♯17 村人Aごときと朝食を

みるくてぃーを片手に異世界を闊歩しています


程よい気温で、過ごしやすいです


姫様から目は離せませんが、通常業務から解放され少し心が浮足立っているやもしれません


「こんびに」という店に到着するまでに「くるま」という乗り物を見かけました


あやうく真っ二つにする所でしたが、姫様に止められました


便利な乗り物があるものです


いずれ乗ってみたいですね



「こんびに」に到着しました


ガラスのドアが自動で開閉する事に驚きましたが、「姫様が異世界だから」と説明してくれたので深くは考えません


考える事を放棄した訳ではありませんよ


一旦保留です


こんびにの品揃えに驚きました


用途不明の見たことのない商品ばかりで、どう使用するのか考察するだけも楽しいですね


驚いているとサクラに呼ばれました


どうやら我々の朝食を買いに来た様です


好きな物を選べと?


どうしましょう・・・どういった味か検討も付きません


この一角はどうやら「ぱん」らしいです


元の世界のパンと同じような物だと姫様が教えてくれました


どれにしましょう・・・



姫様、多少遠慮しては・・・


サクラが持っているカゴに結構な量入れています


綺麗に包装されている物ばかりですね


衛生的です


姫様が綺麗好きの民というのも頷けます


私は・・・この丸い「ぱん」をひとつと・・・


反対側の棚にある野菜をいただきましょう


バランスは大切です


野菜はすでに加工してあり、数種類の野菜の詰め合わせになっている様です


面白い販売方法ですね




サクラの持っているカゴに入らないので、手で持っておきます


清算はこちらでするのですね



こちらの魔道具で商品を読み取り、金額の確認をしているのだと姫様に説明されます


自動で計算をするのであれば、どんな人でもこの仕事が出来るという事になりますね


スキル不足は道具で補う事により、皆が一定の水準を保てると・・・この発想は取り入れたいですね


仕事も戦闘も効率よく仕事が回せそうな予感がします


ふむ、それがこちらの世界の貨幣ですか・・・


紙の貨幣もあるのですね・・・持ち運びも楽そうですね


偽造が心配ですが、精密に描かれている様なので対策はされているのでしょう


店の者が袋詰めまでしてくれるのですね


サクラ、ひとつ持ちましょう


・・・


大丈夫ですか?


では、疲れたら声をかけてください



サクラが私と姫様に一袋ずつ食べ物をくれました


透明な袋で包装された丸い食べ物で、真ん中がくり抜かれていて、半分黒くなっています


袋の端がギザギザになっているのは、開けやすい様にとの工夫の様です・・・なるほど


「ぱん」の一種でしょうか?


食べながら歩くと?マナーが・・・そうでした、ここは異世界です


問題ないのでしょう


「どーなつ」という食べ物らしいです


少し硬いですが美味しいです


黒い部分は甘いのですが少し苦みも感じます


甘いのに苦い・・・この2つが混在する不思議な味です


先程買っていただいた、みるくてぃーとも良く合います


こんなにゆったりした時間は久しぶりです


異世界・・・素晴らしいですね




家に到着すると机いっぱいに購入した食料が並びます


・・・買いすぎでは?


『どれも美味しそうだったからの・・・気になるではないか!』


姫様・・・少しは遠慮という物を


『サクラが、買ってくれるのじゃから良かろう


 こちらの食料は安価なのやもしれん』


確かに、サクラがこれだけ購入出来るとなると食事が安価というのは頷けます


もしや、サクラは貴族なのでは?


いや、この部屋の狭さからしてそれはないでしょう


食料が安価という可能性の方が高そうです


『安価な割にはとても美味しいですね・・・』


『そう、そこがこの世界の良い所じゃ』


サクラが私の選んだ「ぱん」と野菜を渡してくれます


ありがとう


野菜の容器を開けて、野菜に何かかけてくれた


『この「ふぉーく」というのを使用して食べるのだ


 食前の祈りもあるぞ、手をこう合わせて「いただきます」だ』


姫様からふぉーくと呼ばれる物を受け取り、食前の祈りの方法を教わります


これで刺して食べるのですね


いざという時は武器にもなりそうです


それではお祈りをしていただくとしましょう


!!


先程サクラが野菜にかけてくれた物、「どれっしんぐ」というそうですが、これがとても美味しいです


野菜がいくらでも食べられそうです



野菜を加工して、容器ごと売る・・・これは新たな商売にもなりそうですね


この透明な容器、素材はなんでしょうか


この商品は結構高い物だったかもしれません


サクラにはお礼をしなければ



私が選んだ「ぱん」をいただいてみます


こちらの世界の「ぱん」は非常に柔らかく、もちもち、しっとりとしています


こんな「ぱん」を食べたのは生まれて初めてです


!?


中に何か入っています


赤くて甘い果実をすり潰した物の様です


これは美味しい・・・ですが野菜とは合いませんね


組み合わせ、失敗してしまった様です



チンッ


という音がしたので、音の方を見ると


サクラが黒い箱からサクラが買った「ぱん」でしょうか?


それを取り出し、3等分して一つずつ分けてくれました


サクラが姫様に渡す際に何か伝えています


『熱いから冷ましてから食べよとの事だぞ


 こちらの世界の料理は暖かい物が出てくるから気を付けよ』


『かしこまりました』


サクラと姫様がやっているのを真似て同様に息を吹きかけ食べ物を冷まします


ぱん生地に肉と・・・匂いからしてチーズでしょうか


!!


このチーズトロットロです


こんなに美味しい物をいただいてしまってよろしいのでしょうか


幸せです


姫様もうちょっと品の良い食べ方をしてください


仮にも王女ですよ!




姫様もさすがに全て食べきる事は出来なかった様です


サクラ、ありがとうございました


『姫様、この後のご予定は』


『ふふっ、そこでこの「たぶれっと」の出番となる』


姫様が懐から板を取り出しました


『たぶれっと?』


その魔道具は映像の記録が出来る物の様で、この世界の様々な事を学べるとの事


書物の様な物なのでしょう


姫様と共にこの世界の事を学ぶとしましょう

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