♯23 村人Aにげぇむを教わる
夕食後にサクラが「げぇむ」という魔道具を準備し我々に使わせてくれた
私が板の中央の楕円形の右の突起物を押す事で画面が暗転し映像が切り替わる
『この突起が起動スイッチの様だな』
『姫様さすがです』
ブリュンヒルデもこの魔道具に興味深々の様だ
暗転すると同じような絵が表示されたが特に映像が動く様子はないが音楽が鳴りま閉めた
やはりこの板が鍵の様だな
『この板がこの魔道具の操作盤なのだろう』
目の前の机に操作盤を置いたまま、先ほどと同じボタンを押してみると
ピンポンピンポーン
という音がした
音がしただけで、映像に変化は見られないが、無音になった
『・・・姫様、音楽が止みましたね・・・音楽を止める事に何か意味が?』
『分からんな、他の突起も試してみよう』
結局全て押してみたが何も変化はなかった
中央の突起を押すと再び音が鳴り、音楽が流れ始める
一体どういった意味があるのか・・・
『姫様見てください、中央上部の文字が動き出しました』
!!
『確かに、先ほどは動いていなかったな』
もう一度中央の突起を押すと音が鳴り、中央上部の文字が動きを止めた
『これは・・・』
『姫様何か分かったのですか?』
『時を止める力・・・』
『な、なんですって!?』
こういった技術面に関してブリュンヒルデは私の言う事を信じてしまうな
いかんいかん、面白いが進行が遅れる
自重しよう
『では、ないな
停止する機能だろう
たぶれっとでもあったであろう「II」と表示されるあれだ』
『では、今この映像は動いているという事ですね』
映像を見せるだけであれば、たぶれっとだけで良いはずだ
わざわざこの魔道具を用意したという事はこの魔道具でなければ出来ない事があるという事だ
それを確かめねばな
中央上部の文字が動いているのを確認し、他の突起を押してみる
操作盤一番右の突起を押すと
ぷぃーん
という音と共に映像の中心にいた物体が動いた
!?
『姫様、今動きましたね』
『うむ、私も確認した』
『私もやってみてよろしいでしょうか』
ブリュンヒルデも同じ突起を押すと、音と共に映像の中心の物体が動いた
中央の映像が上下に移動する
どういう事だろうか・・・他も試してみるか
十字の突起を押すと3カ所でのみ中央の物体が藩王して動いた
左右に動く場所、その場で物体が動く場所は確認出来た
『姫様、これはドワーフを模しているのではないでしょうか』
『なん・・・だと?』
確かに良く見ると、人種(特にドワーフに似た風体をしている)を模した形をしている様に見えるな・・・
これは絵を動かす為の魔道具という所か・・・
では、目的はなんだろう?
絵を動かす事に何か意味があるのだろうか
左に進んでみるが行き止まりの様だ
後ろには城の様な物が見える、この城の主なのだろうか
左は行き止まりの様なので右に進むと何やらキノコの様な形をした物が歩いて来る
『あれがなんだか分かるかブリュンヒルデ』
『人種ではない様に見えます、おそらく魔物ではないでしょうか』
そのまままっすぐ進むと何やら音が鳴り、ドワーフが表示されている映像の外へと飛んで行ってしまい、最初の映像へと戻った
『姫様、これは魔物にやられてしまったのでは?』
『やはりそう思うか?ドワーフめ・・・なんと脆弱な』
『いや、これは逆にこの魔物が強いかもしれません、大きさからしてマタンゴジェネラル以上かと思います』
『ほう、では気を引き締めてかからねばならんな』
もう一度右側へと進む
『行くが良い!』
ドワーフは再び映像外へと消えて行った
『姫様、このドワーフはマタンゴジェネラルより格下、回避に専念するのがよろしいのでは?』
『くっ、やはりそう思うか』
となるとこの操作盤の一番右の丸い突起・・・
これがドワーフと飛び上がらせるという指示だったのでこれでやり過ごせるだろう
『いくぞ!』
『はっ』
気合を入れてブリュンヒルデと二人マタンゴジェネラルとの決戦に挑む
『姫様、危険です!』
『分かっておる!今じゃ!』
ドワーフは飛び上がったまでは良いが丁度着地した所にマタンゴジェネラルと邂逅し敗れ去った・・・
おのれっ!少しタイミングが早かったか・・・
『姫様、やはり近接戦は苦手の様ですね
間合いの管理がなっていません、日ごろから修練を怠るからこうなるのです』
痛いところを突かれた
遠距離から無粋な物量で押し切る戦法が得意な私は近接戦は確かに苦手だ
『ぐぬぬ、返す言葉もないな
ならばお主がやってみよ』
『おまかせください』
ワルキューレの長として戦闘に置いて我が国でもトップクラスの実力の持ち主であるブリュンヒルデ
その実力見せてもらうとしよう
ドワーフは飛び上がる事なく映像外へと消えて行った
『引き付け過ぎだバカ者』
『くぅ・・・私のスピードであれば躱せたのですが』
自分であれば躱せたと・・・その考え、分からぬでもないが
そう自分以外を操作し、自在に操る事が必要となる訳か
『まずはこのドワーフのと実力を正しく測る事から始めねばなるまい』
ふむ、この「げぇむ」とやらはこちらの世界の戦いの模擬戦の様な物か
体ではなく頭を鍛える様な物か
将としての才を伸ばすには良いかもしれぬ
実に興味深い
『サクラよ一度手本を見せてみよ』
サクラに魔道具を指差し、手本を要求する
『お手並み拝見と行こうではないか』
サクラ了承し、我々の前に座り、操作盤を手に取り両手で持った
!!!!
なん・・・だと!?
我々は操作盤を机に置いたまま、右手で全ての操作を行っていたが、サクラは十字の突起を左手の親指、丸い突起を右手の親指で操作を始める
マタンゴジェネラル出てくる前に、ドワーフを自在に操って見せた
私たちが操っていたドワーフと同じなのかというくらい動きが異なる
くっ
さすが歴戦の猛者よ
我々とは年季が違うな・・・
『素晴らしい』
ブリュンヒルデもその手捌きに見惚れている
分からぬでもないぞ
『姫様、見てください
このドワーフの俊敏な動きを!』
『ドワーフ・・・走れたのか』
右から2番目の突起を押しながら十字の突起を押す事で「走る」事が可能らしい
よもやその様な操作方法があろうとは思いもよらなかった
では、まずはマタンゴジェネラルの試練・・・どう乗り越えるのか見せてみよ!!
ぴょーん
フミッ!
!!!!????
マタンゴジェネラルはぺしゃんこにひしゃげて絶命した
『なるほど、全体重を乗せた飛び蹴りという事でしょうか』
ブリュンヒルデが解説する
なるほど、キノコの魔物であれば傘が死角になるという事か・・・
『かなり実戦的だな』
『えぇ、確かに実戦に沿った選択だと思います』
『しかし一撃で絶命させるとは・・・たいした威力だ』
『ドワーフは見た目に反し、質量がある種族です
あれほど高く飛び上がるのであれば、一撃で屠るのも無理ではないでしょう』
操作盤をサクラより渡される
この操作盤は「こんとろぉらぁ」、突起は「ぼたん」と言うらしい
持ち方はサクラの持ち方を真似る
うむ、しっくりくる
この様に持つ為に作られた様な形、手に吸い付く様ではないか
『まずはあの様に自在に操れる様にならねばな』
まずは練習からだ
『姫様』
『なんじゃ、ブリュンヒルデ』
『次は私の番です』
ぐぬぅ、独り占めは良くないな
交互にやるとしよう
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