第33話 魔王討伐会議⑥
あ……なんかみんなに火がついてる。
カルメンさんも意外と熱い人だったのね。
でも、もうちょっと冷静にいこうね? ね?
それに紋章があるからって魔王ってわけじゃないよ?
そいつ、実は勇者かもしれないよ?
するとカルメンさんは眼鏡をビシッと魔王の紋章が映し出されている映像を指した。
「言い伝えでは、この紋章を持つ者が魔王です! 魔王の証であり、力の源! 魔王以外にこの紋章が出てくることはありません!」
え!? そうなの!?
というか、紋章、強調し過ぎじゃない!?
大事なのは中身!
紋章じゃないよ!?
「そして! その紋章のある魔王さえ倒せば我々の……平和を愛する人族の勝利です!」
俺も人族だよぉぉ!
俺も平和を愛しているよぉぉ!
「いいですか? この紋章を持っている者が魔王なのです!」
ねえ、わざと言ってる?
紋章ってわざと言ってる?
俺に紋章があるって知らないはずだよね!?
「大丈夫だ、マサト! 俺は騎士としてお前にだけ危険な役目は負わせないぞ! 俺はお前の、勇者の剣であり盾だ! その紋章を持つ奴を見つけたら、心置きなく俺を使ってくれ! 紋章を持ったやつを倒せばいいんだからな」
「お、おう……マッツ」
おいぃぃ! 俺を倒そうってか!?
この野郎……今、俺が紋章、持ってんだよ!
空気読めよ、このアホ騎士が。
まあ、お前はいいや、剣は使いもんにならんから。
正直、怖くないわ、お前。
「牽制する魔法も交えて!」
それは怖いぃぃぃぃ!
お前の魔法喰らったら死んじゃうよ!
「そうです! マサトさん! 私だって王国に選抜された勇者の仲間です。その紋章を持った魔王に私のありったけの魔法を叩きこみます!」
「そ、そうか、ミア」
ミア……ごめん。
ありったけの魔法でもミアのは効かないと思うよ?
正直……電気マッサージの方が痛いぐらいだと思うわ。
それなら俺も平気だわ。
可愛いミアに攻撃されるっていうのが精神的にこたえるけど。
「私の得意魔法、サンダーブラストがどこまで通用するのか、確かめます!」
やめてぇぇぇぇ!!
惨打(サンダー)・武羅麈屠(ブラスト)は無理ぃぃぃぃ!
俺、肉塊になっちゃうぅぅぅぅ!!
「マサト殿、私はチャンスがあれば、魔王に神の愛を説きたいです。私の全身全霊をかけて愛を説けば……!」
「ひっ!」
やめろぉぉぉぉ!!
お前が一番怖い!
愛を説くのに何で自分の体を抱きしめてるの!?
何をする気なの?
全身を使って何をする気なのぉぉぉ?
俺の魂が消滅しちゃうよ!
「ふふふ、さすがは勇者殿ですな。たった一言で皆の心をまとめ上げてしまった。マサト殿はこのカッセル王国のまごうことなき救世主! 最高の勇者ですぞ、魔王なぞ、怖くありませんな! はっはっはー!」
マスローさん、今はそんなカッコいいセリフいらないから。
今現在の魔王は俺だから。
倒す人と倒される人が一緒になっちゃってるからぁぁ!
「そうですな、閣下! これから忙しくなりますぞ!」
「うむ、リンデマン、カルメン! 私たちも魔王討伐のために力を尽くそうぞ!」
「はい!」
「承知いたしました」
一致団結してるよ!
俺を倒すために!?
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ここまでお読みいただきありがとうございます!
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