♯20 村人ごときと学習を

サクラに本を購入していただきました


サクラの家へ帰宅済みです



姫様も私も購入していただいた本を読む・・・というより見ています


私が購入していただいた本は、この世界の料理の本の様です


サクラに世話になるお礼にせめて家事くらいはと思った次第です


メイド長として、掃除、洗濯は心得がごありますので問題ないかと思いますが、こちらの世界の料理に関しましては、食材すら分からない状態ですのでレシピ本が必要かと思いまして


それにこちらの世界の料理、食べ物は非常に美味しいのでレシピを学ぶのは有用とも感じました


サクラへのお礼というのは「ついで」なのです



本当ですよ?



それは大した問題ではありません


購入した本はとても精巧な絵で描かれており、調味料等を使用する順番や量も詳細が記載されている様です


今は文字が読めない為、理解出来ていませんが


本を見ると煮る、焼く以外にも調理方法がある様です


是非とも試してみたいものです



サクラがまた出かける準備得を始めたので付いて行こうかとも思いましが、姫様も私も今回は留守番の様です


私も姫様も今は外出より本が気になる為、そのまま家で読書に勤しむ事にします






サクラが帰って来ると、昼間購入した物の中から本を取り出し私達の前に座りました


本の間に挟まっていた紙を取り出して広げました


そこには本に記載されている文字が書かれていました、


こちらの世界の基本的な文字の一覧の様で、「ひらがな」と言うそうです


文字は・・・46個確認が出来ます


本には「ひらがな」以外の文字も書かれていますが、少し複雑な文字の様なので後程教えてくれるのでしょうか?


サクラに複雑な形の文字を指差し、「かんじ」と言う文字だと教えてくれました


複雑な形なのでやはり上級者向けなのでしょう


たぶれっとトを姫様に渡して大きな紙と同じような「ひらがな」の一覧表を表示しました


そしてなんと、私にも同じようにたぶれっとを渡してくれたのです


先程、サクラが帰って来た時に持っていた荷物から取り出していたのを確認していますので、私の専用のたぶれっとを買いに行ってくれていたのでしょう


気を使わせてしまって申し訳ないです


サクラに感謝を伝えます


メイドとして過ごして140年程でしょうか


世話を焼く立場から焼かれる立場になるというのはなんとも、形容し難い初めて気持ちですね


たぶれっとを覗き込むと文字の横に「<」の印が一緒に付いています


サクラがそれを押すと


「あ」


たぶれっとが音を発しました


これがこの文字の発音なのでしょう


これであれば、少なくとも読みは出来る様になるでしょうか


『これは良い学習方法だな』


姫様も同意見の様です


『そうですね、独学で学ぶにはい良い道具かと思います』


『基本的な発音はこの46文字の組み合わせなのだろうな


 私達の世界の基本的な文字は26文字だから


 倍近い文字数があるという事だな』


『習得には時間が掛かりそうですね』


『会話に関しては問題ないかもれぬが、読み、書きに関しては


 本を見るに、「ひらがな」「かんじ」以外にも明らかに形状の異なる文字も存在する・・・


 数種類の文字を複合して使用いるのかもしれぬ』


『・・・複雑ですね』


『ゆっくりやろうではないか、サクラも面倒を見てくれる様だしな』


『本当になんとお礼を言ったら良いか・・・』


『まずは、感謝の言葉を伝える事を目標としよう


 「ありがとう」だけでは足りぬ気がするしの』


『はい、そうしましょう』


「ありがとう」の一言では足りないくらいには世話になっていると私も感じます


感謝を伝えるという目的が出来たので、それに向かって学びましょう


姫様と一通り46文字の発音を確認する


『難しい発音はなさそうだな』


『一文字単独で発音がし辛いという事はないですね』


「あ」「り」「×」「と」「う」


「が」がみあたりません


・・・


サクラに聞いてみましょう



サクラは先ほどの本からもう一枚紙を取り出しました


すると先ほどの基本の46文字に「゛」「゜」が追加された一覧表が描かれていました


たぶれっとにも下部の方に記されていました


「゛」「゜」は追加出来る文字と、出来ない文字がある様です


点々が付く文字が20文字


〇が付く文字が5文字


小さい文字と一組になっている文字が30文字


最初の46文字と合計すると101文字・・・


『多いですね・・・』


『うむ、これを使いこなすのは大変そうじゃ』


流石の姫様も驚きを隠せない様です


『まずはこの文字の暗記からじゃな』



サクラが私たちに一冊ずつ本を、そして筆記用具を渡してくれました


こちらの世界の筆記用具はペン先にインクを付けるタイプの物ではない様です


ペンの後ろをノックすると中から黒く、細い棒が少しずつ出てきます


木炭を細く加工した物の様に見えますが・・・


これを使う分だけ出して使用するのでしょう


書き心地も良いですし・・・しかも消せると?


これは便利です


「しゃーぺん」という筆記用具との皓です



姫様分解しては・・・


姫様が「しゃーぺん」をあっという間に分解してしまいました


え?


大丈夫?


サクラも特に問題ないとの事ですので・・・


それでは私も


とても精巧な作りですね


仕組みも単純ではありますが、筆記用具ひとつにこれ程の部品を使用しているとは・・・


複雑な作りの様に見えますが、それぞれ単純な作業をする部品を、組み合わs手一つの製品にしているのですね

このサイズの部品を実現出来る技術力に驚きを隠せません


『この極小サイズの部品を作製と組立・・・出来そうな職人が思い当たらないな』


姫様は私達の世界での生産プランを考えている様です



筆記用具一つに使用される技術ひとつにしても驚かされますね


『このサンプルを持って帰りたいが【異界の門】を通ると持ち物は消滅してしまわないだろうか?』


私がこちらの世界に来たときは全裸でした・・・姫様もそうだったのでしょう


『姫様もやはりこちらへ来た時は全裸だったのですか?』


『そうだな、お主も裸だった事を考えるとその可能性が濃厚じゃな』


『一度私達の世界へ戻った際に【異界の門】についても調べる必要がありそうだな


 是非とも改良し、物の行き来も出来る様にはしたいな』


それは確かに魅力的です


部下達にもこちらの世界の物を見せてみたいと思っていました


『こちらの世界との交易をお考えで?』」


『いずれはな・・・まずはこちらの技術の独占し、パッヘルベルの発展が先だろうな』


『そこまでお考えでしたか』


姫様は技術屋としての素養が非常に強い気がしますね


『帰還方法が見つかってからの話だがな』


サクラが渡してくれた本を開いてみると


『姫様、これは・・・』


『文字を練習する為の本の様だな』


サクラが使い方を説明してくれました


直接この本に書き込み学習する本の様です


姫様はさっそく書き取りを始めました


本をざっと見てみました


まずは単純な書き取りによる反復練習


その後は、図解による物の名称、シチュエーションで使う言葉と応用練習と言った流れの様です


私も負けてはいられませんね




言語学習・・・初めて行きましょう

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