♯22 村人Aごときと夕食を

んー・・・


どうやら眠ってしまっていた様です


温かい枕です


!!??


目を開けると目の前には私の顔の横から突き出す膝が二本・・・


眠る前の状況を整理してみましょう


サクラに髪を乾かしてもらって・・・



からの記憶がないという事はサクラの股座で寝てしまったという事でしょうか?




あーーーーーーーーーーーーーーー!


なんという失態


男性の股の間で惰眠を貪るなど!


ダメです!まだ起きていると悟られる訳には行きません・・・


一旦落ち着きましょう


!!??


姫様と目が合ってしまいました・・・


邪悪な笑みを浮かべています


これはもう良からぬ事をする事待ったなしです


姫様!姫様!やめて!


「サクラ!」


姫様がサクラに声を掛けました、起きていると悟られない様目を瞑り心を落ち着かせます


すると私の頭を撫でる手が・・・



まままままま、まさかっ・・・!


サクラが私の頭を!!


はぁぁぁぁ


なんという優しい手なのでしょう


落ち着きます



あっ、そんな所を・・・


いけません!?


私は、そこはとても弱いのです・・・


んっ・・・


・・・



頭に手がある状態で私の下半身を触るのはサクラに無理ですね・・・


目を開けると私の足の裏に触れる姫様の手が


『姫様ぁぁぁ!!』


『うはははははははは』


起き上がる時に頭をぐっと下げた際に後頭部がサクラに勢いよく当たってしまいました


「だいじょうぶ?」


サクラに声を掛けますが、蹲ってしまいました


『ごめんなさい』「サクラ」


「だいじょうぶ、だいじょうぶ」


涙目でサクラは答えますが、かなり痛そうです


『子種が無くなったしまったやもしれんな』


『!!??そんな!!??』


『冗談じゃ、ほれ』


ぽんと私の頭の上に手を乗せてサクラは再度「だいじょうぶ」と告げました


無事な様です・・・良かった


サクラが夕食の準備をする様でしたので、私も手伝います


かれーを再び温め直す様ですね


このかれーというスープ・・・見た目が排泄物の様なのですが・・・しかし香りは食欲を刺激します


なんとも不思議な食べ物です


こめも出来上がっている様なので確認してみます


ぱん等に加工するのではなく、実をそのまま食べるのですね


かれーのよそい方をサクラを見ながら真似ます


こめとかれーを一緒に食べるでしょうね


3人分の配膳を終えました


いただくとしましょう


「いただきます」


3人の声が揃うのは気持ちが良いですね


!!??


少し辛味がありますがとても美味しいです


初めて食べる味です・・・これも非常に形容し難い


様々な味が混ざっている様な・・・とにかく複雑な味です


見た目とは裏腹に、早々を超えた味でした


こめと一緒に食べる事で、この辛さが中和され丁度良い塩梅となります


姫様はあっという間に食べて、サクラに追加を所望しています


城での食事の際に追加を頼む所など見た事はありませんが・・・確かにこの世界の食事は私たちの世界の比にならない美味しさです


・・・


私もいただいてよろしいでしょうか


・・・


この味には・・・抗えません!


サクラは快く追加をよそってくれました


ありがとうございます


かれー


非常に美味でした!


食べ終わった後は食前の祈りと同様に手を合わせ


「ごちそうさま」


というのだそうです


覚えました


食べ終わると姫様はすぐに勉強へと戻っていきました


『サクラの相手はまかせるぞ、ブリュンヒルデよ』


一体何を考えているのやら


私とサクラで何か起こるはずなどありえ・・・


・・・ないとも言い切れませんが


それはサクラ次第ですかね


私は、その、別に、どちらでも、えぇ・・・


余計な雑念が多いですね


私達の世界にいた事は殿方をこんなに意識した事はなかったのですが・・・


サクラが食事の後片づけをしていたので手伝います


食器を洗う時はこのスライム除去剤を使用するのですね


サクラが私の洗った皿を拭いて仕舞ってくれます


こういうのも良いですね・・・


仕舞う場所は覚えておきまます


次回片付けの際にサクラの手を煩わせることのない様にしなければ




片づけが終わると姫様と共にサクラに呼ばれました


大きなたぶれっと・・・ではなく「てれび」というそうです


てれびの机の前には小さい箱が置いてあります


その箱からは二本の紐とその先に小さい板が付いています


板には十字と丸の突起物が2つ、中央に楕円型の突起物が二つ確認出来ます


一体何をする為の魔道具なのでしょうか


サクラが言うにこれは「げぇむ」という魔道具との事


サクラが魔道具を起動させるろ「てれび」に映像が表示されました


・・・これは


なんでしょうか?


『姫様・・・これは?』


『さっぱり分からん・・・しかし映像があまり動かないな


 この文字の様な物だけ光っている様に見えるが・・・』


『これは「絵画」でしょうか』


たぶれっとで観ていた映像とは明らかに異なるのでおそらく絵でしょう


サクラが声を掛けようとした所を姫様が制止しました


『待て!』「サクラ」『お主に頼ってばかりでは成長せぬ!ここは我々だけで切り抜けて見せよう』


私も頭数に入っている様ですが・・・それは良しとしましょう


サクラも察して見に徹する様です


『この板が怪しいですね』


『お主もやはりそう思うか・・・』


明らかに二つ私達の目の前に置いてありますからね


『ふむ、ではそれぞれ調べてみるとしよう』


姫様と私の目の前に置かれた紐で繋がれた糸を調べてみます


この突起物押すと、自動でまた同じ位置に戻る様です


良く見ると私と姫様の板は多少形が異なる様です


私の方には小さい無数の穴が開いており、その下に黒い突起物が確認出来、それは動かす事が出来る事を確認しました


『私の方にはそれはついていないな』


私が穴の下の突起を動かしていると姫様が羨ましそうに声を掛けてきましたが、逆に私の板には姫様の持っている板の中央に付いている楕円の突起二つがありません



『この突起物のいずれかが起動スイッチなのでしょうか?私の方では起動しない様ですが姫様の方は?』



『うむ、試してみよう』


姫様が十字の突起、丸の突起と押しますが何も起きません・・・


中央の右の楕円の突起を押すと「てれび」に投影された映像が暗転し切り替わりました


『この突起が起動スイッチの様だな』


姫様は非常に生き生きとしています


私もこの魔道具・・・気になります!

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