♯8.5 村人Aとして朝食を振る舞う

トイレ騒動も一段落したし


朝食にしようか


6:00頃に起きて今は7:30くらいだ


異世界転移・・・舐めてたわ


やることたくさんあるやん?


ソフィアは菓子パンマン2話目のBパートがが終わる頃だ



朝はパン派だ


一人だと摂らない事も多いが今日はこの世界初体験者もいる事だし


庶民の朝食を味わってもらおう


パンをポップアップトースターへ2枚投入し、スイッチを入れる


なぜポップアップトースターかって?


こっちの方がおいしく焼ける気がするからだ


何より小さいころ、こっちのトースターに憧れたからだ


実家ではオーブントースターだった


一人暮らしを始めるにあたり割と優先的に購入したな


このポップアップトースターは離婚後に購入した物だ


3000円くらいの安物で、デザイン重視だ



冷蔵庫を覗くと卵とウィンナーがあった


野菜は・・・ない


ウィンナーはあらびきだ


スクランブルエッグとこれでいいだろう


目玉焼きは黄身の硬さで好みがあったりするだろうしな


異世界ではどうか分からないけれども






パンの焼ける匂いが漂いだすと


ソフィアがタブレットでの視聴を止めてこちらへ来た


ポップアップトースターが気になるならしい




ポップアップトースターを上から覗き込んでいる


食パンという形状も珍しいのかもしれないな


よくよく考えると視聴してもらった菓子パンマンも頭が食べ物だとは伝わっていないかもしれないな






ガション!




という音と共にパンが飛び出し




それが眉間に直撃する




『×××××!!』




顔近づけ過ぎだろ


こんな事あるぅ?


さすがは異世界人


斜め上を行く面白さだ


失礼だが声を出して笑ってしまった



パンだし怪我なんかはしていないだろう


念の為顔を確認するが問題なさそうだ


おでこにパンのくずが少し付いているだけだ



ソフィアは少しご機嫌斜めな様だ


ごめんごめん




椅子を引き座れと促す


ソフィアは椅子にドカッと座る




目の前に皿を起き焼けたパンを乗せる


「ソフィア、これは「パン」だ」


名前を教える




コップには牛乳を注ぐ


パンには牛乳だろう


この組み合わせは個人的に鉄板だ


日本人の75%は乳糖不耐性らしいが、異世界人は大丈夫だろうか・・・


食物アレルギーとかどうだろう


それを考えると、小麦も卵もアレルギーあるよな・・・


こういった事考え出すとキリがないな





症状が出る様なら病院へすぐに連れて行こう


あとはソフィアがダメな物なら食べないでいてくれると信じたい


どちらにせよ人間と同様の容姿をしている以上食べ物の摂取は必要だろう


排泄もしていたしな



ソフィアが牛乳の匂いを嗅いでいる


「ミルク」であると教える


ぎゅうにゅうだと発音し辛そうだったのでミルクの方にした


冷蔵庫から、マーガリン、イチゴジャム、ブルーベリージャムを取り出す


賞味期限大丈夫だよな?


一人暮らしだといつの間にか賞味期限切れてる事あるよね?


朝食摂らない事も多いのでこの辺りはいつの間にか賞味期限切れてる事が多々ある



どれも賞味期限は大丈夫だ


バターナイフをそれぞれに準備する


バターナイフがなぜ3本もあるかって?


昔付き合っていた彼女の中の一人の名残りだ


一人だと一本で都度拭いたり、洗ったりして使用してたが


その子はそれが面倒だったらしく多めに買って来た


この歳になると、付き合って来た子の生活習慣がそのまま残ったりするよね


例えば風呂、夜1回だったけど、朝に入る子と同棲した時に夜と朝入る習慣が付いた


今も風呂は朝と夜2回入る


などとどうでも良いことを思い出していたらソフィアがこちらを見ていた




椅子から立ち上がりサクラに聞いてみる




「あにめ」『×××××××××!』




手を擦り合わせてジェスチャーで何か伝えてくる



アニメ?菓子パンマンか・・・1話は確か食事の前の手洗いの話だったか・・・


子供と観たのは12、3年前だがなんとなく覚えている


なるほど、アニメが早速役に立った訳だ


ソフィアを台所へ案内し、蛇口をソフィアの方へ向け水を出す


!!??


ソフィアが驚く


そうか、ソフィアの世界で水は貴重だったりするのかもしれない


蛇口をまじまじと見つめている


仕組みが気になるのだろう


説明出来る程、意思の疎通が出来ていないからまた今度だ



俺がハンドソープを指差すとソフィアがドヤ顔でハンドソープのポンプを押す




ハンドソープは飛び出しシンクの底に掛かった


ソフィアは慌てて、申し訳なさそうにこちらを見上げる



そうだね


使い方は知っていたんだね


気にしなくていいよ


何事も見た、聞いた知識だけではなく体験する事で本物の知識となるという事だ


トライ&エラーだ


二度同じ間違いをしなければ良い


シンクについたハンドソープを洗い流し


今度は箱を押す逆の手でしっかりと受け取めた


素晴らしい


きちんと学習している


ただ、そのまま洗うよりも少し手は濡らした方が良く泡立つ


「ソフィア」


ソフィアに声を掛けポンプを押した方の手に水を掛ける



ソフィアは不思議壮にしているがまだ上手く説明出来そうにない


またいずれ




ソフィアがガシガシと手を洗う


力いっぱい洗ってるの微笑ましい


ちゃんと隅々まで洗っている


菓子パンマン凄いな



そろそろ良いだろうと蛇口をソフィアへ向ける


ソフィアもそれを察して洗い流す


手を洗い終わったソフィアにタオルを渡す


手を拭いた後、自分でタオル掛けに掛けていた


タオルを取る所を見ていたのだろう


しっかりしている






椅子を引き、ソフィアを座らせる


パンの食べ方を説明する


パンに好きなものを塗って食べろといった様なジェスチャーだ


伝わったらしい



まずはイチゴジャムから行くらしい


バターナイフですくい取って匂いを嗅ぎパンの角に少し乗せて口に運ぶ


そうか、パンの表面に塗るのを当然の様に想定していたけど


まったく知らないとなるとこう食べるる事もある訳か


我々が無意識に当然だと思っている固定観念もたくさんあるな



!!??



良いリアクションいただきました


幸せそうな顔をしている


良かった


食べさせたこっちも気持ちよくなるリアクションだ



そうそう牛乳も飲んで


そのままブルーベリージャム、マーガリンと塗っては食べる


どれもお気に召したらしい




今のうちにウィンナーを焼いて、スクランブルエッグを作ろうかな


フライパンを熱して、油を引く


ふと見るとソフィアはパン1枚をあっという間に平らげた


良い食べっぷりだ




ソフィアが席を立ち近づいてくる


料理が気になるのだろう


ちょっと待っててな



フライパンも温まったのでウィンナーを投入する


肉の焼ける良い匂いがする


食欲をそそる香りだ




ウィンナーを見たソフィアが少し怪訝な顔をする


あちらの世界にはウィンナーはないのだろうか


フライパンに蓋をして、冷蔵庫から卵を取り出しソフィアに見せる


卵は分かるかな?


ソフィアは卵よりも冷蔵庫の方が気になる様だった


いつもならスクランブルエッグはフライパンにそのまま卵を投入してかき混ぜながら作るが


今回はソフィアが見ているので茶碗に割った卵を3個入れ「さえばし」でかき混ぜる


そう言えば「さえばし」は方言だったか、正しくは「さいばし」「菜箸」だったよね


ちなみに俺は宮崎出身だ



ソフィアは箸がめずらしいらしい


箸を使う民族はこの世界でもそう多くないものな


蓋を取りウィンナーに魔法のスパイス「マックス」をかける


宮崎が生んだ万能スパイスだ肉に掛けてよし魚、野菜、スープにも合うのだ


宮崎料理専門居酒屋でフライドポテトに使ってあって一目惚れした逸品だ


通販で購入して結構ストックしている


おススメだ




そのまま、ウィンナーの入ったフライパンに卵を投入する


一度ウィンナーを取り出した方が良かったかもと思ったが


男の料理だ


気にしないで欲しい




ソフィアはガスコンロが気になる様だ


不思議そうに見ている


ソフィアの世界では薪と魔法なのだろう


卵が固まって来た


ソフィアがそわそわしているのが分かる


軽くぴょんぴょん跳ねている


微笑まし過ぎるだろ



ソフィアに微笑み掛けると少し照れ臭そうだった



大丈夫おっさんは察していますよ


ちょっと異世界の料理にテンション上がってしまっただけだよね




火を止めて椅子を引きソフィアを座らせる



皿に料理を取り分ける


食器は料理が映えるのと、自分の好みで黒かグレートと黒の市松模様の物で統一している


ソフィアと自分の前に置く


箸は使えないだろうからフォークで良いだろうとフォークを添える


ついでにフォークの名前も教えておく



自分の分のパンを焼こう


ソフィアのは冷えてちょっと硬いかもしれない


焼けたら交換しよう


料理の名前が気になるらしい


「スクランブルエッグ」「ウィンナー」を教える


スクランブルエッグに味付けしていない事に気付いた


ケチャップで良いかな


スクランブルエッグにケチャップをかけるとソフィアは少し怪訝そうな顔をした


大丈夫、おいしいから!


ケチャップの匂いを嗅いで何やら確認している


・・・大丈夫そうだ


「ソフィア、食べようか」


手を合わせて「いただきます」と言ってスクランブルエッグをを口に運ぶ


普通に旨い


ソフィアが俺の真似をして手を合わせて「いただきます」と言った




やだ、何この子可愛い




エモエモのエモなんですが




ソフィアはスクランブルエッグを口にし、恒例の幸せリアクションを見せてくれる


庇護欲刺激される


おっさん胸がきゅんきゅんしてしまうよ


そのリアクション大好物です



パンが再び焼けた様だ


ソフィアの皿にあるパンを焼きたての物と交換する


どうせなら美味しい物を食べて欲しいしね




自分の焼きたてのパンの方にマーガリンを塗る


マーガリンを塗る様をじっと見ているソフィア


そうなんです


こうやってまんべんなく塗るのがポピュラーなんです


そうだよね?


今日は甘い物を食べたい気分なので


さらにその上からイチゴジャムを塗る



ソフィアがめちゃくちゃ驚いている


めちゃくちゃ悔しそうだ・・・手が震えている


好きに食べて良いのよ?



するとソフィアも同じようにマーガリン→ジャムの順で塗って食べた


幸せリアクションいただきました




あと一枚冷えたパンがある


焼いた後の冷えたパンってあまり好きではない


まずマーガリンを塗る


冷えているのでマーガリンが溶けないがここにスクランブルエッグとウィンナーを乗せる


これによりマーガリンがウィンナーとスクランブルエッグの熱で溶けるのだ!


あとは挟んで食べるだけ


旨い




ソフィアが愕然としている・・・


あ、パンがないのねもう一枚焼いてあげよう



ソフィアも同じように全部乗せで食べた


食パン3枚とスクランブルエッグとウィンナー


結構食べるね君





ソフィアは満足そうだ


食器を片付け、洗い終わると


椅子の上で足を延ばしだらしない顔で居眠りするソフィアがいた


しかしながらさすがエルフ


だらしない顔も美しいな




異世界初日の朝、起床して3時間程だが・・・


この子結構神経太いな



などと思いながら彼女をベッドへ運んだ

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