♯18 村人Aとして計画変更を

俺は勘違いをしていたのかもしれない・・・


異世界異能バトル物だとばかり思っていたが、これはもしかして異世界ほのぼのスローライフ系の可能性もあるのでは?


いやね、それはそれで好きなジャンルなので良いんです


女性二人を家に住まわせ、面倒を見るとなるとある程度ランニングコストを考えなければならない訳ですよ


養育費もあと8年支払わなければならないしね・・・


仕事を頑張れという事か・・・


しかしながら、まだ物語が始まって、まだ2日目ですよ


断定するには早いだろう




この家にいる間はきちんと面倒を見よう・・・という方向に切り替える事にする


幸い稼げているし、養えない訳でもないからな




二人はタブレットを観ている


動画サイトのアイコンをしっかりクリックして、マイリストからサムネを開いて起動していたので操作も問題なさげだ


ソフィアはデジタル関係の事を覚えるの早そうだ


キャンセルの方法、リセットの方法さえ教えてしまえば、あとはトライ&エラーで勝手に覚えて行く優秀な子だ


二人仲良くソファーに並んで見ている


ブリュンヒルデが若干見辛そうなので、スタンドを貸してタブレットをテーブルの上に置く


二人からありがとうとお礼を言われた


このあたりのコミュニケーションがあるだけでも嬉しい物だ


ありがとう言えない人・・・たまにいるからな




二人は動画を観る様なので一旦日課の朝風呂の準備だ


ソシャゲのスタミナ分を回しながら、ニュースサイト徘徊しつつ今後の予定を考える


面倒を見ようと決意した手前、必要な日用品を揃えねば


衣食住で不足しているのは衣類だけか


下着は一式購入せねばならないだろう


服も買うとなると新宿まで出かける事になるかな


通販で買っても良いが、女性の服は正直サイズとかは分からん


付き合っていた彼女の服の買い物に付き合いで良く一緒に行っていたので特に抵抗はない


歯ブラシやら化粧水やらの日用品も必要か


新宿に二人を連れて行くとなると1日かかるだろうな


今日は仕事があるので、新宿行きは明日だ


日用品は午後から買いに行くか


ショーツも不足している


ソフィア一人分で3日分という算段で3枚購入したはずだったが


明日履くパンツもない


購入する物をスマホのカレンダーに記載する


おっさんは忘れがちなので、しっかりとメモるよ



風呂が沸いたので


「ソフィア、風呂入るね」


風呂場を指差しソフィアに伝えると、ソフィアが親指と人差し指で輪っかを作り


「おけまる」と答えた


なんて!?


ソフィアさん、一体なんの動画観てるんです?


使い方は間違ってないから良いけどもさ


ソフィアさん、可愛すぎてそれはそれで俺にぶっ刺さるよ


観る動画をソフィア任せにして良いか一抹の不安を感じながらも風呂場へと向かった



湯舟に浸かり、歯を磨きつつ今後の事を思案する


これ、まさか1日一人ずつ増えたりしないだろうな・・・やめようそれはフラグだ・・・


この部屋に3人というのも手狭ではある・・・


ひと月だな・・・ひと月このままの状態が続く様であれば引っ越しも検討しよう


あとは彼女達の言語習得がどれくらいのペースで進むかも問題だ


育児中はどうやってたっけか・・・そうだ


知育関係の玩具だ・・・しかしあの年齢となると適正ではないかもしれない


菓子パンマンの絵本程度なら良いか


ひらがなと数字と読み書きくらいは出来る様になってもらおう


筆記用具と書き取り用のノートも購入リストに追加しておくとしよう


ブリュンヒルデ用のタブレットも中古で良いから購入しとこう


二人で一つのタブレットでは使い辛いだろう


もし二人が元の世界に戻ったとしても、予備として使えば良いし。不要なら売れば良い


購入する物もまとまった


風呂から上がろうと、風呂場のドアを開けるとなぜかブリュンヒルデが居た



俺も不意を突かれたので、前を隠していない


モロに見られてしまった


というか何故ここに?


ブリュンヒルデは赤面して固まっているが、視線は俺の股間だ


そんなめっちゃ見られると、おっさんと言えど流石に恥ずかしいのですが


・・・気まずい


ブリュンヒルデが呟いた


「まじやばい」


なんて!?


君ら一体なんの動画観てるの?まじで


俺はそっと風呂場のドアを閉めた


おっさんの裸を見るイベントって需要ないでしょうよ


こんなラッキースケベあるぅぅ?


カテゴリ的にはラッキースケベ枠ではないだろう


なんと名付けるか・・・


そんな事は心底どうでもいいな


俺は考えるのを止めた



今度はそっと風呂場のドアを開ける


よし、誰もいない


服を着てリビングへ行くとソフィアとブリュンヒルデがやり合っていた


そうか、ソフィアの仕業だったらしい・・・こいつの性格が分かって来た気がする


二人と目が合う、ソフィアはニヤニヤして、ブリュンヒルデは赤面している


ブリュンヒルデは俺に駆け寄り頭を下げ、謝罪する


大丈夫、おっさんは察していますよ


ソフィアにハメられたんですよね


大丈夫と伝え、仕事を始める


二人は再びタブレットで動画を観始めた




先日作った図面をメールで試作作製依頼をする業者の営業さんへ送る


続いてビデオ通話をしながら詳細を擦り合わせる


組立方法と輸送方法は予算だけ伝え丸投げだ


むこうの設計担当者がいくつか案を出してくれる


打ち合わせが完了し、試作の依頼をお願いした


クライアントに試作依頼業者宛に商品サンプルを送ってもらう様に連絡を入れる


次はシャンプーの店頭訴求用のPOPの提案案件となる


二人はタブレットを真剣に話し合いながらずっと観ていた


二人が会議をしている様な感じがして、自宅ながら会社の様な雰囲気を感じた


おかげで午前中は仕事が捗った


自宅だとコントロールが難しいが


メリハリって大事





デリバリーで昼食を注文しておいた


ウーマーイィッスというデリバリーマッチングサービスだ


色々と悪いニュースも話題になるが、幸いそういった案件にあたった事は今の所ない


個人的にはデリバリーしていなかった店の料理が食べられるので良く利用している


ハンバーガーのセットを3人分頼んでおいた


そろそろ来るだろう


ピンポーン


インターホンが鳴ると、ソフィアとブリュンヒルデが警戒し戦闘態勢に入る


「まじやばい?」


やばくないよ?


なんぞギャルでも出る動画でも観たのか?


後で履歴チェックしてみるか


俺が玄関へ向かうと二人も後ろから付いて来た


警戒しなくていいから


清算はクレジットカードで済ませてあるので、商品を受け取るだけだ


昼食にしよう、袋の中身をソフィアに見せる


匂いで食べ物だと分かったらしく、ソフィアを連れて洗面所へ行き手を洗って来た



その間にテーブルにそれぞれ、バーガーとフライドポテトと飲み物を準備する


いただきます


3人で昼食をいただく


バーガーはてりやき、フライドポテトはL、飲み物はコーラのM


二人にはシェイクのバニラも付けておいた


個人的な好みだ


ジャンクフードは体験してもらいたかったので昼食はこれにした


体によろしくはないが・・・美味しいんだもの!



二人の幸せリアクションで癒される



シェイクに驚いていた


ブリュンヒルデはストローで上手に飲んでいた


ソフィアの様に喉に直撃させる事はなくて安心した


そうかアイスまだ食べてないものな


今度ごちそうしよう




ブリュンヒルデが


「がちでうまい」


なんて!?


ソフィアが続く


「がちがちがち」


いや、まぁ間違っていないけど、言った後にこっち見んな


使い方があっているのかこっちを見て確認するこの間がシュールだ・・・面白過ぎる


使い方はあってるので俺も答える


「おけまる」


いや、おれはおけまるじゃなくてもいいじゃん


つられてしまった


間違いなくギャルが出たなんらかの動画観たな・・・


積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれている事を考えればしばらくは我慢しよう


後で矯正しよう




二人ともポテトが気に入ったようだ、まじやばいらしい(笑)


そうだろう、そうであろうとも


シューストリングのフライドポテトは至高である、特に揚げたてともなると


ウェッジカット、ハッシュドポテトも捨てがたい


そして味付けは塩一択


あくまで個人的な好みだ


レギュラーカット、コーティング、スパイラルカット、クリンクルカット、ラティスカットetc


上記であれば、ケチャップ、マスタード、マヨネーズも歓迎だ


あくまで個人的な好みだ



俺の好みを押し付ける訳にはいかない


世界を狭めてしまうからな


小皿にケチャップ、マヨネーズを準備し二人の前に置いておいた


二人とも一通りすと、ブリュンヒルデは塩が好みらしい


ソフィアは、ケチャップとマヨネーズを混ぜ合わせた物が好みらしい


罪深い


海外ドラマのワンシーンでポテトをシェイクに付けるなんてのもあったな、一度試したが悪くはなかった


二人にも一応奨めてみる


ソフィアが上手く飲めずストローをまた喉に直撃させていた


飲み辛いもんね


ブリュンヒルデはあまり好みじゃないらしい


ソフィアはイケるらしい


ソフィア・・・素質があるな



朝食を食べ終えたので日用品を買いに行こう


二人に「出かける」事を伝えると「おけまる」と言って二人とも寝室へ行き帽子を被って出て来た


思わず笑ってしまった



賑やかなのもいいものだね

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