♯18.3 村人Aと意思疎通を

たぶれっとの使用方法をブリュンヒルデに教えながら、映像を再生していく


昨日観た映像を順に観せていく


ひとつ前の操作に戻ると、いったん一番最初に戻る方法が分かったのであとは操作しながら覚えれば良い


私が持って操作し、ブリュンヒルデが覗き込む形で観る・・・この体勢だとブリュンヒルデがとても観辛そうだ


それを見かねたサクラが、たぶれっとを立てる道具を持って来た


だぶれっと専用なのだろうか


ありがとう



動画を観ていると昨日観ていない動画が流れ始めた


戻そうかとも思ったが、そのまま継続する事にした


私と同じ金髪で肌は若干褐色の女性が映し出される


歳も私と同じ180歳前後と言った所だろうか


言葉は分からないが、手で輪を作って「おけまる」と連呼している


『姫様、この記録映像は一体・・・』


『さっぱり分からんが・・・この者の着ている服は良いな、私は好きじゃぞ』


『確かに姫様には似合いそうですね・・・あ、何か食べる様ですね』


『これもいずれ食べてみたいな』


また「おけまる」と言ったな


頻繁に使う言葉の様だ


『ブリュンヒルデよ、この「おけまる」という仕草どう思う』


『なかなか可愛いと思います・・・私がするのはちょっと・・・』


『いや、そうではなくて使う場面だ・・・』


『これは失礼しました、同意、決定、合意といった場面で使用している様に見受けられます』


『うむ・・・確かにそういった意味合いの様だ、サクラに使用して確かめてみるか』


『「おけまる」です』


やりおる


ブリュンヒルデめ


『それであるなら姫様この言葉はどうでしょうか「まじやばい」』


『「まじやばい」確かに頻繁に使っているな・・・驚嘆、だろうか?』


『そうですね、物を食べた後、店の外観を見た時、看板を見た時などに使用しているので・・・おそらくそれが正しいのではないでしょうか』


『ブリュンヒルデそれ「まじやばい」』


『っ・・・!!姫様・・・』


二人だと考察が捗るな


言語解析、習得が進みそうだ


まじやばい



サクラが私に話しかけて来た


「ソフィア、ふろはいるね」


浴場を指差している


沐浴をするという事だろう


よし、ここだな


「おけまる」


親指と人差し指で輪っかを作り答える


サクラに通じた様だ


『やはり、同意、了承の様な形で使う事で問題ないようだ』


『そのようです』


『それで、姫様これ、「がちでうまい」これは美味しいという意味の様に思います』


『確かに、食べ物を食べた後のこの顔を見るや連呼しておるしの、概ね間違いなかろう』


『ただ、この「がちがちがち」というのも気になります』


『うむ、こちらも合わせて連呼しているな・・・似た様な意味だろう、実践で確かめよう』


『わかりました』


『これ、こういう時は「おけまる」じゃ』


『「おけまる」』


解析を進めて行く中で、ブリュンヒルデが質問してきた


『サクラはどこへ行ったのですか?』


今サクラは沐浴中であろうな・・・


ここは背中を押してやるか


『ちょっと、呼んできてもらえるか?サクラで言葉が通じるか検証してみよう』


『「おけまる」』



浴場への扉を開けて入っていった


そっと後を付け、後ろから覗いてみる


ちょうどサクラが浴場から出てきた


当然全裸である


固まるブリュンヒルデとサクラ・・・とそれを見つめる私といった構図だ


私も男性器を見るなど初めての経験だ・・・模写しておきたいくらいだ、実に興味深い


ブリュンヒルデがぽつりと


「まじやばい」と呟いた


うはははははははははははh


使い方は間違っておるまい


サクラが無表情でそっと浴場の扉を閉める


ゆっくりとこっちを振り向くブリュンヒルデの顔は真っ赤だ


私と目が合うと襲い掛かって来た


『姫様!やってくれましたね!』


『うはははははは、良い経験だったであろう?』


襲い掛かってくるブリュンヒルデをいなしながら大部屋へと戻る


ぬ、いかん


ブリュンヒルデが割と本気だ


体術は若干ブリュンヒルデの方が上だ


飛んでくる手を全て叩き落とす


扉が開き、サクラが出てくるとブリュンヒルデの手が止まる


二人してサクラを見るが、私と目が合った瞬間に私の差し金だと察した様だ


ブリュンヒルデはサクラに駆け寄り頭を下げ、謝罪する


『姫様、この事は忘れませんからね!』


『サクラの股間をか?』


『っ!違います!』


『落ち着け!サクラに迷惑がかかるであろう?良い物が見れて良かったではないか!』


『知りません!』


こちらの世界に来てからブリュンヒルデが感情を出す事が増えた


こちらのブリュンヒルデの方が良いな


幼い頃はこんな感じだったと思うがの



二人で再びたぶれっとで映像を観始めた


昨日観た、あにめとあにむすを観せてみた


『姫様、これは素晴らしいです』


こちらの歌に感動していた、そうであろう?


『これは歌だからな、私たちが覚えて、あちらの世界で披露すれば良い』


『なるほど』


ピンポーン


!?


なんだろうか?


『姫様これは?』


『分からんが、警戒せよ』


こういった時は・・・そうだ


「まじやばい」だ


サクラは特に気にせず入口へと向かう


『来客を知らせる合図でしょうか?』


『念の為、警戒しておこう』


サクラの後を付いて行く


いざという時は私たちで守らねば


サクラは来訪者から荷物を受け取る


受け取った荷物を私に見せてくれた


この香りは・・・


『姫様、これは?』


『食べ物のようじゃの?』


『先ほど食べたばかりでは?』


『こちらの世界では1日3食食べる様なのだ』


『なんと!?』


手を洗いに行く


『今なら分かります、これがスライム除去剤なのですね』


ブリュンヒルデも「あにめ」を観たからな


綺麗好きの民の習慣は覚えねばな



大部屋へ戻るとテーブルに食べ物と飲み物が置かれていた


いただきます


3人で食事をいただく


紙だ包まれた物は・・・ぱんの様だな


肉をぱんで挟んでいる


これはこのまま手で持って食べれば良いのだな


『んーーーーーー』


『姫様、これは美味しすぎます』


美味しすぎる


ぱんの柔らかさもそうだが、この肉の味付けよ!


『姫様、これはどうやって飲むのですか、液体の様なので飲み物ですよね?』


『この筒を吸う事で、中の飲み物が口内まで上がって来るのだ』


ふふ、合えて詳細は説明せぬ・・・


喉の直撃をサクラに見せて笑われるが良い


ちゅーーーーー


ズゾゾゾゾゾ



『不思議ですね、しかもこれはなんとも不思議な触感です


 飲み物かと思いましたがこちらは微妙に違う様です』


あるぅえぇぇ?


普通に飲みよった


喉にズコンって・・・ならないのか



解せぬ


『こういう時はそう・・・』


「がちでうまい」


そうであったな


ブリュンヒルデが先ほど考察した言葉を試してみる


もう一つも試さねば


「がちがちがち」


私も続く


サクラも「おけまる」と答える


おおおおおおおお!


合っていたらしい、意思の疎通が図れた事に感動を覚える


この調子で言語を習得していこう




『姫様、これはおそらく芋を炒めた物でしょうね』


『うむ、その様だ』


こちらをいただいてみる


!!??


外はカリッカリ!中はふんわり


絶妙な塩加減


塩だけでこんなに美味しく食べられる物なのか


『ただ、炒めただけではないのかもしれませんね』


確かに、調理法に秘密があるのやもしれん


サクラは小皿に赤と、白・・・これは「まよねーず」だろう


この二つを入れて私たちの前に差し出した


これを付けて食べてみよと?


よかろう、その挑戦受けてやろう


つけて食べる


あはっ


美味しすぎる


『私は塩のみの方が好きです』


『私は・・・こうしてこうだ!!』


赤い物とまよねーずを混ぜ合わせて食べてみるとこれがまた美味しい


なんという事か芋が芋でなくなる


『私はこれが好きだ』


??


サクラがさらに進める


これに付けよと?


『姫様、これはその、なんといいますか・・・甘い溶けかけの氷と言いますか


 その様な感じです』


なんだそれは、全然分からん


とりあえず飲んでみる


ちゅうーーーーー


『上がって来ぬぞ!!ブリュンヒルデよ』


『姫様!もっと強くです』


『分かった』


ズルッ!


ドスッ!


ゲホッゲホッ!ウォェェェェ!


またしても喉に


『姫様、加減を・・・ブフッ!』


ブリュンヒルデよ


何を笑っておる


もう良いわ


容器の蓋を開けて芋をつけて食べてみる


甘くて冷たくて美味しい


芋が果物にでもなったかの様だ


『美味しい』


『私は苦手です』


好みが分かれるか


はんばーがー、ポテト、しぇいく


覚えたぞ


食べ終わるとサクラがどうやら外出する旨を伝えて来た


二人で「おけまる」と答え


帽子を被り外出の準備をする


さて!次はどこへ行くのだ?

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