♯24.5 村人Aの寝ている間にげぇむを

サクラに「げぇむ」を教えてもらい、ブリュンヒルデと共に挑戦していた


『この敵の配置と挙動に関しては毎回変化はない様だな』


『そうですね、初見では失敗してしまう事もありますが、動きのパターンさえ覚えてしまえばそれほど難しい物ではなさそうです』』


3回死んでしまうと、最初からの様だ


『姫様、一度で交代となると逆に効率が悪くなるかもしれません


 3回死んで、最初からになったら交代しましょう』


ブリュンヒルデもやる気の様だな


二人でこの「げぇむ」とやらを制覇してやろうではないか!



私達の操作技術が追い付いていない部分が大きい


敵の出現と動きパターンは同じなので覚えさえしてしまいば先に進む事は可能だ


二人で相談しながら先へと進む


初見の所だとやはりやられてしまうな


『情報の収集は戦闘の基本ですからね


 相手の能力、数、戦場地形等が不明だと勝率は大幅に下がります』


ブリュンヒルデの言う通り、実戦では初見の相手の場合は勝率は下がる


実力差があったとしても、それが覆る事も多分にある


『この「げぇむ」、何度でもやり直せるという点を考えると、低年齢層向けの学習道具・・・といった所かもしれんな』


『なるほど、そういった見方も出来ますね


 敵の動きがワンパターンというのも、先に進めと言っている様な物ですし』


もっと気楽にやって良いのかもしれないな


何度目かの挑戦で光る足場に下からぶつかってしまった


すると


「ズモモモモ」という音と共にキノコの様な物が現れた


『見た目はマタンゴの類の様ですが・・・』


『ならば屠るしかあるまい』


現れたマタンゴを踏み抜くと・・・


!?


ドワーフが大きく変化した


『成長した?』


『ドワーフがこの様に急激に成長するとなると・・・酒気を帯びたキノコなのかもしれません


 その様なキノコがあるとは聞いた事があります』


ほう・・・その様なキノコがあるのか


『という事は、こやつの能力が上昇している可能性があるな』


下から足場へ向かって飛び上がると足場が粉々に砕け散った


これは気持ちが良いな


『成人したドワーフの拳であれば、これくらいの岩を砕くのは容易いでしょう』


『急激に成長させるキノコか・・・興味深い』


酒気で成長するとはドワーフの体の構造は一体どうなっておるのか・・・


まだまだ学ばねばならぬ事は多いな


『この状態であれば、マタンゴジェネラルであろうと問題なく屠れるであろう?』


意気揚々とマタンゴジェネラルへと突っ込むが・・・ドワーフは元の幼児ドワーフへと戻ってしまった


くぅ、まだ足りぬか


『まだ実力不足の様ですね』


『しかし、幼児に戻るとはどういう事か』


『マタンゴジェネラルにはエナジードレインを使う種もいたかと思いますので、おそらくその種なのではと思われます』


そう考えると再現度は高いな


やはり踏みつけでしか倒す事は出来ぬか・・・


幼児状態だと足場を破壊する事は出来ない事も分かった


光る足場からは金貨が出現する


後々買い物が出来たりするのかもしれないな


二人でわいわいやりながら進んでいくと音楽が流れ画面が暗転した


『姫様、これは・・・制覇したのでは?』


『やったぞ!音楽からしても制覇を称える様な感じがするしの!』


すると・・・画面が切り替わり新たな画面へと切り替わる


『・・・まさか』


そう一つを制覇して終わりではないらしい・・・


なんという事か


しかし、これは意外に楽しいぞ


ブリュンヒルデも物足りなかった様だ


よかろう挑んでみようではないか!


『くぅ、やられてしまいました』


ブリュンヒルデと交代した所でサクラが私達の様子を見に来た


見ておれ、サクラよ


私の成長した腕前を見るが良い!


一番最初の戦場など慣れた物よ


実よこの手捌きを!!


最初の戦場を駆け抜け、サクラを見るとサクラが拍手で称えてくれた


この世界でも称える時は拍手で良いらしいな



サクラが時折、茶菓子などを差し入れてくれた


それらをつまみながらブリュンヒルデと共に戦場を制覇していく


3回死んでしまうと最初からなのが面倒だが


途中で金貨を100枚集めるか、特殊なキノコを接種する事で魂が一つ増えるらしい事は学んだ


途中大型の魔物が現れて、なかなか進む事が難しい状態になったが


ブリュンヒルデの編み出した成人ドワーフ特攻法で巨大な魔物も倒した


これはなんというか・・・止め時を見失ってしまうな



サクラはもう寝るらしい


『もう、そんな時間か』


サクラはまだ私達にゲームをしても良いといった感じだったのでそのまま続けさてもらう事とする


ブリュンヒルデもまだまだやる気らしい


サクラが寝てからしばらく立つと、女性を助けた様な映像へと切り替わる


『姫様、これはついに・・・制覇したのでは・・・ないでしょうか・・・』


ブリュンヒルデはどうやら眠いらしく目がしぱしぱしている


『ついに制覇したぞ、ブリュンヒルデよ』


『・・・』


興奮冷めやらぬ中ではあったがブリュンヒルデは寝てしまったらしい


このままここで寝かせる訳にも行くまい


サクラを起こすのも憚られる


では、これしかあるまい



ブリュンヒルデをサクラが寝ている所へと突っ込んだ


寝ぼけたブリュンヒルデはそのままサクラに引っ付いて寝てしまった



これは朝が楽しみである


サクラも起きる様子がないので、このまま「げぇむ」を続ける事にする


興奮しているせいか、全然眠くないのだ


再度初めから始める事とする


一度制覇したので、別の楽しみ方をするとしよう


全ての岩を破壊しつくしたり、全ての敵を屠ったり


うむ、色々と楽しめるな





外は朝日が差し始めて来た


『もうこんな時間か・・・』


「ん・・・」


サクラが起きたらしい


「おはよう」


サクラが朝の挨拶をして来たので、そのまま挨拶を返す


サクラはブリュンヒルデに気付いた様だが、まだしばらく寝かせておくらしい


良いぞ


私はまだ「げぇむ」を続けるからな!

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