異世界でも、マスゴミはマスゴミである。(4)

「…あれ?プカクさんじゃないですか。」


日も高くなり、常識的な時間になるとシャルルがやってきた。


「どうも。お久しぶりです。」

「今日はどうしたんですか?…あ、ソフィーのパシリですか?あなたも大変ですね…。」

「あの…シャルル…」

「ヨシナカさん。ここは俺から…。」


プカクさんは俺を目で抑えた。


「…まず、私は中立的な立場にいることを認識した上で聞いてください。」

「…?はい。」

「…討伐隊にキメラの討伐要請が来ました。」


プカクさんがそう言うと、シャルルは苦笑した。


「…あー、そういうことですか。」

「そういうことって?」

「…大方、情報屋が騒いだんでしょう?キメラのことを。」

「…はい。それで、それを鎮めるために国王が討伐要請に決行の承諾を…」

「いえ。違いますね。これはお父様が意図的に仕組んだものです。」

「!?」

「…どういうことですか。」


すると、シャルルはソファーに腰かけて頭を拳で支えてうつ向いた。


「…何かおかしいと思っていたんです。いままで。私はこの村で色々な活動をしていましたが、どれもお父様に何かしら邪魔をされてきました。しかし、今回のキメラとの話は、邪魔するどころか援助してきた。…やはり、都にいたときに気付いておくべきでしたね…。」

「あの。話がいまいち見えないのですが。」

「…もし、私たちがキメラと上手くいかなければ、北の住民は自然にキメラと敵対する。上手くいったとすれば、横槍を入れて一悶着起こさせて関係を悪化させる。そうやってキメラと北の住民を敵対させるつもりだったんですよ。最初から。」

「何故そんなことする理由が。」

「抑止力ですよ。北の住民を押さえつけるための。もし、北の住民とキメラが敵対したとして、北の住民は都に反乱できますか?」

「…厳しいでしょうね。」

「そうなんです。北の住民は一度に二つの勢力と敵対することになる。キメラの方に意識を回せば都側が。都の方に意識を回せばキメラ側が襲ってきます。何なら、同じ敵ということで都がキメラと不可侵条約でも結べば、実質キメラは都側に吸収されます。」

「…あくまで仮定として、それはわかりました。しかしでは何故、国王はわざわざ今まで援助をしていたのですか。」

「…関係が薄いところに対立は起こりません。裏切り、妬み、嫉妬…。そういうところから争いは起きるじゃないですか。」

「…なるほど。」


すると、シャルルは立ち上がった。


「…ヨシナカ。私は少し都の様子を見てきます。プカクさんの相手は頼みます。」

「あ!俺も行く!」

「ヨシナカは待っていてください。…少し危険なこともするかもしれませんから。」

「…!分かった。…でも、無理だけはするな。」

「はい。」


そう言って、シャルルは外に出た。


「…とりあえず、俺達も調査に向かいませんか。一応仕事で来てますので。」

「あ…はい。」


(…心配だな…。)

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