♯21.3 村人Aごときの家で入浴を
サクラにこの世界の文字を学ぶ教本をいただきました
たぶれっとと併用する事で、音も一緒に理解出来るのは非常に分かりやすく、音のと文字を紐づけるだけであれば教師は不要でしょう
実に効率的です
姫様がいるのであれば、そう遠くないうちに使いこなし始めるでしょうから、姫様から学べるのも大きいですね
しばらく経つと部屋に良い香りが立ち込めて来ました
夕食の香りでしょうか
『姫様、この香りは・・・』
『この世界の「かれー」という料理の香りだ、昨日サクラと私とで作ったのだ』
姫様が?
料理を?
『姫様が料理を・・・?信じられません』
真偽はさておき、サクラが夕食の準備をしているのであれば手伝わせていただきましょう
あ
その作業代わります
「こめ」と呼ばれる小麦に似た穀物を洗う作業の様です
容器に擦り付ける様にし、水が透明になるまでこれを続ければ良いのですね?
かしこまりました
汚れを落とす為でしょうか
さすが綺麗好きの民です
「こめ」を洗い終わると、サクラは米を洗った容器を魔道具に入れて起動させました
後は自動で「こめ」が出来上がるのでしょうか
姫様はサクラに声を掛けられ、昼間購入した物の中から何かを渡され他の部屋と向かう
『姫様どちらへ?』
『沐浴じゃ、狭いから一人ずつ入る事になるの』
この様な小さな家にも浴場があるのですか・・・
『・・・』
『昼間のサクラの股間を思い出したか?』
姫様、その言葉で思い出しました
『ばばばっばば、バカな事を言わないでください!』
『まずは、私が入るから待っておれ
後程、こちらの世界の沐浴法を教えよう』
気を落ち着かせている間に姫様は浴場へと向かわれました
姫様が沐浴している間にサクラの手伝いをしましょう
洗濯物の取り込みですね
手伝います
・・・私たちの世界では棒に掛けて干すのが一般的でしたがこの道具で挟んで干すのですね
結構な力で挟んでいて、中央に鉄の輪が仕込まれています
これが開いたら戻る仕組みを担っているのでしょう
これは小物を干すのに便利です
「せんたくばさみ」というのですね
『まじやばい』です
サクラが笑っていましたが、使い方を間違えてしまっていたでしょうか
いずれ適切な言葉を覚えますのでご容赦を
サクラの服や布の畳み方を見てみます
・・・雑ですね
これはメイド長としては許せません
私が全て畳みましょう
おどきなさい
サクラが私に「ありがとう」と告げました
よ、良いのですよ
お世話になっているのですから、これくらいは
こちらの世界の畳み方は知りませんが、シワのないようコンパクトに畳めば良いでしょう
洗濯物を畳んでいると姫様が、脱衣所から手と顔だけを出してサクラに何かを伝えています
小さい小袋を持っている様ですがサクラは「だいじょうぶ」と答えていました
後ほど、姫様に聞いてみるとしましょう
しばらくすると、脱衣所の方から姫様の声が聞こえました
叫び声というよりは、驚いた様な声でしょうか
魔力の揺らぎも小さいので緊急性はなさそうです
サクラも気になる様でしたが、ここは私が
サクラを制止し脱衣所へと向かいます
脱衣所の扉を開けると
汚れた床
ずぶ濡れで臀部をこちらへ向ける全裸の姫
・・・
私はそっと扉を閉めました
サクラにこの様な惨状を見せる訳には行けません
サクラが心配そうにしていたので「だいじょうぶ」と告げ大部屋へ誘導しました
姫様ならば、いざとなれば魔法でなんとかするでしょう
洗濯物を畳んでいる間、サクラは大きなたぶれっとの前で作業をしていました
作業中に魔力の揺らぎを脱衣所の方から感じましたので、姫様は魔法でどうにかした様です
良かった
サクラと共に洗濯物を仕舞います
意外に綺麗に整頓されていますね
サクラが私に服を渡し
「ソフィア×××××」と告げました
これが姫様の着替えという事なのでしょう
ありがとうございます
姫様に着替えを持って行きましょう
脱衣所に入り、着替えを・・・この台の上に置いておきましょう
『こちらが姫様の着替えだそうです、置いておきますので』
『すまぬ、感謝する』
サクラの元へ戻ると私の分の着替えを用意してくれていました
ありがとうございます
用意されたのは肌着と「てーしゃつ」という上着です
ズボンと上着はそのまま着まわせとのことです
上着の「ふぁすなー」と呼ばれる器具で上着の開け閉めの仕方を教わります
不思議です
見た目だけでは仕組みが良く分かりませんね・・・
姫様が脱衣所から出て来たので次は私の沐浴の番の様です
姫様から沐浴の方法を学びます
『温かい水を雨の様に降らせるのですね・・・』
『かなり気持ちが良いぞ』
洗う部位により、スライム除去剤があるのですね・・・
さすが綺麗好きの民
何よりこの湯の雨・・・「しゃわー」というらしいですが、これが気持ち良すぎます
顔、頭、体と洗います
すべてがつるつるになり汚れが落ちているのを実感出来ます
そして湯舟、姫様が何か入れたとの事で橙色の湯に変化し、柑橘系の香りがします
とても心が安らぎます
香りの付いた湯に浸かる事でこんなにも心が落ち着くとは・・・
こちらの世界の方々の文化には驚かされ、癒される事ばかりです
これも私達の世界へ持ち帰るべき知識でしょう
きっと王妃様にも喜んでいただけるでしょう
湯に浸かっている間に今後の予定を立てておきましょう
姫様の言う通り、こちらの世界で学ぶべき事、持ち帰りたい知識は非常に多いと感じています
サクラについては、今日一日見ていましたが、害する様な事をする気はないでしょう
彼が特別お人良しなのでしょうか
見知らぬ人間二人の面倒をなんの利もなく見る事など・・・
まさか・・・寝ている隙に私たちを奴隷商に売ったり・・・
いや、それであれば昨日のうちに姫様が売られていてもおかしくはありません
今しばらく様子を見るとしましょう
姫様はすでに警戒を解いている様ですが、私がしっかりしておかねばなりませんね!フンス!
沐浴を終え、用紙された衣服に着替え脱衣所を出ると姫様がサクラの前に座っていました
サクラが姫様の髪を「どらいやー」という魔道具で乾かしているとのこと
おや、終わった様です
え?
次は私ですか?
ここに座れと?
男性の股の間に座るのですか?
恥ずかしいのですが・・・
『えぇい、とっとと座らぬか』
姫様に無理矢理サクラの前に座らされました
「××××」
サクラが申し訳なさそうにしていたので「だいじょうぶ」と答えます
姫様にたぶれっとを渡されます
『髪を乾かすのは時間がかかるからな、たぶれっとで時間を潰すが良い
髪はサクラが丁寧に乾かしてくれるぞ』
サクラ・・・そんな事までしてくれるのですね・・・
ありがとうございます
人に髪を乾かされるなど初めての体験です
「どらいやー」は音はうるさいですが、温風は心地良いですね
サクラの手つきも優しので不快には感じません
「まじやばい」
です
今日は色々とありましたので少し眠気が・・・
・・・
・・・・・・
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