♯15.3 村人Aとして異世界転移者二人目にチュートリアルを

物音で目が覚める


部屋の時計を見ると・・・2:00だ


寝室の方から物音がする


ソフィアが起きたのか、トイレだろうと、その時は特に気にせずそのまま眠りについた



しばらくすると話し声やバシバシと何かをたたく音もする


これは寝言、寝相の類ではないだろう


ソフィアを追って来た刺客イベント発生だろうか


思っていたより早かったな


どうか家だけは壊さないで欲しい


部屋の電気を付け、寝室の前へ



話声が聞こえるなー、これ絶対人いるなー


『ソフィア開けるよ?』


念の為声をかけてから、意を決して扉を開ける


すると目の前にソフィアの後頭部が飛び込んで来る・・・


ソフィアの前に誰かいるのは間違いない様だが、暗くてはっきりとは見えない


『×××、××!?』


『××!×××××××××××!』


ソフィアとは別の声もする


声からして女性だろう


ソフィアが何者かの手を掴んでいるのは理解した


相手の体勢も、うっすら見えて来た、やはり戦っているのだろうか?


刺客か?



『×××××××××××××!』


ソフィアが声を荒げる


『×××××××!?』


刺客も驚愕の声を上げる


二人で暫く言い合いをした後、ソフィアが手を掲げると、掌に魔法陣が出現する


実際に発動する魔法を見るのは初めてだな


『×××××××!』


ちょっと待って!


爆発とかしませんよね?



すると刺客の下から鎖が飛び出し、刺客に巻き付き、刺客は鎖に拘束された


この拘束は刺客には破れない様でおとなくなった


「ソフィア?だいじょうぶか?」


「サクラ、だいじょうぶ」


ソフィアに怪我はないらしい


無事でなにより


『××××××××』


刺客めっちゃ怒ってるぅぅ




寝室の電気を付ける


『!?・・・×××××』


刺客が眩しそうに声を上げる


「うぅあぁぁぁぁぁぁぁ」


ソフィアお前もか


両目を手で覆いしゃがみ込んでいるソフィアが目の前にいた


刺客の容姿を確認する


黒髪ボブカット、耳は・・・やはり長いな


ついでに犬歯が長く尖っている


年齢は20代かな、キャリアウーマンって感じの美人さんだ


そして・・・全裸だ


異世界転移時は服は持ち越せないのだろう


ソフィアもそうだったし


テンプレ通りならば、魔族といった所だろう


魔族に命を狙われるエルフか・・・


それっぽくなって来た


ソフィアさん始末するのであれば、ここではないどこかでやって欲しいのだが・・・



何やら、刺客とソフィアが話を始める


結構時間かかりそうだな


飲み物でも入れてこよう




ソフィアには昼間の飲み残しの炭酸ジュースを、刺客にはオレンジジュースを持って行く


寝室へ戻ると刺客は拘束を解かれ、裸で姿勢よく立っていた


大丈夫?危なくない?


立ち方は接客業の客を迎える様な気品ある立ち方だ


裸だけど


眼福だ、ありがとうございます


おっさんは、大声上げてジュース零す様な童貞リアクションは取りませんよ


飲み物を机に一旦置く


ソフィアは俺に特に説明もなしにジュースを手に取って飲みだした


ソフィアさん、その前にやる事あるでしょう?


ソフィアはずずっと飲み物を飲みながら、俺の視線に気付くと、刺客を指差し


「ブリュンヒルデ」と告げて来た


刺客の名前だろうか


この短時間で屈服させたと?


もしくは刺客ではなく、ソフィアの知り合いだったのかもしれないな


しかし、ブリュンヒルデとは・・・


クトゥルフ神話来ましたね、これ


厨二要素をくすぐられますねー


おっさんワクワクすっぞ!


ワルキューレの一人なのだろうか


北欧神話ベースの世界観なのか、たまたまなのかは分からないけども


ひとまずソフィアと俺に対する敵意はもう感じない


しかし、裸なのに無表情で突っ立てられる胆力・・・プロ意識を感じるな


『×××××××』


二人の間で話はまとまった様だ


この後は二人でこの世界に冒険に旅立つのだろう?


「サクラ!」


ソフィアは俺に声をかけつつ、自分が着ている服を引っ張ってみせる


ブリュンヒルデも裸ではまずいな、気が利かず申し訳ない


あまりに綺麗にマネキンの様に立っているものだから、俺の脳がオブジェクト判定していた


選別にくれてやる服は・・・


ショーツは昼間購入したやつを渡せば良いだろう


Tシャツは未使用のモノがあるからこれで



うーん後はジャージの上下で良いか


これもまた昔集めていた百合の紋章シリーズの黒ジャージだ


ズボンは横に白いラインが一本、腰はゴムだから落ちてくる事はないだろう


上着には胸にワンポイントのラメの百合の紋章、背中には大きめの百合と骸骨が刺繍されている


若かりし頃のやつだ・・・そういう時期、あるやん?



服をソフィアに渡し「ブリュンヒルデ」と告げる


おそらく伝わるだろう


ソフィアは頷き、服を受け取った


ソフィアがブリュンヒルデに説明をし始めたのを確認し寝室を出て扉を閉めた


2:30


丑三つ時を少し過ぎた辺りだろうか


眠い


明日の仕事も巻きでやったし、二人が出て行ったらゆっくり休もう


「サクラ!」


ソフィアからお呼びがかかる


寝室を覗くとジャージを来たブリュンヒルデが居た


ちょっとぶかぶかのジャージ


くぅぅぅ


割とツボなんだよな


可愛いわ



どうやら前が閉められないらしい


ファスナーの仕組みが分からないのか


ですよねー



ブリュンヒルデの前に跪き、ファスナーを引き上げるが胸の下で手が止まった


けしからん物が視界に入ったからだ


俺は巨乳より微乳派だ


美乳ではなく微乳だ、誤字ではないので安心して欲しい


ブリュンヒルデの顔を見ると赤面している


やだ、この娘、可愛い


チョロイン属性持ちですか?



ちょっとサイズは大きめなので一旦手前にファスナーを引く事で胸の上までファスナーを上げる事が出来た


苦しいという事はないらしい


『×××××××』


『××××××××』


二人が何か話しているが内容は分からない


ソフィアが俺の名前がサクラだとブリュンヒルデに紹介する


「よろしく、ブリュンヒルデ」


声を掛けて、オレンジジュースを彼女に渡す


『××××××、サクラ』


異世界から来たばかりだ一旦落ち着くと良い


暴れたりする様な事はなさそうだ


穏やかな顔をしている


改めて見るとかなり美人さんだ


正直おっさんのドストライクである


ソフィアが何かをブリュンヒルデに伝えるとブリュンヒルデが一気にオレンジジュースを飲み干した



これ・・・あれをやる気だな


ブリュンヒルデはオレンジジュースの味に驚いている様だ


美味しいらしい


良かった・・・けども


ブリュンヒルデが胸を押さえ苦しそうにする



『ヴァぁぁぁぁ』


美人さんからゲップが放たれる


ソフィア程豪快ではなかったな


ソフィアさん、意地が悪いんじゃないですが


これやらせたかったんだろうな


ソフィアは笑い転げている


ブリュンヒルデは恥ずかしそうこちらを見る


苦笑いで応え、コップを受け取る


さて、話は終わっただろう旅立ちの時だね


『×××××××』


『×××××××』


ブリュンヒルデがソフィアに怒鳴り散らいしている


当然だな


やり取りからして、殺し合うとかそういった中ではなさそうだな




ソフィアはそそくさとベッドに戻った


うん?


ブリュンヒルデはベッドの横の床に寝転がる


あ・・・寝るのね


明日の朝に出発・・・です・・・かね?


ブリュンヒルデさん寝るなら布団敷きますよ


さすがに床だとね、疲れ取れないでしょ?


枕はもうないから、人をダメにする系のクッションで我慢して欲しい


ブリュンヒルデはペコリと頭を下げ布団に入った




・・・うん



明日朝起きてから考えよう


ソファーへ戻って眠りについた

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