♯19.5 村人Aと共に書店へと
サクラに付いての外出は3度目となる
3度目となると流石に慣れた物だ
ブリュンヒルデが「でんしゃ」に驚いていたが、警戒する必要はないと伝えた
『姫様、あれは・・・』
『乗り物らしい、「くるま」とは比較にならない大量の人を運べる様だ』
『なんというスピードでしょうか・・・「まじやばい」です』
『あのサイズの乗り物をあの速度で動かすとなると魔力の消費量が多く、私達の世界での実用化は難しいだろう』
『そうですね、動かそうとする人員の数が相当必要になるかと』
私達の世界で実現をさせ様とするのであれば、こちらの世界の技術を使う事になるだろうが、解析はまだ先になりそうだ
歩きながら気になった物は、サクラに名前を教えてもらう
午前中に観た記録映像の動画を観ながら、同じような状況で使えそうな言葉を使いながら、言葉を解析して行く
物の名刺であれば問題ないのだが、動詞、形容詞等になると解析が非常に困難だ
こればかりは試してみて、サクラの様子を見ながら微調整して行く事が必要だろう
コミュニケーションが取れる様にさえなれば、飛躍的に得られる知識も増えるという物だ
こんびにに到着した
また買い物だったのか、一体何を購入するのか・・・夕飯を購入するのだろうか?
サクラは再び肌着を購入する様だ
そうか私達の分か・・・
「ありがとう」
サクラに礼を告げるとサクラは「だいじょうぶ」と返してくれた
『姫様、サクラは何を購入しているのですか』
『私達の肌着だな、ブリュンヒルデが来た事で足りなくなったのであろう』
『それは申し訳ない事を・・・』
『お主が体で返せばよかろう?』
『姫様!!』
あ、いかん
またも本気で殴りかかって来た
『サクラに迷惑がかかるぞ』
『くっ・・・』
サクラの抑止力たるや
見知らぬ異世界人をなんの利もなく、世話を焼いてくれておるサクラに対し思う所があるのだろう
どうやらこんびにで購入するのは肌着だけの様だ
残念
残念と言えばそれっぽい言葉を映像で観たな・・・たしか
「ぱおん」
だったか
サクラの顔を伺ってみると、どうやら使い方は間違ってはいないらしい
「××××××」
何を言っているから分からんがサクラの顔を見るに「買ってやれず、すまない」という感じの事を言っているのだろう
昨日から金を使わせてしまっているからな・・・謝罪をするのはこちらの方だぞサクラよ
頷いて答えた
「じてんしゃ」という乗り物、「でんちゅう」という石の柱?建物は「まんしょん」というらしい
気になる物の名前を教えてもらう
ブリュンヒルデは「じてんしゃ」が気になるならしい
『あの「じてんしゃ」という乗り物気になりますね』
『お主の場合は、走った方が早そうだがの』
『それは、それです』
機能性ではなく体験したいという欲求だったか
昨日の「すーぱー」に似ている店に到着した
今回はこちらに用事があるらしい
『サクラには結構金を使わせてしまっておる・・・我々は我慢するとしよう』
『そうですね・・・姫様は今朝、ぱんを遠慮なしに購入していましたので自重じませんと』
くっ
痛いところを突きよる
確かにそうであった・・・自重せねば
サクラが購入するものをカゴへ投入していく
私が気になる商品を手に取るとブリュンヒルデが声をかける
『姫様、ダメですよ』
『分かっておる、見るだけじゃ!』
箱を見るだけにしておく
『これを見よブリュンヒルデよ、髪の色の薬を変化させる物らしいぞ』
『魔道具ではない様ですね』
『ふむ、箱を見るに液体の様な物を髪に塗る事で色を変化させる様だ』
『変わった薬剤ですね・・・紙の色を変化させる意味は?』
『・・・他国に潜入する時の変装であろうな』
我ながら適当な答えだと思う
『なるほど・・・』
ブリュンヒルデは納得したらしい、ワルキューレ部隊長として潜入任務の際に仕えるとでも思ったであろう
サクラが買い物を終えるのを、ブリュンヒルデと商品を見ながら待った
ブリュンヒルデが荷物を持つとサクラに申し出たがサクラは断った
ブリュンヒルデとしては、サクラを主人とまではいかないが恩人として認めたのだろう
サクラが良いというので、ブリュンヒルデも引き下がったが言葉が通じる様になればどんな事をしても言い包め、サクラから荷物を奪い取りそうだ
もう一軒別の店へ行くらしい
次の店に入ると、本が大量に陳列されている
まさか・・・ここは・・・書店なのか!?
知識の宝庫ではないか!
「まじやばい」まじやばいぞ!サクラよ!
サクラを見ると
「だいじょうぶ、××××××」と言ってくれた
見てきても良いという事だろう
『ブリュンヒルデよ、行くぞ!』
『かしこまりました』
二人で本の海原へと漕ぎ出した
こちらの世界の本は表紙に絵が使われるのが基本的な様だな
文字が読めずとも、内容をある程度予想が出来る良い仕組みではなかろうか
ブリュンヒルデは料理が描かれた本が気になるらしい
『ブリュンヒルデよ、その本が気になるのか』
『えぇ、料理の本の様です』
私達の世界へレシピを持ち帰ろうというのだろうか、勤勉な奴じゃ
『サクラにお礼に作れば、喜んでくれるでしょうか』
違った
全然違った
もう雌の顔をしておる
普段、自分を押さえつけている身分、立場から解放されている為か
一人の女性としてのブリュンヒルデはこんな感じなのだろう
少し寂しい気分もするが、それを邪魔する程無粋ではないぞ
頑張るが良い
帰還する際に、こちらに残るも良し、サクラを私達の世界へ連れて行くも良しだ
『ブリュンヒルデよ、私は別の所へ行ってくる』
『それでは私も』
『良い、好きにせよ
そもそも店内だしの、見ての通り危険もあるまい』
『それでは、お言葉に甘えて』
ブリュンヒルデを置いて、店内を散策する
!!
こ、これは!
この世界の生物が描かれ書物だろう
こんなに大量に・・・これは好奇心を刺激される
魔獣タイプ、昆虫タイプ、水生生物、植物・・・様々な種類の生物が精巧な絵と文字で説明されている様だ
文字が読めないのがもどかしい
本を読み漁っていると、サクラとブリュンヒルデが迎えに来た
「サクラ、ブリュンヒルデ、まじやばい」
この衝撃を二人に伝えずにはいられなかった
ブリュンヒルデを見ると、手には先ほどの料理本を大事に抱えていた
まさか・・・買ってもらたのか?
ずるい!!!
私も欲しい!!!
「サクラ!」『私も購入しても良いだろうか?良いだろう?良いな!?』
サクラは人差し指を立て頷く
1冊だけなら購入しても良いという事だろうか?
そうであろう?そうだよな?
ありがとうとお礼を言い
書物の中からどれにするかを選ぶ
うむ、「たぶれっと」で魔獣、水生生物の映像は観たからな・・・昆虫か植物が良いが
うん
今回は昆虫としよう
これにするぞ!サクラよ!
サクラが支払い場へと向かう
『ブリュンヒルデよ、そなたはそれで良いのか?』
『はい、私はこれが良いです』
サクラが支払いをしてれたので、この本は私達の物となった
初めての異世界の本
これは嬉しい
私も、ブリュンヒルデも大切に胸に抱えて帰宅した
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