第23話 戦闘開始
あけましておめでとうございます!!!(遅)
本年もよろしくお願いいたします!!!
かくして始まったダブルヘッド・ベアの討伐クエスト。
そのモンスターが潜んでいるダンジョンは――
「わあっ! 綺麗!」
足を踏み入れて数分後。
アンジェは興奮気味に瞳を輝かせながらダンジョン内部を見回していた。
無理もない。
そこには、まるで星の瞬きのようにキラキラと輝く鉱石があちらこちらに見られ、とても美しい光景が広がっていたのだ。
さながら、岩壁にありったけの宝石を詰め込んだような美しさだ。
「はあぁ~……持って帰りましょう」
急に真顔になってそんなことを言いだすアンジェ。
「やめておいた方がいいよ」
それに対し、ドミニクはやんわりとそう助言する。
「なぜですか? これだけ綺麗なら相当高価なのでは?」
「でも、周りの冒険者たちは目もくれないだろ?」
「あ、言われてみれば……」
宝石に匹敵する美しさがある鉱石の数々。手を伸ばせば簡単に手に入りそうだが、ドミニクが言った通り、周辺にいる冒険者たちは立ち止まって見ることさえしない。
すると、ドミニクはその輝く鉱石のひとつを手に取った。
「こいつがこんな風に輝けるのはダンジョン内だけなんだ」
「えっ!? そうなんですか!?」
「ああ。どうも太陽の光に当たるとダメらしい」
手にしている物だけ見れば、大きな宝石にしか映らない。だが、ここにある鉱石は太陽の光に当てた途端、ただの石へ変わってしまうのだ。
「そうなんですね……勿体ない」
「ははは、気持ちは分かるけどな」
ドミニクは手にした輝く鉱石をランドの背に乗って天井を眺めていたイリーシャとシエナにプレゼント。ダンジョンにいる間という限定的なものだが、ふたりは大喜びでうっとりと見つめていた。
「まだ小さいとはいえ、やっぱり女の子だな」
「まあのぅ」
「うぅ……純粋な瞳が眩しい……」
大人組は子どもたちの喜びっぷりにほっこりしつつ、ダンジョンの奥へと進んでいく。
ダンジョンは奥へ進めば進むほど薄暗くなっていった。
その間、雑魚モンスターとは何度か遭遇したが、お目当てのダブルヘッド・ベアには会えずじまいだった。
「どこにもいませんね」
「うむ。もっと奥なのかのぅ」
「ダブルヘッド・ベアの習性として、ひとつの巣穴を決めたらそこからあまり動き回らず、近くで獲物を確保すると言われています」
「だとすれば、その巣穴とやらを発見しないことには遭遇できないというわけじゃな」
「えぇ。……もう少し奥へ行ってみましょう」
その後も雑魚モンスターを相手にしつつ、順調に進んでいくドミニク。
やがて、洞窟内を流れる小川にたどり着く――と、
「あっ!」
突然、ドミニクが叫んだ。
「ど、どうしたんですか?」
「あそこを見てくれ」
ドミニクが指差した先――そこには、明らかに何者かの手によって掘られた穴があった。
「も、もしかして、あれが……」
「間違いない。ダブルヘッド・ベアの巣穴だ」
とうとう巣穴を発見する――も、近くにダブルヘッド・ベアの姿が見えない。
「よし、巣穴に近づいてみよう」
「だ、大丈夫でしょうか……」
「もちろん、臨戦態勢でいく。エヴァさん」
「任せておけ」
巣穴があるということは、すぐ近くにダブルヘッド・ベアが潜んでいるというはず。すぐに戦いへ発展することも考慮して、早くもエヴァを憑依させておくドミニク。
「ドミニク、私も手伝う」
「私も微力ながら援護しますよ」
「ああ、頼むぞ。シエナは危ないから、ランドのそばから離れないように」
「は、はい」
警戒しながら進むと、前方に小川に顔を突っ込んで水を飲んでいるモンスターを発見。それこそが、ドミニクたちの捜し求めていたモンスターであった。
「ぐおおおおおおっ!」
ドミニクたちの気配を察知し、振り返ったダブルヘッド・ベア。
標的を視界に捉えると、戦闘を開始する合図のように吠えた。
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