♯16 村人Aとして2日目のチュートリアルを

目に光が差し込んでくる


そうだ昨日はソファーで寝たんだった


時計を見ると時間は6:00


特技と言っていいのか、寝起きはすこぶる良い上に、体内時計が割と正確で前日に起きた時間に目覚める


昔から寝坊や遅刻とは無縁の体質だ


起きたらまずはトイレ、次に洗面所で口を口内洗浄剤ですすぐ


そして再びソファーで横になり、ソシャゲのスタミナ消費がいつものルーティーンだ


寝室では二人の話声がするのでもう起きている様だ


寝室からソフィアが目をこすり、あくびをしながら出てくる


ソフィア達の居た世界と、この世界の一日の時間は大体同じ様だな


ソフィアを見るに昼と夜もあり、睡眠も夜に取るのがデフォなのだろう


こちらの世界でもやって行けるだろう


旅立った後は色々な試練もあるだろうが頑張って欲しいものだ



トイレで起きて来た様だ


ソフィアの頭は寝癖でぼさぼさだ


寝相はあまり良くないらしいな


その後ろに一定の距離を保ちつつ、ブリュンヒルデがくっついて歩いている


彼女の髪は綺麗な物だ


主従関係?なのだろうか


それとも拳で分からせたのか・・・定かではない


「ソフィア、ブリュンヒルデ、おはよう」


声を掛けるとソフィアが「おはよう」と返してくる


『××××××』


ソフィアがブリュンヒルデに話しかける


『おはよう』


ブリュンヒルデも挨拶を返してくれた、高級ホテルの受付の様に丁寧なお辞儀まで付いてきた


ソフィアが挨拶を説明していたらしい


1日早くこちらへ来ただけでも、多少アドバンテージはある様だ



トイレにはまずはソフィアから入る


ブリュンヒルデがこちらを睨んで来る


いや、警戒しなくても覗いたりしませんて・・・


用を足したソフィアがブリュンヒルデにトイレの使い方を教えている


昨日の炭酸飲料の様に余計な事を教えなければ良いが


トイレの中からブリュンヒルデの驚く声が聞こえた


ソフィアはトイレの中のブリュンヒルデに笑いながら話しかけている


やめたれ、ソフィアさん


初めてウォシュレット使えば驚くんですよ


テンプレ反応ありがとうございます


無事終えた出て来たブリュンヒルデと目が合う


『×××××!×××××!』


なんか怒ってるぅぅ


「ごめん、ごめん」


理由は不明だが、ひとまずなだめる


ソフィアは笑っている


こいつ・・・何かよからぬ事を吹き込んでいるのでは・・・



二人に飲み物を用意してテーブルへ誘導する


冷蔵庫を覗きながら朝食を考えるが、昨日の買い物・・・カレーの分しか買わなかった為、食材がない


朝からカレーはな・・・


ブリュンヒルデに関してはこの世界での初めての朝食となる


朝食がカレーというのは・・・やめておこう



そもそも人が増えると思ってなかったしな


コンビニに買いに行こう


「ソフィア、コンビニに行ってくる」


通じずとも、声を発するのは大事だ


昨日は色々考え過ぎて声を掛けが少なかった気がする


海外に行った時、日本語でも無理矢理声を発し、身振り手振りでなんとなく伝わった経験がある


何も声を発しないよりは効果はあるだろう


海外出張に行った際に、現地の工場で作業員に一緒に行った年配の先輩が


「ココ、マッスグ、クッツケル?ワカル?」


「先輩それ全部日本語っす」


と突っ込んだ事を思い出した


もちろん現地の人に通じなかったが、常時そんなノリでなんとなく和気藹々とコミュニケーションを取っていた


勢いって大切



ソフィアが「でかける?」と聞いて来た


昨日の会話覚えていたのか・・・やはり頭いいなこの娘


ソフィアは寝室へ走って行って昨日被ったマリンキャップを取って来た


すでに装着済みだ


留守番しといてもらおうと思っていたのだが、一緒に行くらしい


ブリュンヒルデだけ置いて行く訳にも行かないな


彼女にも黒いボブから長耳が飛び出しているので帽子は必要か


黒いベースボールキャップをクローゼットから取り出しブリュンヒルデに被せる


俺の身長が170cmなので彼女は160cm程だろうか、少し覗き込む形で彼女の耳を収納させていただく


必要以上に触らない様に気を使う


ソフィアに負けず劣らず、綺麗な顔立ちをしている


近くで見ると瞳の色は濃い赤色なんだな、瞳孔はネコ科のそれだ


黒髪なので、外に出てもそれほど目立たないだろう


目立つとすれば、【美人さん】という点でだろうか


ブリュンヒルデは昨日の様に表情を崩さないし、姿勢も正しい


仕事モードと言った感じだ


ただ着ている物がジャージなので、違和感がある、スーツやメイド服ならハマるのだろうな


ソフィアの執事、付き人といった感じの立ち居振る舞いだ


もしかしたらソフィアはどこぞの貴族とか、身分の高い人間なのかもしれないな


ブリュンヒルデが一言もソフィアを名前で呼ばないんだよな


お嬢様だとか、マスターだとか敬称で呼んでいるのかもしれない


考えると、なんか萌える



ソフィアは昨日のコンフォートサンダルを履いていち俺よりも早く外に出て待っていた


楽しみなのは伝わったから、ちょっと待って


ブリュンヒルデ用の履き物は・・・スポーツサンダルで良いか


足首と甲の部分をマジックテープで止めるタイプだ


ブリュンヒルデの履いているジャージはやはり丈が少し長いな


このまま外に出ると引きずってしまうのでロールアップさせていただく


「ブリュンヒルデ、ちょっとごめんね」


彼女の前に跪き、両脚を7分丈くらいまでロールアップする


履き方も分からないだろうから、このままスポーツサンダルも履かせる


「ここに足を乗せてもらえる?」


身振り手振りでどうして欲しいかを伝える


少し躊躇っていたが、ソフィアが声をかける


『×××××××』


『××××××』


ブリュンヒルデがスポーツサンダルの片方に足を乗せるたのを確認すると脚の甲と足首部分をマジックテープで止てみせる


もう片方はブリュンヒルデに任せる


彼女自身でで俺の見様見真似でやってみせた


マジックテープが不思議らしく、何度かくっつけたり、剥がしたりしていた


満足したらしい


鍵を掛けて出かける


6:30か


外を歩いている人もまだ少ない


7月末なので結構明るいし気温も程良い


彼女達は二人で談笑しながら歩いて付いて来る


「サクラ?××××」


ソフィアから声をかけられ振り向くと二人が自販機の前で立ち止まっていた


喉が沸いたのかな?


いや、自販機が飲み物を販売する物と分かるか・・・?


ソフィアは昨日ペットボトルを見ているからわかるのか


これも経験だ、購入しよう


自販機にお金を入れ、好きなのを押す様に促す


『×××××××?』


何を言ってるから分からないが頷く



ソフィアは悩んだ結果、選択基準は分からないが缶のコーラを選んでボタンを押した


ガシャンという音と共に取り出し口に落ちてくる


その音にびくっとする二人が可笑しかった


取り出し口からコーラを取ってソフィアへ渡すと


『おぉぉぉ』


二人とも驚嘆の声を上げた


ソフィアは俺に「ありがとう」と告げる


礼儀・礼節しっかりしている子は好きですよ



次はブリュンヒルデ分だな


再びお金を入れ、次はブリュンヒルデに押す様に促す


ブリュンヒルデは、少し驚いた様な顔をする


「大丈夫だよ、好きなの選びな」


『××××××××』


ソフィアがブリュンヒルデに話しかける


『ありがとう、サクラ』


ブリュンヒルデは俺にそう告げて、ペットボトルの紅茶を選んだ


出て来た飲み物をソフィアが取り出し、ブリュンヒルデへと渡す


ペットボトルの開け方もソフィアが教えている


面倒見いいね、姉妹の様だ


ブリュンヒルデは紅茶を口に含む


『××××××××』


お気に召した様だ


幸せそうで何よりである


ソフィアは・・・缶の開け方が分からないらしいので教える


自分でやりたい様なので開け方のみ教え彼女に任せる


プシッ!


炭酸が少し吹き出した事に驚いていたが、それよりも中の液体が気になるらしい


黒い液体だと気づいた様で怪訝な顔をしている


俺が飲むコーヒーを見た時も同じ様な顔をしていたな


一口飲むと、気に入った様で、結構な量を一気に飲んでいた


またゲップでるよ


『××××××ゲフゥ』


ブリュンヒルデに話しかけながらやはりゲップする


もはやわざとやっている気がする


マナー的にはよろしくないだろう・・・矯正せねば


『××××××』


ブリュンヒルデもソフィアに対し強めに何かを伝えている


あちらの世界でも行儀が悪いという事なのだろう


そんな事をやりながらコンビニへと向かった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る