♯04 村人Aにたぶれっとを貰う

しゅわしゅわな飲み物を飲みながら


サクラという名の男とコミュニケーションを図ろうとしていた


これが難しい


言葉が通じぬということがこんなにも不便だとは


なにせ初めての経験だ


許して欲しい


神の雫こと、しゅわしゅわの飲み物→おれんじじゅーす


『グラス』→こっぷ


といった形で物の名前であれば指を差しながら告げる事でなんとか意思の疎通が可能だ


サクラは部屋の奥から地図を見せたものより少し大きい板を持ってきた


触れると何やら絵が浮かび上がる


先ほども見たが変わった魔道具だ


仮に魔法だとして、起動に必要な術式や魔法陣が見当たらない


魔力も感じない


どの様に起動しているのだろうか


サクラが手で触れると絵が切り替わったり移動したりする


便利な物だ





やってみたい


板に手を伸ばすとサクラが察してくれたのか板をこちらへ向けてくれた


気が利くではないか



板を見ると人間と魔物が映し出されていた


投影魔術の様な物だろうか


そんな事を思いつつ映し出された魔物に手を触れる


すると人間と魔物は動きだし喋りだした



やはり投影魔術を起動する魔道具の様だ


サクラからは魔力を感じない


ということはこの魔道具を発動する為に魔力はいらないという事だ


いったい何を依り代に動いているというのだろうか


板の裏や音が出ている部分にも起動式も見当たらない


非常に興味深い


サクラはその板を私に渡してくれた


その板を指差し、サクラは


「タブレット」


と告げた


どうやらこの魔道具の名前らしい


「たぶれっと」


覚えたぞ




ふむふむ


なるほどこの世界の魔物の記録映像の様だ


サクラは人間族で間違いあるまい


この世界の生態系を知ることが出来るのはありがたい


私のいた世界との差異を知るには良いだろう




これは水生の魔物だろうか


知性は低そうだ


陸の魔物についても同様か


知性も低く、魔法も使うことはなさそうだ


この世界の魔物はレベルが低そうだ


そう思った矢先





!!!???




魔法を使用している人間の姿が映し出された


雷撃を放ち、爆発を起こしている


攻撃魔法・・・やはりこの世界にも存在しているのか


サクラから魔力を感じぬし世界のマナの薄さから


この世界の住人は魔法が使えぬのではとも思ったが・・・


「おれんじじゅーす」を飲みながら


しばし「たぶれっと」に夢中になった


様々な記録映像を観たが



この世界にも巨大な魔物は存在するらしい


人間族との戦いの記録を観ながら考える


人間を捕食する魔物


ドラゴンもいる様だ


空を飛ぶ魔道具の存在


大出力の攻撃魔法


この世界にも人間族同士の戦争があるらしい


飛道具で殺し合う姿が多く記録に残っていた


どこの世界でも争いはあるのだな


愚かな事だ


魔族に関しての記録映像はそう多くない様だが


こちらの魔族は劣勢のように見える





やはりこの世界についの知識は必要だな


おいそれと外に出ては魔物共に襲われるかもしれぬ



「たぶれっと」にてこの世界の事を学ばねばなるまい











おれんじじゅーすを飲みすぎたか








「サクラ」『厠はどこですか?』

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