ、さすがラスボスのくせにゲーム人気投票上位にいるだけあるわぁ、転生前のエルマさんなら確かに恋慕してなんでもしてあげたいって思っちゃうね!


しかも1番賢そうに見えるし、威厳もカリスマもビンビン感じるし誰よりも王族っぽいんだけど!


こりゃあ簒奪されても仕方ないかもなぁ、とか思っちゃならぬ!奴は破滅フラグだ!!


ノーモア破滅フラグ!ノット輪○!そして戦争回避させるのだ!


と思ってジル殿下を見やると向こうもこちらを見てたらしく顔を赤くしながら目を逸らされた...?


まぁエルマさん美少女だしねぇ...でもゲーム内じゃ見向きもしなかった筈...そんな事を考えてたら急に予知スキルがジル殿下に対して危険信号を発し始め背筋がぞわりとした...


「エルマ様?大丈夫ですか」


とエルマさんを気遣ってマックス氏が声をかけてくれたので、その事に気が付いたおじさまが「大預言者様はお疲れのようなので下がらせて頂きます」と言ってくれて謁見の間から貴賓室へ移動させて貰った。


「予知スキルがジル殿下がヤバいって危険信号を出してる...」


「信号って何かわからないけどエルマ様の身に危険が起こるって事でしょ!確かにあのスケベ王子エルマ様の事じーっとエッチな目で舐め回すように見てましたもん!超危険人物ですよ!大預言者様に対してふしだらです!」


マックス氏はぷりぷり怒ってくれてる、しかし最近何だか耳年増になってないか?


神殿騎士の中に大人な色々教えている奴がいるかも知れない、マックス氏にはまっすぐで健全な青少年に育って欲しいから見つけたらそいつ蝗の刑にするか…全く!


「エルマ様がただの侯爵令嬢のままなら婚約者になってたから気になったのでしょうね、まぁ大預言者様は神託により神の花嫁でもあるので純潔を守らねばなりませんから結婚はできませんからね....どんなに王族に望まれても無理です」


実は『神の花嫁』設定は婚約から逃げるためにエルマさんが勝手につけたのだが、預言の力と純潔はセットにしておけば婚約だけでなく輪○も避けられると睨んでそうした訳だ、まぁ元々えりかさん時代も喪女だったし結婚とかしたいと思ってないから別にそれはいいのだ!平穏無事に余生を送れる人生を得たいのだよー


しかし何故予知の力がそう感じるのかその時は分からなかったのだ...まさかこれが何年にもわたる予兆であの事件が起こるまで続く事になるとはその時には夢にも思わなかったんだよねぇ


でそのままお休みして次の日に王妃のお茶会に招待され参加したわけよ!


なんでかって?そりゃあ王妃を脅すためよw王太子はちゃんと王になるから継承権の心配はないから自らの分で満足し、ジル殿下やジル母に企んでいる事を辞めないと蝗の災厄が臨むってww


まぁなんか納得してない感があったし、そもそも王妃が隣国ウルムの姫だったし信仰している神が違うからねぇ…こりゃあ実力行使しなきゃならんかもなぁと思いながらお茶会を終わらせてフラフラと護衛兼弟分のマックス氏と素敵な王家のお庭を散策してた訳よ、片手にマカロンとかクッキーの入った袋を持って2人でお菓子を食べながらねw


まぁ青とか紫の珍しい薔薇が綺麗wこれポプリとかお茶にして貴族の令嬢に売ればどれだけ儲かるかねぇとか現金な話をしながらね!おかねは大切だよ!


バザーの売れ行きとか超気にしてるし!新商品開発やってるし!巡礼者に売りまくりよ!


そんな散策している中でまさかばったり出会っちゃったんだよねぇ、破滅フラグことジル殿下に!


「預言者様!こんな所に出会えるなんて偶然ですね」


頬を薔薇色に染めてキラキラ笑顔で話かけてくる!予知スキルが警告音鳴らしている!なんでだ怖い!


「そ…ソーデスネー」


「預言者様は元々は婚約者候補だったと父から聞いておりましたが、こんな可憐で美しい人だったなんて、トラウゴット教の神に嫉妬してしまいそうです」


ひえっ!なんて事言うんだ破滅フラグ!ある意味エルマさんはトラウゴット教のトップみたいな存在なんだぞ(実権はエルマさんでも教皇様でもなく枢機卿のヘルムートおじさまが握ってはいるけど)…なんちゅう不敬な…


「それと王妃に私たち母子に助言して頂いていた事を耳に入れました、御心使いに感謝いたします」


と深々と礼を言い、近くに咲いていた珍しい青い薔薇を一輪摘み軽く口づけしてからエルマさんに差し出す。


エルマさんに向ける瞳は深い深い沼の底のような仄暗さを醸し出している。


まるでじっと獲物を捕らえようとしている猛禽類の目のようだ...怖い


差し出された以上、受け取らなきゃ失礼だろうかと思い手を伸ばす。


「エルマ様その薔薇を受け取ってはいけません!」


マックス氏が咄嗟にエルマさんの前に立ち、ジル殿下の行動を妨害した、なんだ!


「…一介の騎士が不敬ではないか?」


ジル殿下がマックス氏をじっと睨み付ける。

その目つきがラスボスを彷彿とさせるんだけど怖い!


「僕…いや私は神と預言者様に忠誠を誓った神殿騎士です、預言者様をお守りする事が全てですので!」


「…まぁこれからもお会い出来るでしょうから、その時はその邪魔者がいない時にでもぜひお話ができるといいですね」


そうジル殿下がにっこりと笑顔(目は笑ってない...怖い)を浮かべた後去っていった。


「マックス氏薔薇の花に何かヤバい物でも仕込まれてたの気がついたの?」


薔薇のトゲに毒か呪いでも仕込まれてたかもしれぬもんね...怖いわぁ


「違いますよ!僕の死んだ母親が事あるごとに言ってたんです!青い薔薇の花に口づけをしてから渡すのは王家の婚姻の誓いで、受け取るって事は結婚するのを了承するって意味なんです!」


ヒエッ!なんて恐ろしい!婚約ってシナリオ強制力なのか!オイ!


それにしてもロマンチストだったマックス氏の母その事をマックス氏に教えてあげて本っ当にありがとう、と言いたい!


「う"う"う"あ"り"がと"う"~マックス氏~」

両腕をつかんでぶんぶん上げ下げして感謝する。


「エルマ様本気で気をつけた方がいいですよ!あのスケベ王子絶対諦めていませんもん!絶対にスケベ王子と2人だけにならないように気をつけてくださいね!ああいかがわしい!」


マックス氏の中では『スケベ王子』と定着しつつある、怖いと感じるがスケベかどうかは疑問だが...


まぁそんなこんなでお土産たんまり買い込んでアルトマイヤー寺院に帰ってきて教皇様や修道士のみんなに配りまくった!マックス氏は神殿騎士に配ってたけどみんなとても喜んでくれてよかったよかったw


しかし困った事に王都へ行って以降、月一でジル殿下がアルトマイヤー寺院のやってくるようになったのだよ...怖い!


ーーーーー

※ゲーム豆知識

修道士と司祭

トラウゴット教の場合男女関係なく修道士、司祭、宣教師と呼ばれる。

ちなみに妻帯可ではあるが、結婚せずに純潔を保つ者も多い。

大概は修道士又は司祭(名前)で呼びあう。


神殿騎士

バーレを守護する騎士、なぜ寺院を守るのに神殿騎士と呼ばれるかは寺院内の崇拝する場所が『神殿所』と呼ばれているため。

白銀の鎧を身につけ必ず顔を隠す兜を被り神殿騎士以外に素顔を見せる事をしない鉄の掟がある。

神殿騎士の中で最も有能な人物だけが組織上の上位者(教皇、枢機卿、預言者)の護衛騎士に選ばれる。


青い薔薇と王家の婚約

青い薔薇に口付けをし想う相手に渡す行為はエアヴァルドの王族が婚約をする際に行う誓い。実際は何世代か前に隣国ウルムなどで流行ったものを取り入れたものらしい。



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