#03 村人Aに飲み物を出される
私が椅子に座ると男は何やら準備を始める
グラスの様な物を手にしたと・・・いう事は私の飲み物を用意するのだろう
寝起きでちょうど喉も乾いている
目の前には男のグラスもあった
そこには真っ黒な液体が注がれていた
・・・よもや泥水ではあるまいな
衣服を見るにこちらの世界にろ過技術がないわけでもあるまい
しばらくすると目の前のグラスには黄色の液体が注がれる
見た目からして果汁だろうか
しゅわしゅわと音を立て、気泡が見える
煮えたぎっているのだろうか?
そう思いグラスに触れてみると氷の様に冷たい
これも魔道具で冷やしているのだろか
なんと不思議な飲み物か
おそるおそる一口飲んでみる
!!!!!!!!!!!!!
美味しい
酸味もほど良く
何よりしゅわしゅわが喉を刺激するこの感覚
飲み終わった後の爽やかさたるや
今まで感じた事がない
グラスにあった飲み物を飲み干した
『なんだこれは!?神の雫か!?』
出来れば入手方法、生成方法を知り元の世界へ持ち帰りたい
男は笑顔でこちらを見ているだけだ
言葉が通じぬのは歯がゆいな
『もう1杯 いただけぬだろうか』
グラスを差し出す
すると男は透明な容器に入った神の雫を私の目の前に置いた
好きなだけ飲めとそういう事だな?
そうだな?
男がグラスに飲み物を注ぐ
気が利くではないか
再び飲み干した
その時
!!!!!!!!!!!!!!
なんだこの胸を押し上げる様な感覚は!
体の内部からこみ上げてくる衝動は!
これは神の雫の効果なのか!?
『ゲフォォォォォォォォォォ!!」』
「・・・」
『・・・』
それは洞窟の最深部にいるドラゴンの慟哭の様な音だった
そんな音が私の口いや腹から出たのだ
神の雫の呪いか!?
まさかこんな副作用があろうとは!
男は特に気にした様子もない
気にした様子はないが男は目に涙を浮かべ体を震わせていた
何を笑っておる
そうか、よほど命がいらないと見える
魔力を掌に集中し男へと向ける
「×××××××××」
男は慌てた様子で、必死に何かを訴えている
謝罪だろう
うむ 受け入れよう
掌に集めた魔力を再び自分の中へも戻す
貴重な魔力をくだらない事で消費する所であった
男は改めて私に向き直り自分に指を差しこう言った
「サ・ク・ラ・バ・リ・ヨ・ウ」
「サ・ク・ラ・バ」
男の名前だろうか
指を差し復唱する
「サクラ?」
男は頷く
どうやらサクラという名らしい
では私の名だな
自分を指差し
『ソ・フィ・ア・ディ・ア・ノ・オ・ト』
『ソ・フィ・ア』
男も私を指さし
「ソフィア」
と復唱する
なかなか良い発音である
私もそれに対し頷く
特別に名前で呼ぶ事を許そう
これによりお互いの名前の把握は完了したな
「サクラ」 『神の雫をもう一杯だ!』
そう言ってグラスをサクラに突き出した
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