Millionaire Girl

01

目を開いても視界には何も映らなかった。

いや、自分の中で何も映さなかったのかもしれない。

そう自分に言い聞かせて、私はまた目を閉じた。


次に目を覚ましたのは、日差しが差し込んだときだった。満を持してあたりを見回すと、目の前に机があるのを発見した。そしていま私は、ベッドで寝ていることも確認した。私は立ち上がろうと重い腰を上げたが、うまく立つことができず、膝から崩れ落ちてしまった。


私は立つことができないのか?


そう考えていると、ベッドの下に日差しを反射し輝いているものを発見した。私はそれに手を伸ばし、どうにかこっちに持ってくることができた。見るとそれは「鏡」であった。そこには自分の顔がはっきりと写っていた。何処にでもいそうな平凡な女だった。しかし、他の女性とは明確に違う点を発見した。それは腕に刻まれてある「MNG-01」という番号であった。私はこの数字になんの見覚えもない。そうしているうちに、外ではセミが声を上げだした。その声を頼りに、私は出口に向かって重い足を引きずりながら前進し始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Millionaire Girl @rinne_0614

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る